シート打撃にドラ1・柳が登板
沖縄・北谷で中日ドラゴンズのキャンプを取材しました。
シートバッティングにドラフト1位ルーキーの柳裕也(明治大)投手が初登板。新外国人ゲレーロにいきなりホームランを浴びるほろ苦デビューとなりましたが、開幕に向けて一つ階段を上がったと言えるでしょう。
「球が高かったことがよくなかった。そのことが気になってしまい、思い切った投球ができませんでした」
練習後の会見で笑顔は見せなかった柳投手ですが、微笑ましいシーンもありました。シート登板後、ブルペンでピッチングをしている時に、ある方がアドバイスを与えていたのです。
杉下茂氏。
かつて中日のエースとして一時代を築いた大OBが、キャンプの臨時コーチとして今年も若手投手の指導に当たっているのです。驚くなかれ、杉下氏は91歳。今なお背筋をピンと伸ばして精力的に動き回っていらっしゃいます。
「中途半端に高い球を打たれたね。完全な高めなら打たれないけど、ああいう高さをプロは見逃してくれないよ」
柳は杉下氏のアドバイスを直立不動で聞いていました。それもそのはず、杉下氏は明治大学の出身。柳投手にとっては雲の上どころか、宇宙にいるくらいの大大大先輩。
「はじめは打たれて当たり前。打たれてよかった」
優しくそう諭す杉下氏にとっては、孫どころか、ひ孫としゃべっている感覚でしょうか。長い歴史を誇るプロ野球ならではのひとコマでした。
取材・文=ニッポン放送・松本秀夫アナウンサー