ニュース 2018.09.10. 11:30

元・名一塁手が語る「一塁手」の使命と難しさ【深澤弘のショウアップナイターヒストリー】

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王貞治氏 [写真=Getty images]

一塁は過酷なポジション!?


 今週は一塁手について。一塁手はあまり話題になるポジションではないのですが、果たして難しいのか簡単なのかと、時々話題になります。

 内野のゴロを捕った後、ボールを捕れば良い。ただそれだけで良いじゃないか。ファーストゴロ、ファーストフライは、ボールを捕って自分で入れば良いので、遠くへ投げる心配はまったくない。細かいサインプレーなんかに参加することも少ないと、一塁手ではない人たちは「一塁の守備は簡単だ」と言うのですが、実際はどうなのでしょうか。


王さんの考え


 まず一塁手としての名手・王さんの話です。

一塁というのは、結構みんなバカにするけど難しい。大体一塁手はチームの中で、ボールに接触する機会がキャッチャーの次に多いポジションです。他の内野手、或いは外野手は極端に言えば1回もボールが来ないときだってある。

ところが、一塁手はどんな場合でも絶対にボールが来る。非常に忙しいポジションなんです。自分のところにいたゴロをフライに対処しなくてはいけない。みんなが捕ったゴロにも当然対処しなくてはいけない。

すべての内野手を相手にしなくてはいけないとなると、相手がシュートボールみたいなボールを投げてきたり、ショートバウンドが多かったり、非常に悪いボールでも何とかそれをカバーして捕らなきゃいけない。ランナーが出れば牽制球が必ず来る。もう一塁から離れるわけにいかない。

チームプレーになると、カットプレーを含めてすべてそのプレーに参加することになる。ゲッツーの時なんかは本当に紙一重の凄いプレーが一塁ベース上で展開される。

それと、ピッチャーの傍にいるので、激励しなくてはいけない。これだけの仕事があるんですよ。それをね、やっぱりみんなが結構一塁を甘く見ている。そんなこと絶対ありません。


 王さんは盛んに一塁は難しいということを言うんですね。考えてみると、王さんの一塁の守備は本当に特別で、すべて備えていました。王さんも簡単に一塁の守備をやっていたので、本当に一塁は簡単に出来るんだなぁと見る時もあったのですが、王さんの話を聞くと、今のように非常に難しいと言うんですね。


広岡氏の見解


 ところが、これが王さんの先輩でジャイアンツのショートを守っていた広岡達朗さんは、「何? ファーストなんて簡単だよ。あそこはね、内野手の墓場なんだよ」って酷い言い方をするんですね。

 内野手の墓場がどういうことかというと、三塁を守っていたが、前の打球に弱くなった。ショートを守っていたが、肩が弱くなった。それからセカンドを守っていたが、肩が衰えてなかなかゲッツーが出来ない。そういう選手は、リタイアさせるには惜しい。一塁手で彼らの打撃を活かそうか。ということで一塁に回す。

 つまり内野手の最後の墓場は一塁なんだ、と広岡さんは非常に極端な言い方をするんですね。もちろん広岡さんの意見に賛成する人もいるんですけれど、一塁手はこぞって反対するわけですね。


一塁手は2つのケースに分けられる?


 一塁手は2つのタイプに分けられています。1つは、生まれつき左利きで身体の大きなタイプ。それから別のポジションから一塁へコンバートされるケースです。

 巨人の名ショートで、後にヤクルトと西武の監督を務めた広岡達朗さんは、だから「一塁は内野手の墓場だ」と言うんですね。実際に広岡さんが仰るように、サード、ショート、セカンドからファーストにコンバートするというのはよくあります。

 ただ王さんのように最初からファーストで、あれだけ見事な一塁手と、コンバートで一塁となった選手を一緒にするということはいけないと思います。

 かつてジャイアンツで一塁を守っていた駒田さんなどは、高校時代はピッチャーを務め、プロ入り後に一塁手となりましたが、イ・スンヨプなどは、ロッテ時代は外野で、そこから一塁にまわった選手です。

 広岡さんの話も「なるほど、まるで間違ってはいないな」と思うのですが、ただ「墓場」という言葉が、いかにも一塁手にはカチンとくるらしいんですね。


駒田さんの意見


 一塁手というのはそんなに「墓場」に思うほど優しいのかというと、元巨人の名一塁手・駒田徳広さんの意見は次のとおりです。

いやぁ~優しいっていうことはないですよ。ゴロを捕ったり、中継プレーに参加することはあんまりしないけれど、試合中ボールを捕るということでは、キャッチャーを除けば1番多いんじゃないですかね。それだけでも大変だと思うんですよね。

しかも走って来る打者走者と交錯しながら捕る。これはもう一塁手をやってみないと分からない。おっかないです。ファーストベースをしっかり踏んでいなくてはならない。非常に交錯するのがこわいです。

おまけに、野手が投げて来るボールがすべて捕りやすいボールとは限らない。大体がシュート気味で来たり、本塁寄りにボールが逸れて来て、走って来るランナーが来るから、結構このボールとランナーが接触して捕りにくい。野手からのボールは絶対捕ってやると思っているので、何とか捕ることは出来るけれど、結構一塁というのはやっかいなポジションなんですよ。

ただ僕の巨人時代はサードが原さん、ショート・川相さん、セカンド・岡崎、みんな綺麗な球筋のボールを投げてくれたので、一塁手としては割と楽で、もしかしたらそれだけを見ていると、「一塁は楽だ」と思ったのかもしれませんね。

よくピッチャーがピンチになると内野手がマウンドに寄っていくけれど、僕らの時は原さんは結構マイペースで、知らーんというような顔をして、あまりピッチャーのところへいきませんでした。

それで仕方がないから、岡崎と川相さんに「おい、マウンドに行くよ」と合図して3人で行くと、最初は行っていたんだけれど、その内2人から、「いいよ、いいよ。行かないで良いよ」と戻っていく。

ある時ピンチを逃れてチェンジになりベンチへ帰って来た岡崎に、「何で行かないのよ?」と言うと、岡崎選手は「俺たちはな、みんな考えてごらん? ピッチャーが駄目で内野手になったんだよ。そんなのがピッチャーとして立派に生き残っている奴に、声をかける資格なんかないよ」と言うので、なるほど、それも理屈だなぁと思って、以後、「頑張れよー!」と遠くで声を出すことくらいしかしなくなった。

一番、神経を使うのがファーストゴロで、自分ではベースに入れないので、ベースに入って来るピッチャーにボールをトスする。その時だけは非常に気持ちを込めて、ピッチャーが捕りやすいように丁寧に投げた。

特にちょっと距離があって上から投げる時なんか強い球が行くので、それを分かって貰うために必ず左膝を地面につけて、「ちょっと強いのが行くよー」というように目で合図して投げていた。

 一塁手はそういう風に色んなところで気を遣うんです。ですから、一塁手が優しいということはないと思うんですが、以後そのつもりで一塁を見ていただきたいと思います。



(ニッポン放送ショウアップナイター)

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