ニュース 2015.12.22. 11:00

キーワードで振り返る2015年プロ野球…輝きを放った『新守護神』

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1年目からDeNAの守護神に君臨し、新人王も獲得した山崎康晃[BASEBALLKING]
 福岡ソフトバンクホークスの日本一連覇で幕を閉じた2015年のプロ野球。今年も様々な記録やドラマが誕生した。

 今シーズンを振り返った時、特に活躍が目立っていたのが各球団の抑え投手。両リーグを合わせて8人の投手が30セーブ以上を記録しており、これは2011年以来の多さ。40セーブ以上の投手が3人というのは、プロ野球史上初の出来事であった。

 さらに驚きなのが、その中に今年から本格的にストッパーをはじめたという選手が3人もいたという事実である。

 大きなサプライズだったのが、DeNAのルーキー・山崎康晃の活躍。1年目ながらセ・リーグで3番目となる37セーブを挙げた笑顔の守護神は、新人の最多セーブ記録を25年ぶりに更新してみせた。

 山崎の転機となったのが、春のキャンプのこと。当初はローテーション争いの中にいたが、なかなか結果を残すことができず。中畑監督からも「6番手を争う人間には何度もチャンスを与えられない」と厳しい言葉をかけられていた。

 そこで、指揮官はリリーフとしての起用を決断する。さらに前年21セーブをマークした三上朋也が右肘痛で離脱したことも重なり、ルーキーは一気に守護神候補として挙げられるようになった。

 そして3月28日の巨人戦、敵地でプロ初登板を果たすと、31日の広島戦ではプロ初セーブをマーク。その後の活躍はご存知の通りで、連続セーブの新人記録(9試合連続)や、球団新人の最多セーブ記録、そして新人セーブ数のプロ野球記録と数々の記録を更新していった。

 シーズン後には侍ジャパンの一員として「プレミア12」にも出場と、まさに激動の一年を笑顔で乗り切った男は、12月4日にはじめての契約更改。3500万円アップの5000万円(推定)という球団の2年目選手史上最高額の契約を勝ち取っている。

 パ・リーグでは、12球団最年少の守護神が誕生した。楽天の松井裕樹である。

 苦悩の1年目を終えた13年のドラ1左腕は、大久保博元新監督にリリーフとしての適性を見出されると、抑え候補だったキャム・ミコライオの故障により抑えに抜擢された。

 開幕当初は19歳だった松井。12球団最年少で守護神となった男は、5月16日のロッテ戦まで13試合連続無失点という快投を披露する。タフな場面を任されながらも持ち前の強心臓で投げ抜き、イニング跨ぎも難なくこなす。気がつけば7月4日の日本ハム戦で負けるまで30試合無敗、ストッパーとして抜群の安定感を誇った。

 結局、最終的には63試合の登板で3勝2敗、球団最多記録となる33のセーブを挙げ、防御率0.87という驚異的な数字を残した松井。「プレミア12」でも侍ジャパンに最年少で選出された。来年も抑えを務めることが決まり、さらなる飛躍に期待が高まる。

 3人目は、巨人の沢村拓一。殻を破りきれなかった10年のドラ1右腕は、抑えという持ち場で花開いた。

 実は、かねてから「抑え・沢村」という構想を語っていた原監督。本人が先発への強いこだわりを見せていたためなかなか実現しなかったが、沢村が4年目のシーズンを終えた昨オフ、ついに折れてリリーフ転向を受け入れた。

 西村健太朗やスコット・マシソンらとの競争に勝ち抜いて抑えの座を掴んだ沢村は、3月27日の開幕戦でプロ初セーブを記録。幸先の良いスタートを切ると、最終的には60試合の登板で7勝3敗、36個のセーブを挙げた。

 契約更改では5200万円増で1億円の大台に到達。ついには「抑えでやる気しかありません」と生涯ストッパー宣言まで飛び出した。

 若き守護神が台頭した2015年のプロ野球。2017年に迫ってきたWBCの抑え争いを含め、彼らの今後の活躍に要注目だ。

【2015年・セーブ数トップ6】

パ・リーグ

1位 41個 サファテ(ソフトバンク)
2位 39個 増井浩俊(日本ハム)
3位 34個 西野勇士(ロッテ)
4位 33個 松井裕樹(楽天)
5位 22個 高橋朋己(西武)
6位 13個 佐藤達也(オリックス)

セ・リーグ

1位 41個 バーネット(ヤクルト)
1位 41個 呉昇桓(阪神)
3位 37個 山崎康晃(DeNA)
4位 36個 沢村拓一(巨人)
5位 29個 中崎翔太(広島)
6位 19個 福谷浩司(中日)
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