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ジャイアンツの栄光~上原浩治の大記録【深澤弘のショウアップナイターヒストリー】

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巨人・上原浩治(C)KYODO NEWS IMAGES

トリプル100


 今週はジャイアンツの上原浩治投手の記録についてお話をしていきたいと思います。

 上原が先日、日米通算100勝100セーブ100ホールドという、トリプル100を達成しました。これは非常に話題になりました。

 なぜ大記録かというと、100勝するには、先発投手として何年間かローテーションを守っていかなくてはなりません。100セーブを挙げるとしたら、チームの最後を締める重要なクローザーとして何年間か頑張っていかなければならない。さらに100ホールドになると、クローザーや先発という名誉を手放し、中継ぎ投手として徹底してチームの勝利のために貢献する位置で好投しなければいけない。

 非常に難しい記録であり、100勝100セーブ100ホールドは、上原投手の経歴をすべて表しているような、見事な記録だと思います。

 100勝したのは、2006年8月25日に甲子園で行われた阪神戦。それから100セーブをあげたのはアメリカです。レッドソックス時代の2015年のブルージェイズ戦で、この時は40歳になった年に25セーブをあげ、100セーブを達成した。そして100ホールドは、先日7月20日のマツダスタジアムで記録しました。


それぞれの立場で求められること


 先発としては134勝しています。投手として絶対的な能力がなければ、ローテーションでこれだけのゲームに登板することは出来ない。1999年に20勝4敗、2002年には17勝5敗という文字通りエースとしての数字も残しています。日本で11年プレーし、112勝65敗です。

 それからアメリカで22勝26敗、とにかく先発投手というのは、長いイニングを投げるための体力、それからスタミナ、それより何より、チームあるいはファンからの信頼を一身に集めて、異常なプレッシャーの中で先発投手というのをこなさなくてはならない。その中で100勝以上する。先発投手は絶対的なスタミナ、体力、それからいわゆるピッチングテクニック。それから1年投げる体力も必要です。

 一方、「中継ぎ」というのは、クローザーと違っていつ出るのか分からない。ゲーム展開によって、出ないはずが急に出ることになったりする。しかもそこのところで頑張らなければ、せっかくみんなが作ってきたゲームを壊すことがあるかもしれない。「中継ぎ」というのは、油断も隙もならない。自分で計画を立てて休みをとることもできず、いつもチームに帯同し、そのゲームに出るか出ないかも分からないという、立場的に苦しいところですね。

 ただ、「中継ぎ」というのは、左が続くところだったり、あるいは右が続くところだったり、相性の良いバッターが出てくるから行ってくれとか、そういう局面を選べるので、いくらか融通が利く部分もあるのですが…。抑えは、相手が左だろうと右だろうが、強打者だろうが足の速い選手であろうが、何度でも出て行かなくてはいけない。場面を選べないということがあるわけですね。

 その中で、ファンの期待、あるいはチームの期待を一身に集めて、最後の最後の場面に登場して、そこでイエスかノーかの結果を出すという、非常に難しいところです。つくづく思ったのは、上原が器用だとかそういうんじゃなくて、どの場面でも彼はベストを尽くしたということ。


上原の思いと共に


 先日の広島戦では残念なホームランを打たれましたが、あの時もやっぱり新聞の談話で彼は、申し訳ないって言っている。

 前回申し上げたように、高橋監督が「もうちょっと点を取ってくれなきゃダメだ」みたいな、バカなことを言っている時に、上原は「僕のホームランで敗れた。本当に申し訳ない」ということをファンに対して言っている。そのくらい責任感が強いピッチャーなんです。

 その上原の手記が、あるとき日刊スポーツに出ていましたので、そこに書いてあったことをかいつまんで読んでみたいと思います。

「先発はピッチャーとして総合力が高くないとできない。これはさっき申し上げましたね?抑えと中継ぎも違う。抑えは出番が分かりやすいからコンディショニングを整えやすい。だけど打順とか打者の右左を選べない。相手も最後の攻撃で集中力が高くなってくる。中継ぎは左打者が続く流れだったり、相性の悪いバッターから始まるなら、別の投手が投げられる。だから変に弱気になるようなこともなく、思い切って打者に突っ込んでいける。負担になるのは、いつ投げるかはっきり分からない。だから抑えるより肩を早く作る能力も必要で、ランナーのいる場面から投げるケースも抑えよりも多い。牽制球やクイックの技術も非常に高いレベルが求められる」

 それから上原浩治の手記には、こうも書いてありました。

「以前、ジャイアンツにいた時はポスティングでメジャーに行かせえてもらえなかった。他球団は違ったし、当時は何で俺だけ行かせてくれないんだと不満に思っていた。でもメジャーで活躍するのが目標だったし、そのためにはジャイアンツで頑張らないといけない。抑えはピッチャーの墓場だってみんな言うけれど、墓場に入ってから、長いこと野球をやってこられたのも、ジャイアンツで頑張ってやってきたからだと思う。今では本当に感謝している。他球団だったら、ここまで野球を続けることはできなかったと思う。若い選手も多くて、戻って来るにあたっては、最初は馴染んでいけるか非常に心配だった。でもみんな一生懸命、チーム内の雰囲気も良いし、このチームなら必ず優勝できると信じている」

 彼は優勝を目標にしていますけど、本当にプロ中のプロだと思います。何しろトリプル100ですからね。この記録は大リーグの長い歴史の中でも、ヤンキースのトム・ゴードンだけ。ゴードンは138勝158セーブ110ホールド。この人が達成しているだけで、大リーグにもわずか1人しかいない。

 ジャイアンツは、この記録を生かすためにも優勝するしかないと思うんです。他のピッチャーも是非、上原のこういう話を聞けば良いんですよね。そうすれば、簡単にサヨナラホームランを打たれたり、ピッチャーが歯を食いしばって絶対に高めにボールを放らないという、そのくらいの気概でピッチングをすると思うので、1つこういう良い見本がいるので、ジャイアンツの投手陣には、頑張ってもらいたいと思います。


(ニッポン放送ショウアップナイター)

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