ニュース 2019.11.20. 12:00

立花龍司さんに聞くコーチング「『楽しい!』という経験がその後の努力に繋がる」


■ジュニア年代に重要なトレーニングとは


我々のようなコーチ、特にジュニア年代に関わる者の仕事は、選手の器をいかに大きくするかということです。選手の器を大きくしておけば、後からそこに入る技術の量も大きくなります。それが選手のスケールの差になってきます。

器を大きくするためにはまず目先の1勝を頭から消すことが必要です。子どもの年代にもトレーニングは必要ですが、その年代にしか伸びない巧緻性、敏捷性、反応といったことを重視するべきでしょう。特に巧緻性、自分の体を自由に操ることができる能力というのはその子の競技人生を大きく変えるものになります。

巧緻性を伸ばすためには野球の動きだけでは不十分です。アメリカがシーズンスポーツを導入しているのはそのためです。小学生のうちは3~4、中学生では2~3、高校生や大学生でも2つのスポーツを行うのが主流です。社会主義国のキューバでも7歳から11歳の間は様々な種目をやり、12歳から18歳でも専門競技の時間は長くやりますが、他の競技もやります。日本でも有名なリナレス選手は13歳まで陸上の選手でしたが、自分で選んでその後野球を専門にしてあそこまでの選手になりました。

一方で日本は小学校の時から野球なら野球しかやらないことが多い。そうするとその時は上手でも、体が大きくなってきた時にできるプレーの幅が小さくなります。そのあたりが選手のスケールの差になっていることは間違いないと思います。

■「楽しい!」という経験がその後の努力に繋がる


小学校の年代はとにかく『野球は何て楽しいんだ!』と思わせるようなことを徹底してやることが重要だと思います。この時の気持ちが後から大きく変わってきます。
私がアメリカに渡った時に思ったことは、メジャーの選手は本当に野球が好きなんですね。選手達が私の誕生日にビデオカメラを贈ってくれたことがあったので、そのお返しに日本のグラブをプレゼントしたことがありました。日本のグラブの質は世界でも一番で、メジャーの選手にも喜ばれるんですよ。そうしたらその選手たちが練習に来るときもグラブをはめてきたり、移動の飛行機でもグラブにボールをパンパンずっと投げたり、グラブの革の匂いを嗅いだりしてるんですね。グローブを買ってもらって嬉しい、日本の小さい子どもたちと同じことをやっているんです。そうやって野球が好きな気持ちを持ち続けていることが、大人になってからも努力できる原動力になっていると思いますね。

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