ニュース 2018.08.20. 11:30

1964年、五輪イヤーの野球界~挑戦と始まり【深澤弘のショウアップナイターヒストリー】

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東京五輪まであと2年


 皆さん、ご機嫌いかがですか。深澤弘です。今週はオリンピックと野球について、お話したいと思います。

 2020年の東京オリンピックは、7月22日からソフトボールが福島県のあづま球場で始まり、7月29日からは野球が始まります。侍ジャパンの稲葉監督によりますと、7月22日のソフトボールが始まった時に侍ジャパンを招集して、7月28日にゲーム前日まで最後の調整をしていけば、良いコンディションでゲームが出来ると思う。ということで、スケジュールを立てているようです。


東と西でお祭り騒ぎ


 野球とオリンピックといえば、1964年、昭和39年、前回の東京オリンピックの年にも野球が非常に盛り上がりました。

 世紀のイベントということで当時(昭和39年)はプロ野球も本当に協力して、10月10日が当時の開会式でしたが、10月9日までに何が何でもペナントレースを終了させようとなりました。

 0回総当りのパシフィックリーグが3月14日に開幕。28回総当りのセントラル・リーグが3月20日に開幕して、これで絶対に10月10日のオリンピック開会式まで(日程が)ぶつからないように進行できるという思惑でした。例によって雨が降ったりしましたけど、順調にスケジュールを消化していったわけです。

 当時はON人気も非常に高まって来たし、それから大洋、今のDeNA、阪神が強くて、セントラル・リーグのペナントレースも非常に白熱して面白かったんですね。

 セ・リーグは、ゴール直前で阪神が大洋、つまりDeNAを破って優勝しました。パ・リーグは鶴岡一人監督率いる南海が、阪急を最後に振り切って優勝。南海というのは、現在の元を辿っていくとソフトバンクホークスですね。当時の南海は、大阪にありました。難波のど真ん中に本拠地がありまして、非常にこれも人気のあったチームでした。

 ペナントレース史上初めて阪神と南海という、関西同士の日本シリーズになったわけです。要するに、1964年、昭和39年は、オリンピックが東京で、日本シリーズが大阪ということで、ビッグイベントが綺麗に分かれて行われました。

 東京のプロ野球ファンなんかは、「寂しいなぁ」と言いながら。東京の関係者の皆さんは、2つのイベントを一緒にやられたら警備が大変なので、ほっとしたようなところもあったわけですね。


白熱の日本シリーズ


 日本シリーズは、阪神の優勝決定が少し遅れてしまったので、第1戦が10月1日に甲子園球場で行われました。オリンピックの開会式が10月10日でしたから、それまでに、どちらかが一方的に決着をつけるかなと思ったんですが、南海と阪神が好ゲームを展開しました。

 第1戦は南海が2対0で勝利。第2戦は阪神が5対2。第3戦は阪神が5対4。第4戦は南海が4対3。そして第5戦は阪神が6対3。第6戦は南海のスタンカという右の凄いピッチャーが2安打完封で4対0と勝利し、3勝3敗になり、第7戦がオリンピックの開会式とかち合ってしまいます。

 10月10日、東京ではオリンピックの開会式、甲子園球場で行われた日本シリーズには1万5172人が集まり、日本一を決めました。ナイターで行われたので、南海はスタンカが第6戦にも連投し、阪神を5安打完封。見事南海がオリンピックイヤーに日本一を達成しました。


様々な出来事があった1964年


 この年はプロ野球も非常に大きな記録が出た年です。王さんが1試合4打席連続ホームラン、これは5月3日の阪神戦です。その勢いで王さんは、55本の新記録を達成しました。

 それから国鉄の金田さん。巨人入団前の金田さんが4000奪三振を達成し、14年連続20勝という、今では考えられないような記録を作りました。大いにプロ野球が沸いた年で、同時に海の向こうでマッシー・ムラカミさん(村上雅則さん)がサンフランシスコ・ジャイアンツで、日本人が初めてアメリカの大リーグで勝つという大きな出来事もあったわけです。

 また、この年のオフになると、商売人としては有名な西鉄の西代表が、「新人プール方式」という制度の原案を提示します。

 これが今のドラフト制度の始まりなんです。どうもプロ野球には良い選手はみんな1ヶ所に固まってしまう。もっと戦力を分けようということで、西鉄の西代表というのが「新人プール方式」というのを提案して、これが後のドラフト制度になりました。ちなみに第1回ドラフト会議は翌1965年に行われました。


1度も首位に立てなかった巨人


 昭和39年は、プロ野球の歴史の中で非常に地味ではあるけれど、色々なことがあった年でした。この年のジャイアンツは、ONがいたのですが、1度も首位に立てなかったんですね。

 最終的には3位に終わるんですが、それは1位にも2位にも投手陣の故障が響いて、藤田さんが8勝11敗、城之内さんが18勝16敗。負けがこんでしまって、両エースがこれではなかなか勝てない。

 しかしジャイアンツは、この昭和39年を本当に反省して、昭和40年から強いチームを作ってオリンピックの翌年からジャイアンツは9連覇するわけです。どうやってチームを変え、どうやって強いチームを作ったのか――。今年のジャイアンツには、先輩方がやって来たことを、ぜひ見習って欲しいと思います。


(ニッポン放送ショウアップナイター)

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