ニュース 2019.07.01. 16:51

2度の全国優勝を誇る監督が「勝利至上主義」を捨てた理由



■気がかりは小学生の指導者


しかしそれでも子供たちの健康被害をかなり少なくすることができたのは、大きなことだと思います。
高校、大学で肩ひじが痛くなって投げられなくなったり、手術を受けたりする選手の中には中学、小学校時代の酷使が原因である例が多くあると思います。でも、当の少年野球の指導者は、そのことをほとんどわかっていません。
自分の教え子が大学に進んでから手術をした、肩ひじの故障で野球をやめたと聞いても、
「ひょっとして俺らの指導に原因があったのでは」と思う小中の指導者は皆無だと思います。
問題は、そういう指導者の意識にあるのではないでしょうか。

■自分をコントロールできる子もいる


永年やってきた中で、父母の反応も変わってきました。
堺ビッグボーイズの指導法を聞きつけて、愛知県、滋賀県、京都府、兵庫県、和歌山県からも子供を連れてくる親御さんもいます。
その反面、小学校の強豪チームにいた子供の親の中には
「これでは勝てない」「いい高校に行けない」と、堺ビッグボーイズを敬遠する人も現実にいました。
その子たちが隣のチームに入部して、そこで酷使をして結果的にケガをしてしまう。そしてそのチームにうちが負ける、というパターンをよく見てきました。隣のチームは勝つけど、選手の寿命は縮まる。悲しい現実です。悔しいし、無力感を抱きます。

アメリカには「無理をする」という発想がありません。「甲子園」がないからです。
甲子園があるから、選手は「あそこに行きたい」と思い、親も指導者も「行かせてあげたい」と思う。
しかし甲子園に行こうと思ったら、時間がないから、やらなければならないことも多くなる。無理もする。結局、問題の核心は「甲子園」によるものが大きい、ということになるでしょう。

■どこからでも変わろう、という機運が


高校野球の「球数制限」は、もちろん導入した方がいいと思います。
でも、それ以上に重要なのは「日程」でしょう。
1日に投げる球数もさることながら、続けて投げるリスクは高いと思います。
新潟高野連が導入しようとしたことで、皆さんの頭に「球数制限」という言葉が入りだしたのはいい傾向です。「やらなければならないなあ」という認識が広がっていけばと思います。

少し前まで、高校が球数制限をやれば、中学、小学校もそれに倣うだろうと言う人が多くいましたが、先駆けて今年の春から全日本軟式野球連盟が学童野球で導入を決めました。
また、私たちのボーイズリーグでも関東地区で一部、テストケースとして、球数制限を用いる大会が開催されました。
「高野連が変わらないと」といっていたのが、今はどこからでも変わろう、という機運になっています。そうなったら高校野球はどうするのか、という問題になってきますね。
中学校、小学校の意識改革が進む中で、高校野球はどうしていくのか、それを今後も注目したいと思います。(取材・写真:広尾晃)

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