キャンプインから早一週間。各チームとも第2クールに突入し、実戦形式の練習が増え始めている。

　まだ序盤とは言え、一軍定着を目指す若手はアピールに必死。だが、燃えているのは選手たちだけではない。現役を退いた元選手を、意外な場所で見られるのもキャンプの醍醐味だ。

　かつて阪神の最強中継ぎトリオ“JFK”の一角を担った久保田智之氏は、今年から阪神の打撃投手として第二の人生をスタートさせた。打者に黙々と投げ込む姿は現役時代そのもの。新背番号『101』で奮投する姿は、阪神の宜野座キャンプで見ることができる。

　同じく打撃投手として裏方デビューしたのは、昨年までDeNAに在籍していた藤井秀悟氏。昨オフ戦力外を言い渡され、最後まで現役続行の道を模索し続けたが、その後引退を表明。こちらも、かつて在籍した巨人の打撃投手として再スタート。その様子は、現役時代から人気を博していた自身のブログでも確認できる。

　前ヤクルトの押本健彦氏は古巣の日本ハムで。中継ぎで活躍した元広島の上野弘文氏なども、打撃投手としてかつてのチームメイト相手に投げ込んでいる。

　中日の投手コーチに就任したは、かつて近鉄、メジャーのパドレスなどで活躍した大塚晶文氏。「ヨッシャー！」の叫び声でも人気を博し、日本が初代WBC王者となったときの胴上げ投手でもある。

　大塚氏は現役時代、2003年の1年だけ中日に在籍。その後はメジャーを舞台に活躍するも、08年の右肩手術を境に低迷。最後は左投げに挑戦するなど現役続行への執念を見せたが、昨年、選手兼監督として在籍していた独立リーグ・信濃で現役引退。昨秋から指導者一本で、第二の人生をスタートさせている。

　昨年までオリックスと中日で21年間プレーしてきた平井正史氏も、今年からオリックスの二軍投手コーチに就任。長年の経験と、先発・救援の両方で積み重ねてきた実経験を活かし、12球団一と言われる投手王国の基盤を作り上げる。

　ほかにも、“左キラー”として昨年まで楽天でプレーしていた中島俊哉氏は、今春からジュニアチームのコーチに。現在はキャンプ地の久米島で、球団レポーターとして奮闘中だ。中島氏、久保田氏と同じ“松坂世代”の前日本ハム・赤田将吾氏は、プロのキャリアをスタートさせた西武の二軍育成コーチとして、未来のスター候補たちと一緒に汗を流している。