ニュース 2018.07.09. 11:30

大谷翔平の故障と“魔球”フォークボール【深澤弘のショウアップナイターヒストリー】

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エンゼルスの大谷翔平
 今週は、フォークボールについてお話していきたいと思います。

 大谷翔平の戦線離脱というのは予想できたんです。でも、こんなに早いとは思わなかった。ただ、あれだけフォークボールを投げてアクシデントが起きないわけがない。それがちょっと投げすぎかどうか、あるいはもっと別に理由があったのか分かりませんけども、投手が壊れないわけがないんです。大谷もやっぱり人間だったということですね。


フォークの神様・杉下茂


 フォークボールは、1949年、昭和24年に明治大学からプロに入ってきた大投手の杉下茂さんが日本で初めて投げて話題になったのです。

 杉下さんの時に監督を務めていた天知俊一さんという、明治大学の名キャッチャーをされた方がいました。この人がフォークボールを覚えてきて、「杉下、フォークボールという、肉をフォークでぐっと刺すようなあの形を指でして、その指の間に挟んだボールを投げる。あれが流行っとるんだ。まだ日本では誰も投げてないけど、お前やってみないか。面白いくらい落ちるんだ」っということで、杉下さんも、あの人は体がでかく、指が長い、ですからフォークボールにはもってこいの人だったんです。

 杉下さんが昭和24年から投げ出したんですけど、それが武器になったかどうかというと、杉下さんは「そんなもの俺は武器にしていない」と大変怒るのです。

「俺のボールは速かったんだ。お前ら分かんないかもしれないけど。だからフォークボールなんて必要なかった。だが、ジャイアンツ戦で川上さんと対戦するときだけは、絶対フォークボールが必要だった。川上さんは俺のまっすぐだけでは抑えられなかった。川上さんを抑えるために、フォークボールを使っただけで、せいぜい1試合に5、6球しか使わない。それ以外は、あんな怖いボール使うわけないだろ。使うことできないだろ」

 その時からもう、あんな怖いボールと言われていたのですね。本当に怖いボールなんですよね。打者からすると、すとんと落ちて消えてしまう。打者が消える魔球と言いますけど、ピッチャーの方から見ると、ストライクのコースへボールを投げると、それが自然にすとんと落ちてボールになるという。なんともバッターを誘うことができる魔球なんですね。これがあれば絶対勝てるという魔球なんですね。


フォークを武器にした投手は?


 投げることによってどれぐらいピッチャーがむしばまれていくか。これは今まで多くの例が日本にあります。

 有名なのが阪神タイガースのエースだった村山実さん。14年で222勝147敗防御率2.09というすごい成績ですけれど、晩年は、私、村山さんの右手の指にも触ったことあるんですけど、血行障害などを起こして、もう全く、どんな時でも手が氷のように冷たいんです。それで最後まで投げていましたが、結局14年で現役を引退しています。

 ロッテのエースの村田兆治さん。22年プレーしましたが、この間に治療した何年間かがあります。通算22年で215勝177敗防御率3.24。レジェンドの中ではフォークボールの使い手として有名な2人です。2人ともボロボロになって、その代わりに200勝という大きな栄冠を勝ち得ています。

 最近ではご存知の野茂英雄さんがNPB5年MLBで12年、NPBで78勝。それからアメリカ行って123勝。佐々木主浩さんがNPBの12年で252セーブ、MLBで129セーブという輝かしい成績を収めています。最後は2人とも肘がボロボロです。本当に、使い果たしたという感じで日本に帰ってきました。

 現役で僕が1番気になるのは、ソフトバンクの千賀ですね。非常に綺麗な速球を投げるピッチャーですが、今シーズンも投げては休み、投げては休みをしています。速球を生かすボールが彼のフォークボール、すとんと落ちるすごいボールなんです。蒲郡高校からソフトバンクの育成選手として入団。フォークボール1本でソフトバンクのエースになりました。

 今、広島に永川勝浩というピッチャーがいます。かつて広島が今の前に強かった時のストッパーで、もう投げればフォークボール。フォークボール以外投げないぐらいのピッチャーだったのですが、あっという間に肘を壊して長いこと肘の手術をして治してまいりましたけど、ようやく今年カムバックしました。


文字どおりの“魔”球!?


 このように、ピッチャーの肘を蝕む“魔球”フォークボール。だから、メジャーリーグを見ていてもほとんど投げていない。テレビ中継ご覧になる時にぜひ注目して欲しいんですが、メジャーのピッチャーはほとんどフォークボールを投げていないんです。スプリットがいいところ。

 ヤンキースの田中将大にしても、フォークボールじゃ肘が持たないので、注射をして治しながら、なんとかスプリットでごまかしてます。したがって、ヤンキースの田中もボールのスピードがなくなって、スプリットというのはフォークボールと同じような握りなんですが、フォークボールほど肘に負担をかけないで投げることができる。ただし、フォークボールほどすとんと落ちない。でもスピードはいくらかあるという、フォークボールとまっすぐの間ぐらいのボールで。これでごまかすのが精いっぱいだと思うんです。

 大谷が右肘を痛めたのを、フォークを投げたからだと思うか、あるいはそんなこと頭になくてずっと何年間かやってきて今そのひずみができたんだと思うか。あるいはエンゼルスがどう考えるか。どう治療してどう出てくるか。非常に心配ですが、我々の心配以上にアメリカで頑張っている大谷くんが毎日、暗い生活を送っているんじゃないかと、それが気になってしょうがありません。


(ニッポン放送ショウアップナイター)

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