コラム 2016.11.14. 22:00

【白球つれづれ】小久保ジャパンの憂鬱

無断転載禁止
侍ジャパンを率いる小久保監督

白球つれづれ~第29回・侍ジャパン~


 ばっさりと点数をつけるなら40点と言ったところか。今回の侍ジャパンの強化試合の“通信簿"だ。

 10日から東京ドームで行われた対メキシコ、オランダとの4連戦。スタンドの熱狂とは裏腹に試合内容はお寒いものだった。結果的には3勝1敗と恰好こそついたもののオランダとのゲームは初戦が相手守備の乱れで敗戦を免れたもの。2戦目も中盤までに大量リードを奪われて相手救援陣の弱さに救われただけ。「本番であそこまで点を取られたら逆転は難しい」と2戦連続のタイブレークで勝ちを拾った監督・小久保裕紀の表情に余裕はなかった。


課題を残した投手陣


 来春3月7日から開幕する第4回WBC(ワールドベースボールクラシック)のテストマッチとして位置づけられた今回の強化試合。中でも目を覆いたくなる惨状を呈したのが弱体投手陣だ。

第1戦から武田翔太(ソフトバンク)、野村祐輔(広島)、石川歩(ロッテ)、石田健大(横浜)と続いた先発陣は文字通りのテスト登板。この中から一人でも二人でも本番の大舞台に抜擢する構想を首脳陣は抱いていたはずだ。

しかし、結果は揃って討ち死に。第2先発として登板した藤浪晋太郎(阪神)、田口麗斗(巨人)らの中継ぎ陣もピリッとせず4戦で29失点!ちなみに昨年行われた侍ジャパンの国際試合「プレミア12」では8試合で17失点。つまり1試合平均で2点強から今回は7点強まで5点近くも悪化している。

もちろん、本大会の先発の柱には今回未登板の菅野智之(巨人)や大谷翔平(日本ハム)らが控えている。実力派の則本昴大(楽天)、菊池雄星(西武)らも代表ユニホームを狙っている。だが、それだけに今回の若手投手陣には国を背負って立つ気迫や覚悟が求められていたはずだ。


投手陣再編へ?!


WBCの公認球は滑りやすく、コントロールが難しいと言われている。しかし、それも毎回指摘されることで事前に適応できなければ本番では信頼してマウンドへ送り出すのも難しい。

 「力を持っている割には打たれ過ぎ。私にとっては最悪の試合だった」と投手コーチの権藤博が渋い顔なら監督の小久保は投手陣の再編成まで言及した。

 「(WBCでの)投手枠は13人。先発8、中継ぎ5人で考えてきたが7人と6人がいいのか人数の割合も含めて権藤コーチと話す。この4戦を通してより一層投手陣の人選をしっかりする必要性が出てきた」

 さらに不安点を挙げれば依然として抑えのエースが決まっていない。今回は宮西尚生(日本ハム)や秋吉亮(ヤクルト)らが試合終盤を任されたが彼らは元々がワンポイント要員。前回のプレミア大会の準決勝では先発の大谷が好投しながら逃げ切りの場面で則本、松井裕樹(楽天)らが救援に失敗。痛恨の逆転負けを喫した。


期待のメジャー組も…


チームの肝ともいうべきストッパーに関して首脳陣の中には現役大リーガーの上原浩治(レッドソックス)を期待する声もある。メジャーなら田中将大(ヤンキース)も前田健太(ドジャース)、ダルビッシュ有(レンジャース)もいる。彼らが侍の旗のもとに集まれば大幅戦力アップは間違いなしだがここにも問題は山積する。

田中とダルビッシュは故障、手術からの復活途上。今季16勝を挙げた前田だがチームの絶対的な信頼を得るまでには時間がかかる。現時点では、WBC出場の可否は本人の意思と球団との話し合いに委ねられているが特に高年俸の投手に対しては故障のリスクも含めて球団側の承諾は得にくいのが実情だ。


打撃陣にも課題


 「投壊」の影に隠れた格好だが打撃陣も決して及第点とは言えない。打撃コーチの稲葉篤紀が指摘するように「足を高く上げている打者は対応に苦労している」。主軸を担う中田翔(日本ハム)と山田哲人(ヤクルト)がその代表格。外国人投手の多くはテークバックが小さくてタイミングが取りづらいうえに近年はボールを動かしてくる。

特に中田の不振はジャパンの四番不在を再び浮き彫りにする。結果だけを見れば坂本勇人(巨人)、筒香嘉智(DeNA)、鈴木誠也(広島)らは数字を残したが、各試合ともエース格の相手先発には沈黙が続いた。

 侍ジャパンの伝統は堅い守りと接戦を勝ち抜くスモールベースボールにあるはずだ。今回接戦を演じたオランダは本番ではレッドソックスの中心選手のボガーツ、ドジャースの守護神であるジャンセンらを補強してくるという。


大谷という贅沢な悩み


 さて、日本の活路は?大谷の超人的な働きは不可欠である。今シリーズでは打者としてチームトップの打率.455をマーク。驚きの大アーチがあれば、怪力の天井二塁打に快足とけた外れの存在感を発揮した。

もっとも打者でこれだけの資質を見せつけられて最も憂鬱になるのは指揮官の小久保本人だろう。投手としてエース格の働きを期待しているだけに打者としてどれだけ有効に使えるか? 短期決戦だけに一歩間違えれば致命傷となる。かと言って「日本の宝」を故障で潰すわけにもいかない。この部分だけは「ぜいたくな悩み」というべきか。


文=荒川和夫(あらかわかずお)

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