ニュース 2017.11.27. 17:00

一家に一台?各球団の“緊急捕手”候補

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捕手として緊急出場し、チームを救った故・木村拓也氏と讃える原辰徳監督(当時)

捕手併用の時代


 扇の要、司令塔、グラウンド上の監督…。これらはすべて捕手を形容する言葉である。

 「優勝チームに名捕手あり」という格言も残っているように、強いチームには必ずと言っていいほどチームを引っ張る正捕手の存在があった。ところが、近年はそうとも言い切れなくなってきている。

 今年の日本一チーム・ソフトバンクを見てみると、若手の甲斐拓也がベストナインとゴールデングラブ賞の両獲りを成し遂げたものの、マスクを被ったのは102試合。まだまだ併用が目立ち、ベテランの高谷裕亮も92試合でマスクを被り、鶴岡慎也も捕手として24試合に出場した。

 セ・リーグを連覇した広島を見ても同じく。会沢翼が106試合の出場でベストナインに輝いたが、石原慶幸も76試合に出場。若手の磯村嘉孝も20試合に出場しているように、両リーグの優勝チームでさえ正捕手を固定していないのだ。


備えあれば憂いなし!


 12球団を見回してみても、捕手で規定打席に到達したのは小林誠司(巨人)と中村悠平(ヤクルト)の2人だけ。「固定できない」のではなく、「固定しない」というスタイルが主流になりつつある。

 かつては古田敦也や城島健司といった“打てる捕手”が存在したが、捕手を務めながら打撃タイトルを争うような選手は稀有。阿部慎之助の内野手転向を最後に、彼らは絶滅危惧種となった。

 そのため、近年では終盤の勝負どころで捕手に代打が出されるケースも多く、こうなると各チームが捕手3人体制を敷かざるを得ない。そこで重宝されるのが、“捕手もできる”野手の存在である。

 この秋の秋季キャンプでは、巨人の中井大介が捕手の装いでグラウンドに現れたことが話題になった。プロテクターを着用し、そのままシート打撃でマスクを被ると、変化球も捕球してみせるなど急造としては合格点の出来。首脳陣からも高評価を得た。

 もちろん本格的なコンバートではないものの、備えあれば憂いなし。2009年に内野手の木村拓也氏が“緊急捕手”としてチームを救い、延長戦を乗り切ったという例も記憶に新しい。なにかあってからでは遅いのだ。

 また、こうした準備がしっかりとできていれば、指揮官も強気に攻めの采配に打って出ることができる。勝負どころで代打・代走策を決断しやすくするためにも、オプションを用意しておくことは重要になる。


各球団の“緊急捕手”候補は?


 最後に、各球団の“緊急捕手”候補を以下にまとめた。

 こうして見ると、元は捕手としてプロ入りした選手をはじめ、監督やコーチから「何かあったら頼む」と言われている選手は意外と多い。果たして、彼らの出番は訪れるのだろうか。


<ソフトバンク>
▼ 城所龍磨(外野手/32歳)
・2016年シーズン中に工藤監督から“緊急捕手”に指名。
・小~中学校時代には経験ありとのこと。

▼ 川崎宗則(内野手/36歳)
・6月10日阪神戦の9回裏、最後の捕手に代打を送った工藤監督が「追いついていたら延長戦どうしていたのか」を聞かれて解答。
・マリナーズ時代に第3捕手に指名された経験あり。


<西武>
▼ 熊代聖人(外野手/28歳)
・2015年8月の楽天戦で控え捕手を使いきり、試合後に「最悪の場合どうしていたか」を尋ねられた田辺監督(当時)が「いないですね…まぁ熊代あたりですか」と発言。
・捕手経験はなし。


<楽天>
▼ 岡島豪郎(外野手/28歳)
・この秋のキャンプで捕手としてブルペン入り。
・元は捕手として入団。
☆一軍通算マスク49試合

▼ 銀次(内野手/29歳)
・岡島とともに“緊急捕手”の練習経験あり。
・元は捕手として入団(一軍出場はなし)。

▼ 内田靖人(内野手/22歳)
・元は捕手として入団(一軍出場はなし)。


<オリックス>
▼ 縞田拓弥(内野手/30歳)
・2015年にバッテリー以外の全ポジションを制覇。
・トークショーにて、捕手も「やれと言われたら」

▼ 宮崎祐樹(外野手/31歳)
・長崎日大高時代は捕手。


<日本ハム>
▼ 近藤健介(捕手/24歳)
・捕手登録ではあるものの、昨季もマスクを被ったのは1度だけ。今季はなし。


<ロッテ>
▼ 肘井竜蔵(外野手/22歳)
・元は捕手として入団。


<広島>
▼ 上本崇司(内野手/27歳)
・今季一軍に定着。第4捕手としての役割も。
・中学時代は捕手で、大田泰示(現日本ハム)とバッテリーを組んだ経験あり。


<阪神>
▼ 今成亮太(内野手/30歳)
・2016年4月の中日戦で捕手を使い切った際、3年ぶりに捕手として出場。
・元は捕手として入団。
☆一軍通算マスク56試合


<DeNA>
▼ 佐野恵太(内野手/23歳)
・今季ファームで捕手を経験。
・広陵高時代は正捕手。


<巨人>
▼ 阿部慎之助(内野手/38歳)
・言わずと知れたかつての正捕手。
☆一軍通算マスク1624試合

▼ 寺内崇幸(内野手/34歳)
・2016年に第3の捕手として指名される。
・2010年頃から定期的に捕手練習。

▼ 中井大介(内野手/28歳)
・この秋のキャンプで捕手として練習。


<中日>
▼ 福田永将(内野手/29歳)
・元は捕手として入団。
・プロ2年目から内野手転向も、再び捕手に戻り、2012年から内野手に再転向。
☆一軍通算マスク8試合


<ヤクルト>
▼ 藤井亮太(捕手/29歳)
・捕手登録も、今季は三塁で90試合と外野で4試合に出場。
☆一軍通算マスク3試合

▼ 三輪正義(外野手/33歳)
・過去にファームで捕手として出場経験あり。



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