ニュース 2019.02.04. 11:30

ON時代は明石で!? 各球団のキャンプ地事情【深澤弘のショウアップナイターヒストリー】

キャンプは大事!


 今週はキャンプについてお話していきたいと思います。ON時代のキャンプは、大体第1クール、第2クールと、最初の1週間くらいは身体づくりで走る事にほとんど明け暮れたんですが、最近は身体をつくった状態で2月1日のキャンプを迎えるという風になりました。

 キャンプに入った瞬間からフリーバッティングをやったり、あるいはピッチング練習をしたり、早いところだと紅白戦をやるという、非常にキャンプのテンポも変わってきました。

 楽しいシーズンオフはあっと言う間に終わる。よく江川さんが現役時代に言っていました。プロ野球の選手というのはキャンプがなければ最高だと。キャンプというのは、それほど絞りに絞られるということなんですけど、それによって新しい技術を身につけたり体力を身につけたり1年間を乗り切る力をつけられるので、これは絶対に避ける事ができない。

 契約の問題や身体の故障などで、キャンプをやらないでシーズンに入ったという選手が時々いるんですけれど、そういう選手は大体シーズン途中にへばったり、それからダメになったりという事が多いので、このキャンプをいかに全うできるかというのが、プロ野球選手にとってはひとつ大きな目標だと思うんです。


ジャイアンツと宮崎の関係


 昭和33年、ON時代のジャイアンツのキャンプというのは、兵庫県の明石でやっていたそうなんです。私はこのキャンプは行った事ないんですが、兵庫県の明石は瀬戸内海に向けて開けてはいるんですが、北に山があったり、非常に寒い所ではある。

 昭和34年からジャイアンツは今の宮崎へ移ったのですが、なぜ34年からかというと、それまで宮崎にずっと腰を据えていた近鉄バファローズというチームが、何を思ったか四国の今治に移ったから。その代わりジャイアンツが宮崎に来て、これは良い所だとなり、宮崎にジャイアンツが居座った訳なんです。

 今までは沖縄のキャンプというのはあまりなくて宮崎でキャンプをやるというのがそれまで当たり前だったんです。なぜなら沖縄の2月というのは暦上で大体雨季、雨のシーズンだから。

 あまり良い天気ではないという事で、それが定説になり、だったら宮崎がいいだろうという事で宮崎なんですが、長嶋さんが居た当時の宮崎キャンプは今のような広々したところではなく、JR宮崎駅前の非常に狭いグラウンドでやっていました。

 その狭いグラウンドに、川上さんやONがいて、お客さんが来たんですから、その時のグラウンドの騒ぎようというか、喧騒は察しがつくと思うんです。その側をSLが走っていて、非常に茶目っ気の多いSLの運転手さんなんかは、応援団に挨拶するために汽笛を鳴らしたり非常に賑やかでした。


夜の街へは……


 とにかくここではあまりにも狭すぎるという事で宮崎市が青島にゆったりしたグラウンドを開設し、今のジャイアンツの練習場に繋がっている訳ですけれど、駅前キャンプの時代は、選手も宿舎も宮崎市内の大江戸川の流域にあった江南荘という日本旅館が選手の宿舎でした。

 川を挟んだ向かい側に宮崎市外のネオンがチラチラ映るので、川上さんだけじゃなく選手たちの腰が浮くような、そんな場所だったので、夜の街はジャイアンツナインがウロウロしていたという、今とは全く様相が違ったんです。

 のちに青島へ移ってからは、宮崎市街に出るのに選手の宿舎からだとタクシーで4000円くらいかかるので、選手も毎晩という訳にはいかなくなる。同時に夜の練習、それまでは夜の練習はなかったんですけど、最近は考え方が変わって夜間練習が当たり前になり、夜の街に繰り出す事は全くなくなりました。


キャンプのルーチン


 朝は大体7時頃に起床します。体操したり散歩したりしますが、体操や散歩を辞める球団も最近は出てきましたね。そんなに早く起きるんだったら寝かせてやろうと。それでも大体7時30分から朝食の用意が出来ていて、8時半くらいまでの間に朝食を摂って、それからユニフォームに着替えて出発の用意をして9時に各チームがそれぞれホテルを出て10時にはグラウンドに着いてウォーミングアップ。それから内外野のノックや走塁。こういう事は大体午前中やります。

 午後は午前中の途中からピッチャーがブルペンに入り、午後にかけてブルペンでのピッチングが本格的になると同時に、メイン球場ではバッティング練習をやります。バッティング練習は一人で沢山打ったり、あるいは打順を決めて実践的な練習をしたり、これはチームによって違いますが、大体11時くらいから13時くらいまでバッティング練習。それから紅白戦をやったり、それぞれが持つ課題を克服するために個人個人の練習をしたりします。

 さっきも申し上げたように、以前は沖縄のキャンプではなく、ほとんどが宮崎か四国でキャンプやっていて、15時くらいになると夕方の風が吹いて寒くなり選手が風邪をひいたりするので、メイン球場での練習というのは大体15時くらいまでに終わっていました。あとは個人個人が室内の練習場で、いわゆる特打というのをやったり、全スケジュールをこなすと17時頃になります。


沖縄と宮崎の綱引き


 キャンプの費用というのは、1回のキャンプで1億円というのが相場でしたが、今はざっと見積もって1億5000万くらい費用がかかるのではないかと思います。

 さっき申し上げたように、沖縄のキャンプにはあまり目を向けていなかったので、沖縄の自治体が観光キャンペーン、あるいは沖縄のフェアのためにとにかくキャンプに来て欲しいと頑張りました。

 雨が降ってもあまり関係なく練習できるような補填練習場を整備するから、ぜひ沖縄でキャンプをやってほしい。という事で各市町村が立派な補填練習場を持っているのですけれど、沖縄の補填練習場というのはキャンプをやらない時はどうやって使っているんだろうというほど立派。雨が降っても大丈夫だと安心して沖縄で練習できるようになったんです。

 非常に暖かいですから宮崎なんかよりキャンプの能率が上がっているのは目に見えています。しかし、宮崎もジャイアンツに対して宮崎市がとんでもないお金で施設を充実させる。広島に対して日南市がとんでもない対応で、広島行かないでくれと。それから南郷という所で西武がやっていますが、そこには西武が経営している立派なプリンスホテルというのがある。そういった事で、それぞれみんな理由があり宮崎でやっています。

 ただジャイアンツも溜りかねて半分は沖縄という事になりましたね。例えばジャイアンツは新たにブルペンをつくったそうで、6人くらい一編に投げられるブルペンを作り、それが1億6500万円くらいかかる。当然、宮崎市もお金を出しているでしょうし、お金というのは非常に馬鹿にならない。

 市町村もキャンプを引き止めるのに必死だし、球団もその好意に甘えてそう冷たい事はできない。ということで各自治体と我々が分かんないような、とんでもない関係ができて続いている。これはお互いに地方自治体にとっては観光のためにチームにとっては非常に地元の人が気をつかって迎えてくれるので気持ち良い練習ができるという事でそれぞれいいキャンプを送っているようです。

 という事で、良いキャンプの条件は揃っているのですが、その中でやっていても怪我人が出たりします。首脳陣はただひたすら、首脳陣が願っているのは怪我なくキャンプを終えていいシーズンに入りたい。首脳陣はただひたすらそれを願っている訳です。


(ニッポン放送ショウアップナイター)
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