ニュース 2019.01.21. 11:30

菊池雄星が受けた衝撃…野球人口の減少と未来【深澤弘のショウアップナイターヒストリー】

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米国への出発を前に取材に応じた菊池雄星投手=12月16日・成田空港

中学の野球部員は17年で半数に…


 今週は、菊池雄星投手のちょっとした新聞記事からお話していきたいと思います。菊池雄星がですね、実はショックを受けた事があるという、日刊スポーツにでていた小さな記事についてです。

 3年前のシーズンオフに故郷の岩手に帰って母校の小学校で講演をした時、その帰りに野球チームのキャプテンという少年から手紙を渡されました。帰りの新幹線の中でそれを菊池雄星が読んでいたら思いがけない事がそこに書いてあった。

その手紙の一文ですが、「友達を誘っても野球をしてくれません。雄星さんから誘ってくれませんか。チームには今、12人しかいないんです。このままだと来年は野球ができなくなりそうです。」と書いてあったそうなんですね、それを見た雄星は非常にショックを受けて少子化のスピードが予想以上に進んでいると。特に故郷である岩手では少子化のスピードが激しという事を痛感して、新幹線の中でショックを受けたそうです。

 この日刊スポーツの記事によると、中学校の男子野球部の生徒数が2018年は16万6800人。2001年まで遡ると32万1629人なので、17年間で半分近くになってしまった。これに菊池雄星は非常にショックを受けたそうです。

 で、サッカーの方も調べてみると22万1806人から19万6343人とサッカーも減っているんですが、野球がそれ以上で野球はなんと2018年に中学校の部員数というのが16万6800人。サッカーの19万6343人に抜かれてしまいました。


観客増も競技人口は…


 野球選手は雄星だけでなく、誰もがショックを受けると思うんですが、とにかくこの数字を見たときに菊池雄星は言葉が出ない程ショックを受けたと。もうトークショーとかそんな事をやっている場合じゃないと。もっと幼稚園とか子供たちの身近なところに行って野球を始める前の子供たちから、色々教えて野球に誘わなければ駄目だと。菊池雄星は痛感したそうです。

 菊池雄星の言葉もでていました。球場にいるとお客さんがいつも来てくれて球場のお客さんは増えている。だから野球はすごく盛んなんだと思うけれど、実際のグラウンド場、現場は違う。自分の目で見ないといけない。だから自分が結果を出す事によって岩手の子供たちにも世界で誇れるような思いを持ってもらいたいし、後に続いてほしいということを強く感じたと、記事の中では言っております。

 シーズンオフになると、戦力外通告とか暗いテレビの番組が色々と出てまいりますが、そうすると野球は駄目だ。サッカーだって同じだ。なんて野球関係者だけではなく、みんな大きなショックを受けるんですが、菊池雄星が感じているのは、球場にはお客さんが一杯来てくれる。でもどうして野球をやっている子は減っているのかと。

 これでは、今お客さんが一杯来てくれていても将来につながらない。これがショックを受けた大きな原因だと思うんです。アメリカへ旅立つ前に、これは3年前の話になりますけれど、この記事のことは忘れないでしょうし、こういう大きな刺激を受けたということは向こうで頑張る材料ができたと思うんです。


サラリーマン希望が増?!


 これとは別にですね、先日NPBからユニフォームを脱いだ後の選手の動向について発表がありました。かつてはですね、一番大きいのは解説者になること、それから2番目にはユニフォームをそのまま置いてコーチになることでした。

ところが今年の結果はガラリと変わりまして、サラリーマンになりたいという戦力外通告の選手の比率が15.1%。それから大学、社会人の指導者になりたいというのが12.3%。社会人のプレイヤーになりたいというのが11.5%。高校野球の指導者になりたいというのが少し減って11.1%。海外で現役を続行したいというのが8.7%で、サラリーマンになりたいという数字が本当に出てきたんですね。

 今まである事にはあったんですが、こんなに多くはなかったんです。今までは例えばラーメン屋をやりたいとか自営をやりたいとか、それからどこでもいいからユニフォームを着たい、どこでもいいから解説者になりたいというのが多かった。

 それと同時に高校野球の指導者になりたいというのも今までは多かったんですが、高校野球の指導者になるって事もそう簡単ではない。プロ野球の指導者になることはさらに大変だと。しかもプロ野球の指導者になったとしても、コーチだと1500万いくかどうかの年俸で1年契約。契約のある年はいいけれども来年の保障は何もない。

 プロ野球の指導者というのはすごく有名で、すごく実績があって、監督になれる原さんみたいな人は問題ないんですが、そうじゃない人がプロ野球で再び生きるというのは狭き門だと。

 大学・社会人の野球にいくといっても、これだってそうバンバン入れるものではない。みんな狭き門なんです。海外の現役続行というのは、やはりアメリカへいっても3A止まりではどうにもならないので、台湾とか韓国、日本よりも少しレベルが落ちるところでやる他ないと思うんです。

 ですからそういう事を冷静に考えた場合は、やはりサラリーマン。サラリーマンを多くの選手が望むというのは、これは当たり前だと思うんです。

 それから今まで見ていると一番簡単なのは商売をはじめる事なんです。ラーメン屋やったりとか。ただ、これがね、野球選手がやって長続きした事がないんですね。ですからこれだって決してオススメできるものではない。

 NPBではやめたプレイヤーたちに色んな職を勧めています。NPBには随分色んなところから営業職として誰か1人紹介して欲しいとか一杯来るんですが、そういう事を勧めると「僕は生まれた時から野球しか知らない」と。「野球以外はやった事がないので自信がない」という事でみんな今まで断ってきたんですが、サラリーマンになりたいという人が増え、その人たちがきちんとした仕事をして、ある程度お金をもらうようになると、そういうルートっていうのもしっかりできてくると思うんです。

 入るほうも少なくなっている出る方も少なくなっているとは言えないけれど、なかなか行きたい所へ就職するのも狭き門。ですからプロ野球ってのは大変だなと。サッカーもそうですが、だから入団前に多額の契約金が付くし年俸なんかも普通のサラリーマンに比べるとかなりいいものがある。それと努力すればするだけ自分が金銭的に幸せになる。決して捨てた商売ではないと思うんです。

※12月22日収録

(ニッポン放送ショウアップナイター)

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