コラム 2015.07.04. 19:10

広島の未来を背負うホープ 鈴木誠也の球歴とは?

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スタメン出場では6試合連続安打中の広島・鈴木誠也 ©BASEBALLKING

「二刀流」狙えると評された逸材

鈴木誠也 ,

 開幕から出遅れ、下位をさまよってきた広島。しかし、幸いなことに抜け出すチームがなく、優勝も十分に手が届く位置につける。

 長い低迷期から脱し、一昨年、昨年と2年連続でCS進出。「カープ女子」という新たなファン層も獲得し、今年のスローガン「常昇魂」がピタリとハマるチームになった。菊池涼介、丸佳浩といった若手の活躍によるところが大きいが、その流れに乗るひとりが、3年目、20歳の鈴木誠也だ。

 今季は開幕一軍入りを果たすと、開幕戦では「1番・右翼」でスタメン出場。7月3日時点で48試合に出場し、打率.293、4本塁打をマーク。明るいキャラクターで、ベンチを盛り上げている。

 鈴木は1994年8月生まれ、東京都荒川区出身。小学2年生で硬式クラブ「荒川リトル」に入団し、本格的に野球を始めた。

 中学校に進学すると、荒川リトルの上部にあたる「荒川シニア」に入団。エースとして、3年春のシニア全国大会ベスト16、夏の全国大会ベスト8という成績を残した。

 中学3年夏の時点で、身長180センチ、体重74キロ。「走攻守すべてにセンスを感じる選手」「順調に成長すれば高校で間違いなく145キロ出せる」などと絶賛されていた。

 多くの高校から誘いがあった中、選んだ進学先は東京の二松学舎大学附属高校。名門校にすぐなじむと、1年秋からエースとなった。

 「最速148キロの2年生右腕」として注目された2011年夏の東東京大会はベスト4。しかし、右太もも肉離れが治りきっていない状態で、準決勝での球速は130キロ台中盤。満塁ホームランを浴びて途中降板、チームはコールド負けという内容だった。リベンジを期した3年夏は、東東京大会ベスト8。チームの悲願でもあった夏の甲子園には届かなかった。

 それでも、鈴木誠也の名は広まり、3年生になるとドラフト候補として扱われるようになる。当時の体格は、身長181センチ、体重80キロ。「身体能力が高く、バネ、しなやかさ、躍動感がある」と素質から絶賛され、「最速148キロの投、高校通算43本の打、両方でプロを目指せる」という評もあった。

 迎えた2012年秋のドラフト会議。甲子園春夏連覇の右腕・藤浪晋太郎(大阪桐蔭高)に4球団の指名が集まり、阪神が交渉権獲得。メジャー行きを表明していた“二刀流”大谷翔平(岩手・花巻東高)は、日本ハムが強行指名。怪物高校生ふたりに比べれば注目度は低かったが、鈴木は広島の2位指名。高評価を受けて、幼い頃からの夢だったプロ入りを果たした。

足りないのは「一軍での経験」だけ

鈴木誠也 ,

 2012年11月の仮契約で提示された背番号は51。鈴木は「51番といえばイチロー選手で、小さい頃からの憧れです。嬉しいですし、ビックリです」とコメント。目標を聞かれると「野村(謙二郎)監督(=当時)も達成された、『3割、30本、30盗塁』です」と答えるなど、野手転向に前向きだった。

 ところが、プロ入り後に語ったところによると、投手としては通用しないだろうと思いつつ、上を目指してみたい気持ちもあり、「野手転向の話を聞いたときは、正直不安でした」と明かしている。当初は内野手という方針もあり、「基礎も何もなくて、本当に打ちのめされました」と振り返る。

 そんな中、1年目のキャンプでは1日限定ながら一軍に合流して、自慢の打撃を披露。野村監督に「高卒の新人で、あれだけフルスイングできて、足が踏ん張れる選手はそうはいない」と評価された。

 開幕後は二軍で実績を積み、9月に一軍初昇格。高卒新人野手の昇格は1999年の東出輝裕以来、14年ぶりと報じられた。9月14日、代打で一軍デビュー。翌々日の16日には、プロ初安打と初打点を記録。1年目、一軍では11試合に出場を果たし、二軍では93試合出場で打率.281をマーク。「プロの世界で1年間通してやれた」という自信を得た。

 2年目の2014年は、シーズン中盤から一軍に定着し、36試合で打率.344。内野から外野へと守備の負担が減ったこともあり、イキイキとグラウンドを駆け回った。

 シーズン終盤、阪神とのCSファーストステージ第2戦では、「7番・右翼」で先発出場。0-0で迎えた7回表、一死満塁というしびれる場面で打席に立つも、結果は力み過ぎてのサードゴロ。そのまま引き分けて広島のCS敗退が決まると、鈴木はベンチで涙を流した。

 探求心旺盛で多くの技術書を読み、実際に試してみる努力家。年上の選手にも積極的にアドバイスを求めてきた。それでも、「一軍の試合に出続けて経験を重ねていかないと、ああいう場面では打てない」という現実を思い知ったという。

 今季はすでに、昨年の数字は大幅に超えている。しかし、まだ「レギュラー定着」とはいえない状況だ。

 1試合でも、1打席でも多く、しびれる場面を経験したい――。プロ3年目、野手として3年目の鈴木誠也が大きく成長するために、混戦のセ・リーグは絶好のシチュエーションかもしれない。

文=平田美穂(ひらた・みほ)

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