4年間Vなしは過去に一度だけ
今週はですね、メイクドラマが出来るかどうかの鍵を握っていると思うジャイアンツの投手陣が、少しこれで上向いてくるかな?というような感じもありますので、投手陣について掘り下げてお話していきたいと思います(※7月9日に収録)。
ジャイアンツはとにかく、セントラル・リーグの、球界の盟主として、これまでダントツの優勝回数を誇っていました。
セントラル・リーグの優勝36回、日本一になること22回、ペナントレース1リーグ時代が優勝9回ということで、絶えずジャイアンツが優勝している感じですが、実は2003年から2006年の4年間、ジャイアンツは原監督、堀内監督、もう1回原監督に戻って、色々な監督問題でゴタゴタがあった4年間ですが、その4年間は優勝していません。ジャイアンツがこれまでチームを結成して4年も優勝していないというのは、この時の4年間だけなんです。
そして今年も優勝出来なければ、2度目の「4年間優勝なし」という非常に不名誉な記録になってしまうのです。従って、今年も優勝できなければ、高橋由伸監督はどうなるだろうということに、自然と話が結びついていくわけです。
後半戦のカギは投手陣
ジャイアンツが前半、非常に大きな問題点を抱えたのは、投手陣。ピッチャーが大体、数がいない。先発投手は菅野、田口、山口、それからまだ内海も前半は出ていなかった。鍬原も今村もいなかった。従って吉川とか、あとFAで取った野上ですね。そういったプレーヤーでやってきたが結果を残せなかった。
投手陣の復調なくして、後半戦の巻き返しはないということで、新人の鍬原を起用しました。この鍬原というのは非常に良いボールをもっていてテンポも良いんですけれど、何ともこれ・・・おっちょこちょいか何かですかね・・・。だってデビューしてもう2試合連続で満塁ホームラン打たれている。しかし、その後に東京ドームで行われたDeNA戦で、勝利投手にはなれなかったけれど、良い所を見せた。
それとヤングマン。イースタンリーグの投手陣成績は7勝2敗でダントツだったんですけど、ジャイアンツは外国人選手の枠がない。ヤングマンの成績も所詮はイースタンだということで、あんまり注目しなかったんですね。ところがやっぱり、イースタンで結果が出ているんだから、一軍で使って欲しいというような要請があって、仕方なくかどうか分かりませんけれど、名古屋でヤングマンがデビューしたわけです。
立ち上がったヤングマン
「テイラーヒースー」本当はローマ字だと「ジャングマン」で、「JU」って書くんですが、これを彼自身が「ヤングマン」と呼んで欲しいということで、登録名をヤングマンにしたんです。
ヤングマンは2011年、ミルウォーキー・ブリュワーズから1巡目で指名された、テキサス大学の非常に有望なピッチャーだったらしいんです。2015年に9勝8敗という成績を残したんですが、2016年は制球難で、わずか8試合の登板。21回2/3を投げて、四死球が20個ということで、メジャーの枠から外れたわけです。
その後、自由契約になったところで、ジャイアンツが獲得したんです。メジャーの球団はどこも見向きもしなかったんですが、ジャイアンツは8630万円の年俸を提示しました。マイコラスが来た時が大体8600万くらいです。
要するに、マイコラスが来た時と同じくらいの年俸を払ったということは、ある程度ヤングマンの力を認めていたと思うんです。しかし、彼がいたことを皆が忘れるくらいファームに置きっ放しだった。
ところが、彼は非常に性格が良くて。黙々とプレーするピッチャー。7勝2敗、防御率1.43はイースタンリーグでダントツのトップです。7月1日の中日戦、もうピッチャーもいないし、ヤングマンがイースタンで良いんだから、こっちでも使えるんじゃないか、ということで一軍に上げて使ったら、8回、被安打3、フォアボール2つ、三振8つ。制球難はどこへ行ったか、非常に素晴らしいコントロールで、13個の内野ゴロを打たせました。
打たせて取る。低めのボールでゴロを打たせるという非常に典型的なピッチャーで、見事なピッチングで勝利をあげました。これで遂にローテーションに入り。そして7月1日、一軍で勝った日の夕方に、ファームの小谷コーチのところへ電話したんです。
小谷コーチのヤングマン評
「おい、ヤングマン勝ったけどどこ直したんだ?」って聞いたら「いや、どこも触っていません」と。
