原テイストを味わったシーズン
なんだかんだ言っても、原辰徳監督の年でしたね。ということで、今回は巨人・原辰徳監督についてお話したいと思います。
2002年、長嶋監督から巨人の監督を受け継ぎ、4月3日の中日戦で初勝利を挙げ、原監督がスタートしたわけですが、リーグ優勝7回、日本一3回、この数字は見事ですね。で、2015年に退任しますが、2018年に3度目の監督に就任して、監督生活も17年ですから長いですね。
今年、東京ドームの広島戦で通算1000勝をマークしました。1000勝なんて簡単に出来る物ではないので、大したものです。どちらかと言えば、原監督は長嶋派ではなく、亡くなった藤田元治監督を慕って、非常に尊敬をしていました。長嶋さんとの関係が良くないということではなく、藤田さんをこよなく尊敬し、色々な意味で、藤田作戦というのを参考にしながらタクトを振るっていたと思います。
今年は、原テイストを存分に出した1年だったと思います。苦しい時も、苦しくない時も、原テイストいっぱいの野球を、巨人ファンの方は味わったと思います。そして今年くらい、ファイティングポーズ、とにかく向かっていけ!という姿で、相手に向かっていった年はないと思います。という事を見ると、原監督は、少し若返ったような、非常に闘志あふれる指揮官ぶりでした。
原監督のチーム総括
攻守に奇跡的な、そんな言い方をするとちょっとオーバーですが、奇跡というか、奇襲ですね、そんな作戦を立てて、それが上手くいって自分が楽しんでいる、失敗して苦笑いをしている。そういう場面もいっぱいありました。そういった意味では、結構、楽しんだのではないでしょうか。
それから、ベストを尽くして戦う選手を尊重しました。適当な選手には、非常にきつく当たっていましたね。だからある時期、ゲレーロ選手などを干しちゃった。でも、ゲレーロ選手が、やる気があって、出てきて、使う、ホームランを打つ、そうするとゲレーロ選手が泣きながら、あのゲレーロ選手が泣きながらホームインする。そういった場面もありました。これも、原監督のムチが効いたのではないでしょうか。
その原監督のインタビューの内容をお伝えいしたいと思います。
▼ チームについて
今年は、非常に未完成なチームでしたが、優勝に導くことが出来て何よりだったと思います。ペナントレース開幕の後、チームを完成させながら行こうと思うんですけれども、完成どころではない。勝って完成という事を考えたんですが、なかなかそんな甘いものではない。とにかく厳しい形で前半を終えました。
連勝して喜んだかと思えば、連敗してガックリくるという、非常にアップダウンの多い、変わった1年だったと思います。
▼ 岡本選手について
岡本にしても、去年、30本塁打、100打点、3割を打って、今年はそれを上回る4番バッターというのを我々は期待しました。しかし、完成とはほど遠い結果で、とうとうどれが本当の形だろうな、というような、形を求めながら岡本は、シーズンを終えてしまいました。
中でも、まあまあいい所でよく打っていたし、彼の力も優勝に大きな貢献をしたと思います。シーズンを通して、4番を打ったという経験は大きいと思うし、これがこれからの彼の野球生活の大きな礎になると思います。
▼ 坂本選手について
これは断トツ。チームから見たら断トツです。もうあんなプレイヤーはいません。普段の生活も明るいし、常に前向き。彼もエラーをする時はあるけれど、決して腐る事はない。
ホームランも40本。私もホームランを打ちましたが、彼の打撃のタイプから言っても、ホームラン40本はとても考えられない。しかも、勝負を決めるようなホームランがライトに多かった。彼の大きな成長もあったと思います。坂本は、断トツのMVPだと思います。
▼ 丸選手について
丸の獲得も大きかったと思います。丸が抜けただけで、広島があんなに困るんですから、丸が巨人に来て、どんなに力になったかというのは、皆さんおわかりだと思います。
彼は、いつも明るいし、そして親しみやすい性格なので、簡単にチームメイトと仲良くなった。特に坂本とのコンビネーションは抜群で、坂本が技術的な事を教わっていたようです。逆に丸は、生活の仕方なんかを、坂本に教わっていた。このふたりが上手くいった事が、今年の巨人にとって、大きな、無形の力になったと思います。
▼ 菅野投手について
菅野が誤算と言えば、誤算でした。ただ菅野自身、前半はまあまあ計算できたので、まるっきりダメだったという訳でもありません。
彼も、私の所に来て、「なんの力にもなれないで、申し訳ありませんでした」と言いましたが、「そんな事はないよ。お前はお前なりにチームに貢献してくれたよ。特にシーズン前半は、君の力が大きかった。ただ、交流戦最後の試合で、ソフトバンクにやられてからは、本当の姿ではなかった。この辺が来年の課題なので、これからも頑張って欲しい」と返しました。
菅野の誤算が、ペナントレースを戦ううえで、多少苦しんだかも知れませんが、それでダメになった訳ではないし、彼は彼なりによくやったと思います。
▼ 山口投手について
その代わり、シーズンを通しての山口の活躍。投手陣の中でのMVPは、山口でしょう。山口は、なかなか完投できないのですが、7回までは完全に抑えていく、7回まで抑えれれば、リリーフ投手で何とかなるという事で、この山口が菅野の代わりしてくれた。この存在は大きかった。
▼ リリーフ投手について
菅野が誤算だったこともあり、色々なリリーフ投手を使えました。中川を前半使いましたが、やはり後半になって、少し疲れてしまった気がします。今までは菅野中心で、彼に頼っていましたが、菅野が居ない時期を、戦って、勝ってきたという事は大きかったと思います。
リリーフ陣も、今年は給料がアップするんじゃないですか? 高木・田口・沢村、この辺はみんなアップで良いんじゃないですかね。リリーフ陣は去年、悪かったので、スタートでどうかというのが鍵でした。案の定、リリーフ陣は、始まってみても、中川以外、あまり良くなくて、「弱ったな、これで1年戦うのか」と思ったのですが、暗中模索の中から、何人か戦力になる人材が出てきました。
▼ 若手投手について
桜井、新人の高橋も戦力になったので、なんだかんだ言いながら、投手力は持ったと思います。
▼ その他の選手について
ベンチの全員が力になり、戦力になった点も大きかったと思います。ベンチ全員が、試合に熱中できた事が大きかったと思います。
だから、どんな作戦でも、どんな代打でも、どんな代走でも、すぐ間に合って、選手がみんな、その気でいてくれたというの事が、私の作戦と、上手くマッチしたと思います。ベンチワークで色々な手を打つ事が出来たのも、そういう事だと思います。
最後に、原監督は、次のように話を締めくくりました。
投手陣、打線、調子の良い、悪いはありましたが、これは仕方がないと思っています。そういった意味では、ベンチも含めた全員野球の勝利、全員で戦ったのが、今シーズンだったと思います。
だから、投手交代も、身内に相談して、あらゆる場面で、あらゆる選手を投入する事が出来た。だから、誰も不平、不満を言ってくる事はありませんでした。で、勝利に結びついた。理想的な形だと思います。
苦しい事は色々ありましたが、それはそれで良いじゃないですか。これだけ良い事が揃ったんですから、巨人が優勝できなければ、おかしかったと思います。
(ニッポン放送ショウアップナイター)
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