ニュース 2019.02.25. 11:30

立浪、権藤、藤村、野球殿堂入りした功労者たちの功績【深澤弘のショウアップナイターヒストリー】

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現在野球解説者を務める元中日の立浪和義氏

栄えある野球殿堂入り


 今週は、ちょっと古くなりましたけれど、野球殿堂についてお話していきたいと思います。

 野球殿堂というのは、今年の場合は新聞記者による371票の投票によって決まった訳ですけれど、一番新しい投票では、元中日の名選手の立浪和義さん、それから中日のかつてのエースで色んなところで監督をやられた権藤博さん、高校野球で有名な脇村春夫さん、この3名が選ばれました。

 立浪さんは、今さら説明する必要のない名選手。権藤さんは、中日のエースとして活躍した時期は短かったんですが、その後も監督としても横浜を優勝させるなど、何か驚きをもたらすような人ですね。

 それから脇村春夫さんというのは、高野連会長として有名な方で、プロアマ、プロと高校野球の交流に尽力した方。この人が特別表彰ですが、脇村春夫さんは私よりちょっと年上なんです。1984年に神奈川県代表の湘南高校の選手として甲子園に出まして、三塁手として甲子園で初優勝した。なんと初出場で初優勝。

 いわゆる学力の高い進学校が優勝したという事で、当時は大変な話題になりました。その後、東大に入り、東大のキャプテンまで務めました。その脇村春夫さんが特別表彰で3人目の野球殿堂入りとなった訳です。


意外?! PL初の殿堂入り


 立浪さんは49歳で中日一筋、1988年から2009年まで22年で2586試合2480安打、その内なんと二塁打が「487」。これは日本のプロ野球記録になっています。身体はそれほど大きくないんですが、ホームランは171本、打率.285と活躍した人です。PL学園で甲子園に3回出まして1987年にはキャプテンとして甲子園で、春夏2連覇という大偉業を成し遂げました。

 1988年の開幕戦で星野仙一監督がスタメンに使いまして、この年に中日がリーグ優勝を果たします。1997年にはサイクルヒットを打ったり1試合5安打という記録を作ったりします。2009年に引退しますが、その間にベスト9が2回、ゴールデングラブ5回という非常に輝かしい成績なんです。PL学園は多くのプロ野球選手を輩出しているんですが、プロ野球OBとして野球殿堂に入ったのは立浪さんが初めてだから驚きです

 何を申し上げたいかというと、何もなければ本来、この殿堂入りに名を連ねるのは清原和博さんだったんです。PL学園からの殿堂入り第1号となるはずが、色んな事件がありまして、清原さんがプロ野球の殿堂入りを果たすのは難しいのではないかと一般的に言われています。

 あのPL学園から立浪さん一人というのは意外でした。でもこれは歴史を積み重ねないと入れないものなので、そういった意味でPL学園出身の殿堂入りは、これから出てくるかもしれません。


驚愕の400投球回


 権藤博さんはブリヂストンタイヤから中日に入り、いきなり400回以上投げたんです。「422回1/3」。これはリーグ記録どころか、プロ野球記録として今もなお残っています。今は200イニング投げるピッチャーがいるかどうかという時代で、今年の菅野の目標が200イニング投げる事だと言っておりますが、権藤さんは新人の時に、1961年に、400イニング以上を投げました。

 それが大きく影響したんでしょう。肩を壊してその後、何年かやって野手にも転向したんですが、1969年に現役引退。従って現役生活は野手時代を入れて8年間という非常に短い期間で終わってしまいました。

 野球殿堂に入る人の資格を見てみると、『長い間プロ野球の発展に貢献した』というのがあるんです。そうすると、わずか8年では長きに渡って貢献したという規定には当てはまりませんが、権藤さんは引退後、中日や近鉄、ダイエー、横浜でコーチや監督を務め、横浜ベイスターズを日本一に導く衝撃的な成績もありました。

 その他にも、投手の分業化という事も強く言いました。今は当たり前のことですが、そういったことも全部、権藤さんのお陰でこうなったのではないかという事で評価され、野球殿堂に入ったわけです。


高すぎた代償


 実は権藤さんのピッチングフォームを見ると、基本からは少し外れたフォームなんです。投げる時にまず右足のかかとを上げるんです。右足のかかとを上げるとウェイトが前にいっちゃう。これはピッチャーとしては絶対に禁物なんです。

 でも権藤さんの考えとしては、それで反動をつけていいボールを投げる。現実にいいボールがきていたんですけど、そういう少し基本から外れただけで無理と言うのはきます。そのフォーム的な無理と、400イニング以上を1年で投げたという酷使の2つでもって権藤さんは駄目になった。

 それで「ピッチャーに二度こういう嫌な思いをさせたくない」「俺が監督あるいはコーチになったらピッチャーを分けて分業にする」と言っていた時に、アメリカでも先発、中継ぎ、クローザーというシステムをとる様になり、アメリカの流れと権藤さんの流れがマッチしたんですが、例えばニッポン放送の解説をやっている江本孟紀さんなんかは、この分業に大反対なんです。

 先発完投できないピッチャーなんてのは2番目のピッチャーで、決してエースとは言えない。6回まで投げて何点? そんなのピッチャーの資格ではないんだ。ということで、そのためには投げ込んでいい練習をしなきゃいけないというのが江本さんの考え。その江本さん的な考えというのも沢山います。

 それから権藤さん的な考えの方も沢山います。この2つが今日本のプロ野球のピッチャーに対する考えを分けた感じですが、権藤さんの考えが評価されて野球殿堂に入りました。

 次の候補には、ヤクルトの高津さん、それからジャイアンツを辞めた川相さん、ヤクルトのコーチをやっている宮本慎也さん、DeNAのラミレス監督。この4人が次のプレーヤー候補で、次のエキスパート候補は、田淵幸一さん、それからランディ・バース、掛布さん、このあたりが候補になっており、まだまだ若い人の順番は来ないかもしれません。

 今日は野球殿堂にまつわる話題をお伝えしました。


(ニッポン放送ショウアップナイター)
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