節目の記録を迎えた巨人の「10」

　巨人の阿部慎之助が金字塔を打ち立てた。

　8月13日の広島戦。一死走者なしで迎えた第4打席でライトへの安打を放ち、これが通算2000本目の安打。プロ野球史上49人目の大記録を達成した。

　プロ17年目・通算2056試合目にして到達した節目の記録は、巨人の生え抜き選手としては川上哲治、長嶋茂雄、王貞治、柴田勲に次ぐ5人目の快挙。それも負担の大きい捕手というポジションを担いながらの達成とあって、その価値の高さを讃える声は多い。

名球会へのハードル、投打に差？

　2000本安打を達成すると得られるのが、『日本プロ野球名球会』への入会資格である。

　1978年に設立されたこの団体の一員となるには、投手なら日米通算で200勝以上か250セーブ以上、打者は2000安打以上を記録していることが条件になる。まさに日本プロ野球界で歴史に名を刻んだ選手でなければ入ることは許されないのだ。

　そこで近年しばしば議論に挙がるのが、「投手の条件が厳しすぎるのではないか」というものだ。たしかに2000安打の達成者は今季だけでも荒木雅博（中日）に先日の阿部とすでに2人も出ており、海の向こうアメリカでは青木宣親が日米通算2000安打を達成している。

　投手では昨年で現役を引退した黒田博樹が日米通算200勝を達成して入会資格を得たが、その前はというと2010年の岩瀬仁紀（中日）までさかのぼる。野手に比べて、その頻度はかなり少ない。過去10年に広げてみると、その傾向はさらに顕著だ。

【過去10年・名球会入会資格者】
＜投手＞
山本　昌（中）　☆通算200勝（2008年8月4日）
岩瀬仁紀（中）　☆通算250セーブ（2010年6月16日）
黒田博樹（広）　☆日米通算200勝（2016年7月23日）

＜野手＞
金本知憲（神）　　☆通算2000安打（2008年4月12日）
松井稼頭央（楽）　☆日米通算2000安打（2009年8月15日）※日本通算2000安打も2015年に達成
小笠原道大（中）　☆通算2000安打（2011年5月5日）
稲葉篤紀（日）　　☆通算2000安打（2012年4月28日）
宮本慎也（ヤ）　　☆通算2000安打（2012年5月4日）
小久保裕紀（ソ）　☆通算2000安打（2012年6月24日）
ラミレス（De）　　☆通算2000安打（2013年4月6日）
中村紀洋（De）　　☆通算2000安打（2013年5月1日）
谷繁元信（中）　　☆通算2000安打（2013年5月6日）
井口資仁（ロ）　　☆日米通算2000安打（2013年7月26日）
和田一浩（中）　　☆通算2000安打（2015年6月11日）
新井貴浩（広）　　☆通算2000安打（2016年4月26日）
福留孝介（神）　　☆日米通算2000安打（2016年6月25日）
荒木雅博（中）　　☆通算2000安打（2017年6月3日）
青木宣親（ア）　　☆日米通算2000安打（2017年6月11日）
阿部慎之助（巨）　☆通算2000安打（2017年8月13日）


　直近10年で野手の入会資格者は16人も出ているのに対し、投手はなんと3人だけ。かなりの格差がある。

規定の見直しはあるか…

　ちなみに、現在の名球会の会員数は63名。内訳は打者が47人、投手が16人。ここでも差は歴然となっている。

　また、2000安打の候補者は鳥谷敬（阪神／あと26本）、内川聖一（ソフトバンク／あと30本）、福浦和也（ロッテ／あと49本）とこの後も続々と控えているが、投手で名球会入りの候補者といえるのは日米通算170勝を挙げている岩隈久志（マリナーズ）と、日米通算225セーブを挙げている藤川球児（阪神）の2人くらい。藤川もセーズシチュエーションの登板が減ってきていることを考えると、岩隈になんとか頑張ってもらうしかない。

　野手の割合が年々多くなっている名球会。今後この条件が見直されることはあるのか…。大記録が達成される度に注目が集まる。