外国人選手のNPB間での移籍が多いオリックス
福良淳一監督代行が正式に監督に昇格したオリックスだったが、2016年シーズンは57勝83敗3分で最下位に終わった。オープン戦、セ・パ交流戦、公式戦で全球団に負け越して最下位に終わっただけではなく、二軍も最下位とNPB史上初の不名誉な記録を樹立。
最近10年でBクラスが8回、最下位が4回。2008年、西武に2.5ゲームの2位、2014年はソフトバンクに勝率2厘差の2位と優勝まであと一歩のところまで迫ったシーズンもあったが、2009年は6位、2015年は5位と1年で下位に逆戻り……。ここ10年を見る限り、安定した強さがない。
広島がセ・リーグ優勝を果たしたため、12球団で最もリーグ優勝から遠ざかった球団になってしまったわけだが、オリックスが長期に渡って低迷している要因はどこにあるのだろうか。
今季、いずれもリーグワーストのチーム打率.253、499得点、防御率4.18に終わったように投打で課題は山積みだが、攻撃力では外国人野手が期待通りの結果を残せていない。2007年から今年までの10年で、オリックスの一軍でプレーした外国人野手はのべ38人。合計の本塁打数467、打点数1599はいずれも12球団最多である。この数字だけを見れば、外国人野手の補強はうまくいっているように見える。
しかし、NPBの他球団でプレーした経験がない外国人野手に絞ると、この数字は大きく落ちる。近年、NPBで1年や2年プレーした後にNPBの他球団に移籍する選手や、一度はアメリカなどに戻りながら再びNPBの球団でプレーする選手が増えているのだ。
自前で獲得した外国人野手で活躍したのは李大浩だけ
今季のオリックスに当てはめれば、トニ・ブランコは、中日、DeNAでプレーした後、2015年にオリックス入りした。マット・クラークは2013年に中日で1シーズンプレーした後、アメリカに戻り、今季途中にオリックスでNPBに復帰している。
NPBの他球団でプレーしていたことから、日本の野球に適応するかどうかの見極めが難しくなく、失敗するリスクも低い。ただ、あまりにもそういったケースが増え過ぎていて、海外から新たに獲得する外国人選手の選定がうまくいっていないことも多い。
最近10年のオリックスの外国人野手を見ると、他球団を経由せず、言うならば自前で獲得した選手の合計本塁打数は82本で、打点も323。1シーズン平均で8.2本塁打、32.3打点はあまりにも少ないだろう。
シーズン20以上の本塁打を記録したのは2012年と2013年に24本塁打を打った李大浩だけで、その他の自前外国人野手のシーズン最多本塁打は、昨季まで所属していたカラバイヨの12本塁打。シーズン100試合以上に出場した選手はひとりもいない。
さらに言えば、李大浩は韓国プロ野球界で三冠王という実績があり、日本で失敗する可能性は少なかった。それを踏まえればオリックスが獲得した外国人野手は、この10年間において活躍していないといっても過言ではない。
先日、MLBでプレーしたこともある長谷川滋利氏がシニアアドバイザー(SA)に就任した。主に外国人選手の獲得に関する助言を行うようだが、海外での経験を生かした外国人選手獲得術を見せられるかどうか。最下位脱出のポイントにもなるだろう。
文=京都純典(みやこ・すみのり)