ニュース 2020.03.12. 13:30

野球の応援、何が危険?専門家チームが具体例を挙げてリスクを説明

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「サメダンス」の例

「スクワット」はリスク高、「サメダンス」は…?


 一般社団法人・日本野球機構(NPB)と公益社団法人・日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が共同で設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」は12日、通算3度目となる会議を実施。今後の対策に関しての意見交換を行った。


 プロ野球・Jリーグの幹部と感染症対策にまつわる専門家チームによって運営されているこの会議。12日昼には、これまでの協議を踏まえた上での『提言』として、野球/サッカー観戦時につきまとう感染リスクやその対応策についても公表されている。

 なかでも気になるポイントとしては、具体例を挙げて紹介されている「応援スタイルのリスク評価例」の部分。キャンプ中の早い段階で禁止された「ジェット風船応援」が『感染リスク高』の事例として真っ先に挙げられているほか、広島の応援スタイルとして定着している「立ったり座ったりを繰り返す集団での動きの伴う応援」についても、「接触感染リスク」に該当することから『感染リスク高』という判定に。

 また、昨季は西武・森友哉のホームゲームでの打席登場時に見られ、今季は巨人に加入したヘラルド・パーラの応援として広く浸透していくことが予想されていた「サメダンス応援」(=登場曲に合わせて両手の手のひらを上下に合わせる応援)については、『感染リスク要検討』という判定になっている。


 その他、『提言』として発表されたもののなかから、「観客の皆様への対応」として挙げられたものに関しては以下の通り。特に外野スタンドで応援するのがふだんの観戦スタイル、という方は要チェックの内容となる。


文=尾崎直也


【提言】日本野球機構・日本プロサッカーリーグにおける新型コロナウイルス感染症対策

(※「Ⅳ.観客の皆様への対応」から抜粋)

(1)野球・サッカー観戦の観客に生じる感染リスク
・不特定多数の集団が集まるマスギャザリング

・人込みにおける不特定多数との遭遇・接触

・試合観戦中の濃厚接触状態


(2)野球・サッカー観戦の観客に対する感染予防策
・発熱、咳、倦怠感、咽頭痛などがみられる場合には観戦をご遠慮いただく
(心臓、肺などに基礎疾患がある場合も同様)
⇒ 自分を守るだけでなく、多くの仲間、選手を守ることの理解の徹底

・流行国(※)から帰国したメディア関係者らの立ち入り制限
(※外務省から渡航中止勧告が出ている「レベル3」地域=たとえば中国湖北省=)

・入場時の濃厚接触を減らすための工夫(ゾーニングなど)
⇒ 開場時間の繰り上げと、入場ゲート手前の新たな待機ゾーンの設置による入場時の混雑緩和。券種に基づいた規制退場による退場ゲートの混雑解消など

・サーモメーター等を利用したスタジアム入場時の体温チェック(37.5℃以上)
(※平常時の体温が低い方は平温と比較して1℃以上の上昇を認めた方は入場をご遠慮いただく)

・スタジアム内でのマスク着用の呼びかけ

・観戦時の濃厚接触を減らす工夫

・スタジアムの回遊型コンコースの移動制限

・応援歌合唱、鳴り物使用の応援スタイルの変更と観客同士のハイタッチ等接触の禁止
 ↓
【応援スタイルのリスク評価例】

▼ 感染リスク=高
・ジェット風船応援 ⇒ ×(飛沫感染リスク)
・肩組み、飛び跳ねなど集団での動きの伴う応援 ⇒ ×(接触感染リスク)
・立ったり座ったりを繰り返す集団での動きの伴う応援 ⇒ ×(接触感染リスク)
・指笛の応援 ⇒ ×(飛沫感染リスク)
・トランペット、ホイッスル等の鳴り物応援 ⇒ ×(飛沫感染リスク)
・メガホンを打ち鳴らしながらの声援(自然に歓声が大きくなる) ⇒ ×(飛沫感染リスク)
・ビッグフラッグ応援(旗の下で多数が密集状態で旗を動かす) ⇒ ×(接触感染リスク)
・ビッグプレー、ファインプレー等での観客のハイタッチ ⇒ ×(接触感染リスク)
・両手をメガホン代わりにした大声での声援、応援 ⇒ ×(飛沫感染リスク)
・フラッグ応援(多数が新聞紙大の手旗を振る) ⇒ ×(接触感染リスク)

▼ 感染リスク=中
・応援団による声の指揮による歌唱+拍手応援 ⇒ ▲(自席で手をたたき歌う程度)
・応援団の太鼓リードによる声援、拍手 ⇒ ▲
・プレーの度の拍手や通常の声援(両手をメガホン代わりに使わない) ⇒ ▲

▼ 感染リスク=要検討
・サメダンス応援(両手の手のひらを上下に合わせる)
・応援タオルを回す、応援タオルを横に広げて左右に振る

────────────


・スタジアム内でのアルコール飲料販売の抑制
⇒ たとえば、観客席でのビール販売を全面的にやめて売店での販売に限定する、ビールなどアルコール飲料の購入量そのものを制限する、観客席でビールを売る販売員の数を削減する――といった措置によって、長時間飲酒を続ける観客を減らす案を検討すべき。当面の間、アルコール販売の取りやめを選択する案もある

・ドーム型スタジアムにおける空調管理 (空調の出力アップなど空気のよどみを減らす対策・工夫)および、屋外スタジアムにおけるコンコースなど屋内スペースの適切な換気

・手指消毒剤の設置
⇒ 入場・退場時の手指消毒の推奨など

・流行時には無観客試合、試合延期も含めて専門家チーム・アドバイザーと検討

・ファンから手渡されたペン、色紙、ボールなどでのサインを行うファンサービス、ハイタッチなどを行わない


2020年3月12日
日本野球機構・日本プロサッカーリーグ連絡会議
専門家チーム・地域アドバイザー

賀来満夫(東北医科薬科大学)
三鴨廣繁(愛知医科大学)
舘田一博(東邦大学)
髙橋 聡(札幌医科大学)
國島広之(聖マリアンナ医科大学)
掛屋 弘(大阪市立大学)
大毛宏喜(広島大学)
泉川公一(長崎大学)

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