コラム 2015.11.09. 11:40

3年前の10勝投手・山内壮馬が挑むトライアウト

「普通の大学生」がプロでモデルチェンジ


 2007年の大学生・社会人ドラフト。中日ドラゴンズが1位指名したのは、愛知工業大のサウスポー・長谷部康平だった。だが、長谷部に入札したのは中日以外にも広島、ロッテ、西武、楽天がおり、抽選の結果、当たりクジは楽天の島田亨球団社長(当時)が引き当てた。

 続く再入札で中日が「外れ1位」として指名したのが、名城大の右腕・山内壮馬。実は、長谷部と山内は愛知・杜若高の同級生。高校時代にエースの座を争ったライバルであり、大学進学後もともに遊びに繰り出す親友でもあった。

「長谷部がいなかったら、今の自分は絶対にありません」

 ドラフトを直前に控えた時期の取材で山内はそう語っていた。アマチュアとして唯一、北京五輪アジア予選メンバーに選出された長谷部は、日々、自身の投球についてあれこれ思索を巡らせ、すでに勝負師としての雰囲気をまとっていた。一方、山内は「自分って本当にドラフト候補なんですか?」と聞いてくるような親しみやすさがあり、ユニフォームを着ていなければごく普通の大学生に見えた。プロで戦い抜くには性格が優しすぎるのでは……と心配にもなったが、希望球団の地元・中日に入団できたことは追い風になるだろうと思った。

 プロ入り後は、なかなか結果が出なかった。1年目のプロ初先発ではノックアウトされて、試合中に落合博満監督から名古屋へ強制送還を命じられる屈辱も味わった。

 それでも、プロ3年目に2勝、4年目に3勝と徐々に結果を残していくと、5年目の2012年は飛躍の一年になった。初めて2ケタ勝利となる10勝(7敗)をマーク。規定投球回にも達して、防御率2.43はリーグ8位だった。

 その頃、山内の投球を見て「これがあの山内か?」と驚いた記憶がある。大学時代の山内は、最速147キロをマークする正統派の右投手だった。しかし、一軍で活躍する山内のストレートは、だいたいが130キロ台。ボールを微妙に動かして、打たせて取る投手へとモデルチェンジしていたのだ。プロで生き残るためにたどり着いたピッチングスタイルだったのだろう。


プロ8年目、30歳で受けた戦力外通告


 しかし、以降は苦しんだ。2013年より使用球が低反発の「飛ばないボール」から、仕様を調整した統一球に変更されたことも、打たせて取るタイプの山内にとっては痛手だったのかもしれない。また、2013年には右ヒジを手術し、近年は腰痛にも苦しめられた。登板数は年々減っていき、今季はついに一軍登板なし。10月4日に球団から戦力外通告を受け、12球団合同トライアウトの受験を決意した。

 剛速球など見栄えのいいボールがない山内にとって、トライアウトでアピールするには、いかに内野ゴロを打たせられるかがポイントになりそうだ。

 一方、ライバルの長谷部も来季は正念場の年を迎える。プロ入り1年目に軸足である左膝を故障して以来、ドラフト時の期待通りの結果を残しているとは言いがたい。今季はわずか3試合の登板に終わっている。

 11月10日のトライアウトを経て、山内は来季も長谷部と同じ勝負の場に身を置くことができるのだろうか。そして、長谷部は復活を果たすことができるのか。杜若同期コンビの奮闘を見守りたい。

文=菊地高弘(きくち・たかひろ)

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