ホンモノの「巨人の4番」は!?
今週は巨人の4番バッターについて。
ジャイアンツの4番バッターが特別というわけではないですけど、ジャイアンツの4番が注目されることは事実だと思います。他のチームの4番より、巨人の4番ということでメディアも騒ぎますし、打っている本人も意識するのではないでしょうか。特に調子が悪くなると、特別なプレッシャーを感じて、それを克服するということが難しくなっていきます。
巨人の4番として合格点をあげられるのは、長嶋茂雄さん以降では、落合博満、かろうじて原辰徳、この2人だけではないかと個人的に思います。
例えば清原和博は、完全に巨人の4番というプレッシャーに押し潰されました。それから阿部慎之助にしても、キャッチャーの重責と故障。これに泣いて、完全な4番バッターといえるかどうかだと思うんです。
さて今年の4番・ゲレーロは、オープン戦は順調でしたが、シーズンでは度々申し上げているように、インサイド攻めに合いますので、それにどう対処していくかが課題です。
長嶋さんが語る4番の6カ条
長嶋さんがよく4番バッターの条件を、6つ話していました。
1.確実な打撃力をもっていること
2.打球に飛距離があること、ボールが跳ぶこと
3.技術的に見て決定的な弱点がないこと
4.物に動じない非常に強い精神力をもっていること
5.打つだけではなくて公私に渡って状況を読めること
6.常にチームリーダーであること。
長嶋さんがいつも話す4番の条件というのは、これだけ揃わないと駄目なんです。1995年のペナントレースを前に長嶋さんは、何が何でも巨人の4番バッターに、松井秀喜を置きたいということで、松井を4番に据えるための“1000日計画”がスタート。結果的に予定通りにはいかなかったのですが、ヤンキースで主力打者となり、最終的には長嶋さんが思い描いていたバッターにはなったとは思います。
落合さんの松井評
その松井選手のお手本である落合博満さん。落合さんが松井を見る目は当時、非常に厳しかったんです。同じユニフォームを着て、同じ打線を組んでいたときに、こんな話をしたことがあります。「松井が将来、本当の4番バッターになれるかどうかっていうと、俺は非常に難しいと思っている。もし4番の器だとしたら、もっとひたむきに何かを既に出していなければいけない。
上手くは言えないけれど、キラリと光る物がもっとあって良いと思う。いま西武で4番を打っている清原にしても、こいつは4番を打つために生まれて来た「素材」と言えるほど、良いところばかりだが、残念ながら年々錆ついてきている。松井にしても清原にしても何かが足りない。
清原はここ何年間かの練習量が、結果的に不足しているんじゃないだろうか。毎日見ているんだけど、松井だってそうだと思う。よく特打をやるけれど、30分や40分早出をやっても、そんなのは特打じゃない。最低1時間くらい打ちまくる。そういうのが特打なんだ。
俺もロッテの時、川崎球場でよくやった。愛甲なんか俺がやっているから、仕方なく付き合っていたけれど、1時間半くらい打ち続けると、彼らは打ち終わった時にバットを持つ手がもうそのままバットにピッタリと付いて離れなくなってしまう。よくコーチに頼んで、指を1本1本離してもらっていた。
俺はそんなことはなかったけれど。良いバットの握り方をしていたのかもしれない。それはともかく、ジャイアンツへ来てそんな光景にお目にかかったことがないんだ。
もし松井が本当に4番を打つんだったらそういうことをやらなきゃいけないけれど、俺の次に4番を打つんだったらもう今からやらなきゃいけない。俺を見てくれればよく分かると思うんだけれど」
かつて落合さんが仰っていたように、4番バッターになるには本当に必死の、死に物狂いの努力が必要だと思うんですね。
後世へ受け継がれるべきもの
松井さんはアメリカへ行ってあれだけのメンバーの中で打つんですから、やはり落合さんが言ったようなことを、生まれ変わった気持ちでやったのかもしれません。是非、今度はユニフォームを着て、そういう自分のやったことを後輩に色々と教えて欲しいと思います。
ここで岡本をこうダブらせて見ると、果たして岡本が、そういうことを必死でやるようなプレイヤーかどうか。もしかしたらやり出して今の活躍あるかもしれないし、まだ足りないのかもしれない。
特に岡本などは、ジャイアンツの4番という座が空いているうちに、本当に死んだ気でやらないといけないと思います。同様に、将来の日本の4番バッターとして、筒香嘉智の後を継ぐ4番として、清宮幸太郎にもこういう話を聞かせたいと思います。
(ニッポン放送ショウアップナイター)
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