コラム

繰り返す悲劇…“ヤ戦病院”の元凶

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苦しい戦いが続くヤクルト・真中満監督(C)KYODO NEWS IMAGES

白球つれづれ~第17回・迷走ヤクルト~


 「何千万、何億ともらっている選手がケガで休みっぱなし。助っ人までが二軍にいる。管理はどうなっているのか?」

 これ、巨人の話ではない。6月21日に行われたヤクルト本社および同球団の株主総会で飛び出した株主からの怒りの声だ。2年前にセ・リーグを制覇した真中ヤクルトが、奈落の底に沈んでいる。

 26日現在の成績は26勝41敗1分けの最下位。首位の広島からは実に16.5ゲーム差。これでは株主でなくても文句の一つも言いたくなるだろう。


今年も主力が相次いで離脱


 転落の原因は株主様のご指摘通り。主力の大半が故障で戦列を離れているのだから戦う以前の問題である。以下に主な故障者を列記する。

【ヤクルト・主な離脱者】
バレンティン 右太もも裏内側肉離れ
畠山和洋   左ふくらはぎ肉離れ
川端慎吾   椎間板ヘルニア
中村悠平   右大腿骨骨挫傷
小川泰弘   左内腹斜筋肉離れ
山中浩史   下半身の張り


 ちなみに、この6選手だけで総年俸は約8億円(金額は推定)。エースはいるし、4番打者もいる。チャンピオンに輝いた2015年の首位打者も、打点王もいる。

 今年に限ったことではないが、このチームはとにかく故障者が続出する。過去の投手陣だけを見ても古くは伊藤智仁や川崎憲次郎、荒木大輔らから、現役では館山昌平を筆頭に由規、村中恭平などの長期離脱組が目につく。

 投手の場合は肩や肘の故障から来るもので、個人差もあり一概に比較は難しいが、毎年のように主力野手が前線から離れていては監督の真中満も手の施しようがないのが現状だ。

もう少し今季の惨状を検証する。チーム打率.239、同防御率3.93は共にリーグワースト。これでは当然ながら個人成績を見ても打撃部門で気を吐いているのは雄平くらいで、スーパースターの道を順調に駆け上がると見えた山田哲人は現在打率.215のどん尻。

 投手部門でも、新外国人のブキャナンが防御率2.60で全体の6位につけているものの、次の成績がベテラン・石川雅規の同4.89でこちらも規定投球回到達者のどん尻。つまり、故障者が続出の上に残った部隊のエースと主砲がマラソンレースで言えば最後方を走っているのだから目も当てられない。


“ヤ戦病院”の元凶


 では、なぜヤクルトは他球団と比べても故障者が多いのか…?

 球団社長の衣笠剛は「数年前からトレーニング、コンディショニング、リハビリ部門を統一して情報共有することで状況は改善している」と説明するが、はたしてそうだろうか。

 ある監督経験者は「神宮の呪い説?」を語る。

 「やはり、大学野球と併用ではじっくり腰を落ち着けて鍛錬は出来ないでしょう」。

 神宮球場を本拠地とするヤクルトの特殊性は、かねてから指摘されるところ。週末は東京六大学、平日は東都大学を中心に球場使用の優先権があるため、プロの練習は神宮に隣接する絵画館前の軟式球場と室内練習場を使用するケースが多い。これではハードな鍛え方も難しく、それが故障者の多発につながっているとの見方だ。

 加えて、球団の体質を指摘する向きもある。昔から現役を引退した後も球団職員として採用するケースが多く、面倒見のいいチームとして定評があるヤクルト。他球団なら戦力外通告してもおかしくない故障者を4年、5年と辛抱強く待つのもこの球団の温かさに通じる。しかし、その一方で信賞必罰の厳しさの不足は、ぬるま湯的な甘さを生んでいるのではないかという声も…。

 真中新監督誕生時には、選手の自主性を重んじる「のびのび野球」でいきなり好結果をもたらした。ところが、この体たらくでは指揮官も自主性尊重とばかりは言っていられない。

 奇しくも今季のチームスローガンは「目を覚ませ!」――。もう少しするとバレンティンや小川、中村らが戦列に復帰予定。川端、畠山の主砲も8月前の復帰を目指している。

 一刻も早く目を覚まさないと、ファンにも愛想を尽かされてしまう。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)



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