コラム 2016.01.03. 16:30

首位打者で新人王を獲得したスイッチヒッター・金城龍彦の“身の引き方”

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06年のWBCに出場した金城龍彦(左) [Getty images]
金城龍彦,

プロ入団後に打者転向をした努力の男


 研鑽された技術のぶつかり合いである勝負。そこから離れた時に放たれた野球選手の“ことば”——。発言に注目すると彼らの別の一面が見えてくる。

 「球団とのボタンの掛け違いの結果です」

 2014年11月、金城龍彦(当時横浜)の口から衝撃的な発言が飛び出した。一部報道にあったFA宣言の書類を提出したのである。球団が、宣言選手の残留を認めない方針を持っていたため、事実上、横浜と金城は袂を分かつことになった。

 元々、石井琢朗に引退勧告、佐伯貴弘に戦力外通告をして他球団に移籍されてしまったように生え抜きのベテランに冷たいと言われるチーム体質があったが、金城も同じ轍を踏むことになってしまった。

 金城は1999年の入団以来、横浜一筋で16年を過ごした看板選手。ドラフト5位で投手として入団した直後、打者に転向し、同時にスイッチヒッターへ挑戦する。

 プロ入り2年目にサードのレギュラーポジションを奪取するとヒットを量産。プロ野球史上初となる、首位打者と新人王の同時受賞を成し遂げる。その後、外野へコンバートされ、2度のゴールデングラブ賞を獲得するなど堅守と粘り強い打撃が評価されるいぶし銀の選手であった。

「野球を続けたい」男はFA移籍を決断


 2014年、38歳を迎えた金城はシーズン成績を打率200、本塁打0、打点11で終える。シーズン中の9月に、球団側は現役引退、コーチへの打診。だが、金城自身は「野球を続けたい」思いが強かった。

 シーズン終了後、球団と話し合いを重ねるも決裂。プロ17年目は、巨人にFA移籍をすることになる。ファンはもちろんのこと、マスコミですら驚きだったのだから、本人の決断はどれほどの勇気が必要であったか。

 2015年、開幕直後から金城は1番スタメンで起用され、横浜スタジアムではホームランを放つほどの活躍を見せるが、6月にケガで登録抹消されると、その後、一軍に上がることはできなかった。2015年10月、球団へ任意引退を申し入れ球団は承認、現役引退が発表された。「年齢からくる衰えを感じた」と引退を決意した金城の表情からは、現役をやり抜いた満足感が見えた。

 横浜ファンとしては、ベイスターズでユニフォームを脱いでもらうのが総意であったろう。だが、野球選手の引退のタイミングというのは本当に難しい。ファン、球団、選手自身の思いがあり、冒頭の言葉のようにズレも生じる。今年も松中信彦、井川慶、多村仁志などの実績十分の大物選手が現役続行を希望しているが、いまだ行き先は決まっていない。

 金城は新設される巨人の三軍打撃コーチに就任する。現役をまっとうさせてくれたチームに、1648安打を積み重ねた努力の男が恩返しを誓っている。

文=松本祐貴(まつもと・ゆうき)

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