ニュース 2019.11.29. 17:00

「投げる」「捕球する」の基本を楽しく学ぶ「大枝公園ベースボールアカデミー」

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11月、大阪府守口市の大枝公園で、「大枝公園ベースボールアカデミー」が開催され、毎週木曜日の午後7時から2時間、小学生を中心とした30人がアカデミーに参加した。


■『投げる』『捕球する』の基本をしっかり教える

ウォーミングアップが終わると、子どもたちはボールを投げる、受けるという基本的な動きを段階を追って学んでいく。
「投げる」で言えば腕、肩の動かし方、ひじの上げ方などを丁寧に教えていく。
「受ける」も、ボールに対する向き合い方、捕球の仕方などを一つ一つ段階的に教えていく。

取材に訪れた11月14日は、メジャーリーガーが練習で使用する「パンケーキグラブ」が用意されていた。このグラブは小型でウェブも小さく、ボールをひっかけて捕球するようなアバウトな動きではボールを捕ることができない。しかし浅いので捕球から次の動作編切り替えが容易だ。このグラブを使ってみることで「キャッチングとは何か」が、体感できる。

子どもたちを指導しているのはアスレチックトレーナーの牛島詳力(うししま・よしかつ)氏だ。牛島氏は2006〜2007年、タンパベイ・デビルレイズで、森慎二投手の通訳兼トレーナーを務めた。現在は、元阪神、赤星憲広氏が主宰する「レッドスターベースボールクラブ」で、トレーニングコーチ兼アスレチックトレーナーを務めている。

「『レッドスターベースボールクラブ』で10年間、お手伝いをさせていただきました。中学生のクラブですが、入ってきた時点で、肩・ひじの大きな問題を抱えている子が増えているんですね。話を聞いてみると、小学校時代に無理しすぎていたり、“これは怪我をするよな”というような投げ方のままで中学に上がっていたりしていたんです。
私の子どもは小学校ではソフトボールをしていましたが、ソフトボールでも日曜日はトーナメント2つ掛け持ちで午前中はAのトーナメント、午後はBトーナメントの2回戦みたいなことがありました。基本的な動作もままならない状態で、負担ばかり大きいのではないか、と思ったんですね。
そこで小学生に『投げる』『捕球する』の二つの動作の基本をしっかり教えるアカデミーを開こうと思ったんです。
『投げる』で言えば、怪我をするのは身体が突っ込んだ状態で投げるときです。突っ込んだ状態だと肩は外反、肘は外旋という状態になって、脱臼しそうになるんですね。そうならないように投げ方をしっかり教えたいんです。『捕球する』も大事です。捕球姿勢ができていないまま野球を続けて高校に上がって、ウェイトトレーニングなどが始まると腰の怪我をして野球できなくなる子どもが結構いるんですね」

■子どもに動きを覚えさせるのが大事

これに先立って、10月に大枝公園で「ベースボールナイト」というイベントを実施した。

「早稲田大学さんがやっておられるスタイルです。特に指示などはせずに親子が自由にキャッチボールやボール遊びをして、野球に親しんでもらうイベントです。160人もの方が参加しました。
元阪神の八木裕さんにお手伝いいただいて、2時間もティーボールを上げてもらいました。子どもたちは本当に楽しそうに走り回っていました。
この場で、『ベースボールアカデミー』の募集をしました。4回の講座で税込み9500円でしたが、30人に応募いただきました」

参加者の大部分は小学生だが、レベルの差こそあれ何らかの形で野球経験があることものようだ。笑顔を見せつつ、楽しそうに体を動かしている。

牛島氏は、子どもたちに命令口調で話しかけたりはしない。また、否定形ではモノを言わない。
「今度はこうしてみようか」「こうやったら、もっとうまくいくよ」
従来の野球指導とは一線を画している。
「僕は大学まで水泳の選手でした。そこからトレーナーになりました。野球の選手、指導者だったわけではないので怒鳴って声を上げたことはほとんどありません。野球の指導でコーチが『ボールを前で離せ』というのを聞いて『だったらどうやったらボールを前で離せるの?』と思っていました。そこから踏み込んで子どもに動きを覚えさせるのが大事ですね。そこまでやらないと」

レッスンは一足飛びに前にはいくことはなく、前回に習得した動作のおさらいからやる。
牛島氏は前回のアカデミーの時に子どもたちに
「家でこの動きを練習してマスターしてね」と声をかけている。
牛島氏が「家でやってみた人!」と聞くと過半数の子どもが手を挙げた。
こういう形で少しずつ基本をマスターするのも、水泳流(スイミングスクール流)のやり方なのだという。

父母も同伴している。少し離れたところでわが子の動きを見学している。子どもたちが楽しそうに練習に励んでいるのを見つめている。

この日は牛島氏の先輩のMLB球団のトレーナーで、WBC日本代表のアスレチックトレーナーも務めた小柳正信氏も指導に参加した。

最近は、未就学児童や低学年児童向けの「野球教室」は、かなり行われるようになった。底辺拡大の動きは広がっているが、実はそこから小学生に正しい野球の基本を身に着けさせる部分の取り組みが、現状は少ない。それは小学校の軟式野球クラブでは活動日が土日になることが多く、試合と重なるため、どうしても実践的な練習になりがちだからと言える。そこで牛島氏のベースボールアカデミーは、この部分を埋める取り組みだといえるだろう。

こうしたアカデミーからスタートして、牛島氏は「野球の楽しさ」を拡げる意欲的な取り組みを準備している。今後も注目していきたい。(取材・写真:広尾晃)

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