昨年12月9日に開催された『現役ドラフト』で移籍した浜地真澄(阪神→DeNA)は育成契約の打診を受けているが、山足達也(オリックス→広島)、柴田大地(ヤクルト→楽天)、本田圭佑(西武→オリックス)がわずか1年で戦力外通告となった。

 移籍先で飛躍を遂げた選手もいる。昨年の現役ドラフトでいえば、田中瑛斗(日本ハム→巨人)がそうだろう。田中瑛は日本ハム時代の一軍通算登板はわずかに10試合で、24年も一軍登板は3試合で、防御率11.25と苦しんでいた。

 現役ドラフトで巨人に移籍した今季、シュート、スライダーの横に揺さぶる2球種を中心にセ・リーグの打者をねじ伏せた。特に走者を置いた場面でマウンドに上がり、右打者をシュートで打ち取るシーンを今季何度も見た。62試合に登板して、1勝3敗36ホールド、防御率2.13と巨人移籍で大きく飛躍を遂げた。

 広島からヤクルトに現役ドラフトで移籍した矢崎は、広島時代の22年から2年連続40試合以上に登板し、22年が2勝0敗17ホールド1セーブ、防御率1.82、23年が54試合に登板して4勝2敗10ホールド24セーブ、防御率2.81の成績を残したが、昨季は26試合の登板にとどまり、現役ドラフトでヤクルトに移籍。

 今季は開幕一軍こそ逃し、4月19日に一軍昇格を果たしたが、4月終了時点で3試合・防御率10,13と精彩を欠いた。それでも尻上がりに調子を上げていき、6月13日のロッテ戦から8月8日の阪神戦にかけて17試合連続無失点。終わってみれば、45試合に登板して、2勝0敗12ホールド、防御率1.93とスワローズのブルペンに欠かせない存在になった。

 さらに、日本ハムから現役ドラフトで広島に移籍した鈴木健矢もロングリリーフを中心にシーズン自己最多タイの24試合に登板して、2勝0敗、防御率1.89。日本ハムでプレーした昨季は、分厚い投手陣の前に一軍登板機会が減少したが、現役ドラフトによる移籍で再度一軍の舞台で力を発揮した。

 1年でチームを離れる選手もいるが、出場機会が少ない選手が現役ドラフトによって“復活”、“ブレイク”は球界にとっても、選手にとってもメリットがあると言えるだろう。

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