「あれは自然に、あのくらいは良いピッチャーなんです。どこも触っていません。ただ、外国人選手は、これで一安心して結構気楽に次のゲームからプレーしますから、1試合だけ良いからといって、これは使えると思ったら間違いだと思いますけれど。ただ何でアメリカではコントロールが悪かったんですかね。こっちではコントロールも良いし、全然そういう点では問題ない。人間的にも、性格も良い。これで彼が投げる第2戦にもうちょっと成績が伴って来たら、彼は絶対に自信を持つと思います」
「ボールはカットボール、左バッターの懐へ入るカットボールが非常に良い。それから緩い大きなカーブ。193センチの体躯から、左足をクロスステップして身体をよじるように投げてくる。だから、あれでカーブでも投げられると右の小さなバッターは、カーブが頭の上から。昔の金田さんのカーブというとオーバーだけれど、カーブが頭の上から来る感じで、非常に打ちにくいと思う。スナップスローが上手なピッチャーなので、少し足をクロスして投げて、非常に嫌な部分が出ると思うので、これがハマったら良いと思います」
そう話してくれました。
ステップの使い方が非常に器用で、スタミナも充分。コントロールはアメリカ当時悪かったようですが、その片鱗はありません。今のところイースタンの練習でもゲームでも、コントロールが悪いということはありません。ボールを離す位置が何とも、他の投手とは違うところでボールが離れてくるので、相手のバッターは面を喰らうと。
ただ、何回も申し上げますけれど、1回良かったから次も大丈夫だろうと思うと、この辺りをよく見ないとダメ。しかしこれが1つの大きな戦力になりそうなのは事実なんです。
投手王国も夢ではない!?
ヤングマンが出てきた一方で、2年連続2ケタ勝利を挙げた田口は二軍落ち。チームとしては田口に、ハードなトレーニングを課したか課さないか分からない。一向に体型が変わってこない。あれじゃ駄目だということで、今頃になってファームにいきましたね。
その代わり内海が頑張っているし、鍬原もこないだのDeNA戦で良かったので、これでプロのバッターの怖さというのが、充分わかったと思います。
この辺が全員使えるようになると、「投手王国」というとオーバーですけれど、結構先発投手が揃います。菅野、ヤングマン、山口俊、それから田口は…しばらくは難しいでしょうけど、内海、鍬原、今村なんてのも結構良いボールを持っています。
それからどうでしょうね。真ん中に宮國、田原、池田。こういったところを入れて、そのうちに野上とか吉川が少しまた甦って来るかもしれない。リリーフが澤村、マシソン、カミネロ。この辺で投手陣が、春先と違って充実してきたように思うんです。ですから、ヤングマンと鍬原の2人が完璧にローテーションに入ると、ジャイアンツは意外に強い投手陣になるんじゃないかと思うんですね。
菅野に必要なもの
ニッポン放送の解説を務めている野村弘樹さんと、東京ドームで野球を見ていたんですが、その時に菅野の話になったんですね。「野村君ね、何で菅野は今年打たれる?」って。
すると、菅野は今の投手陣だと、「自分が出た時は絶対に勝たなきゃならないという非常に強いプレッシャーに縛られていると思います。今までは何人かいたので、絶対ということはないにしても、今もう、絶対オレが負けたらしばらく、もしかしたら連敗しちゃうかもしれない、というようなことは口には出さないけれど、そういう気持ちがあったんだと思います。妙に一生懸命やって、非常に不要な力が入り過ぎている」と。
従って力が入ると、コントロールが狂って来るのは、これは常のことですから、そういう意味で菅野は乱れていると思いますけれど、ここでヤングマンとか、あるいは鍬原とか、投手陣の層が厚くなると、菅野の変身があるかもしれません。
そうなるとですね、ジャイアンツの投手陣は強くなりますね。野村弘樹さんもですね、意外にそういう明るい材料を話してくれます。さぁ、本当にメイクドラマなるかどうか、投手陣にかかっていると思いますので、ジャイアンツファンのためにもですね、ジャイアンツのピッチャーは歯を食いしばって投げてもらいたいですね。
(ニッポン放送ショウアップナイター)
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