1年目に8勝も満足せず
「できたこと半分、できなかったこと半分での8勝9敗なので、そのなかで借金が1あるというのは力のなさを感じますし、防御率2.93という数字も規定投球回を達して認められる数字だと思う。僕の中ではこの数字に満足したというのはない」。
プロ1年目の昨季を振り返ったDeNAの今永昇太。即戦力左腕として期待された1年目の昨季は、開幕先発ローテーション入りを果たし、3・4月は未勝利も、5月は4戦4勝をマークした。大卒1年目ながら先発の一角で投げていた今永だったが、6月に入ると4日のロッテ戦で、3回5失点でノックアウト。18日の楽天戦でも4回4失点と、春先の勢いを失い6月19日に二軍落ち。
「悔しいというよりは『じゃあ次どうすればいいか』。二軍のときは一軍の試合をテレビで観ていたのですが、どうすれば一軍の試合に出られるかとか、お客さんの前でどのようなパフォーマンスができるだろうかと常に考えながら過ごしました」。
自分を見つめ直した今永は、7月24日に一軍に再昇格。その後は、二軍に降格することなく、最後まで一軍で投げ抜いた。「欲が消えたというか、ルーキーで初めは勝ちも欲しいですし、色々な数字も出したい。そのなかで、がむしゃらに投げていた前半だったのですが、後半はしっかりとまずは試合を作って、壊さないことを考えました」。
勝ち星こそ恵まれなかったが、今永が8月以降、安定した投球を披露。今永の頑張りが、球団初のクライマックスシリーズ進出に繋がったといえるだろう。
悔しさが残ったCS
CSでは巨人とのファーストステージ第2戦に先発し、7回2安打1失点と好投。「ある程度試合を作れて、自分の思い通り投げられた」と振り返った。
チームは巨人とのファーストステージを2勝1敗で勝ち抜き、広島とのファイナルステージに駒を進めた。ファーストステージで好投した今永は、日本シリーズ進出に向け1勝3敗と後がない第4戦に先発。一新の期待を背負ってのマウンドとなったが、立ち上がりから広島打線に捕まり、1回6失点でKO。序盤で大量点を喫したチームは敗れ、広島に1勝も挙げることなくファイナルステージが終わった。
「いつ何時でも一定のパフォーマンスを出すということを最後の最後でわからされた。そこで勉強している時点でレベルは低いと思うのですが、次はあの場所でしっかりとリベンジできるようにやっていきたいと思いますね」。プロ1年目の昨季は、最後の最後で悔しさの残るマウンドとなった。
自覚を持って2年目に挑む
プロ2年目を迎える今季は、昨季チーム最多の11勝を挙げた山口俊が巨人へFA移籍、大ベテランの三浦大輔が現役を引退。プロ2年目ではあるが、開幕投手が内定している石田健大、昨季の開幕投手・井納翔一とともに、先発の軸として投げることが求められる。
「自覚を持たないといけないと思いますし、後輩もいるので、後ろ指を指されるような先輩になりたくない。まずは練習や結果で見せていかないといけないと思うので、そのための準備を今のうちからしていきたいと思いますね」と話す。
また、具体的な今季の数字に関しては「二ケタ勝利と規定投球回数。その規定投球回数でもチームで一番多く投げたいですね」と目標を立てた。
昨季は0に終わった完投にも興味を示し、「まだ完投能力というのは僕にはないと思うのですが、チャンスがあれば、何試合でも狙っていきたいと思いますね」と意気込む。
現状に満足することなく、常に進化を求める男の2年目のシーズンがまもなく始まる。
(提供=ニッポン放送ショウアップナイター)