ニュース 2019.07.26. 12:07

ロマンか酷使か? 日本野球の「エースシステム」誕生の歴史(後編)



■プロ野球は「分業システム」に移行


プロ野球が「エースシステム」から移行するのは、1972(昭和47)年にセーブ制が導入され、投手が先発、救援への分業が進んでからだ。平成に入るとローテーションも厳格に守られるようになった。

この間に、打者の打撃力は向上し、投手は速球やカーブなどの従来の球種では打者を抑えられなくなった。このためスライダーやチェンジアップ、フォークなど多彩な球種を投げるようになり、肩、ひじへの負担も増した。プロ野球の投球そのものが、大きく変わったのだ。

現代のプロ野球では先発投手は中6日、7イニング程度を目安に投げるようになった。また傑出した投手が登場しても登板過多にならないように配慮するようになった。

プロ野球は「球数制限」は実施していないが、キャンプでのブルペンから試合前、試合中の練習まで、厳格に投球数がカウントされている。

■広がる「プロ」と「高校野球」の乖離


プロ野球が「分業」「ローテーション」が一般的になるなかで、関係者の中には高校野球とプロ野球の投手起用のギャップを指摘する声が大きくなっている。

プロ野球のスカウトの中には、有望な投手が甲子園の登板過多によって肩ひじに損傷を負うことを懸念する声も出始めている。

また、野球の国際化が進む中で、10代の選手の球数制限をしていない日本野球の特異性が浮き彫りにもなっている。(広尾晃)

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