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スポーツをする子を持つ親は知っておきたい!免疫力を高める「抗酸化栄養素」とは?

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日本における栄養学の権威 丸元康生先生による、食と健康の特別授業。今回は免疫力の低下を引き起こす「活性酸素」の対応策や、ビタミン摂取の大切さについて話をしていただきました。

免疫力を低下させる3つの原因


今回のテーマは「活性酸素」です。前回の記事で「なぜアスリートは風邪をひきやすいのか?」についてお話ししましたが、激しいトレーニングをすると免疫が落ち、風邪を引きやすくなります。
免疫力の低下には、3つの原因があります。1つはストレス。2つ目が活性酸素。3つ目が栄養の不足です。運動量の多い激しいスポーツをしていると、普段生活しているとき以上の強度で走ったり、ぶつかったり、ボールを蹴ったりします。脳もフル回転です。それはストレスがかかった状態と言えます。

【免疫力を低下させる3つの原因】
1.ストレス
2.活性酸素
3.栄養の不足

試合中にケガをしても、そのときはあまり痛みがなく、試合後や翌日に痛みが出ることがありますが、それにも免疫が関係しています。試合中はアドレナリンなど、ストレスを受けたときに出るホルモンが分泌されているので、免疫反応が抑制されています。そのため炎症が起きず、痛みを感じる量が少なくなっているのです。

そして試合後や翌日など、プレー時に感じるストレスがなくなり、体内で優先的にストレス対応に回されていたホルモン(アドレナリン等)の分泌が終わり、通常の活動になったところで、免疫力を高める方に向かうので、ケガをした箇所が腫れるという流れになります。

免疫細胞にダメージを与える「活性酸素」


免疫力が低下する、2つ目の原因が活性酸素です。少し専門的な話になりますが、有酸素運動をする時には大量の酸素が必要です。

人間は酸素分子を利用して、エネルギーを作り出すのですが、その過程で酸素分子の2~3%が活性酸素に変わります。それが細胞の中に入っている核やDNAにダメージを与えることがあり、老化や生活習慣病の原因になっていると考えられています。

激しい有酸素運動をしている人は、酸素を体の中に取り込む量がとても多くなります。そうすると活性酸素が増え、免疫細胞にダメージを与えます。その結果、働けなくなる白血球が増え、免疫が弱まるという流れがあります。

活性酸素の害を防いでくれのが「抗酸化栄養素」です。これは食品やサプリメントに含まれている栄養素で、十分な量を摂ることで、活性酸素が体内で暴れるのを防いでくれます。ですから、大事な試合の前に風邪をひきたくない場合は、食事やサプリメントで抗酸化栄養素を十分に補給することが大切になります。



野菜を食べた方が良い理由は「抗酸化栄養素」にあり


抗酸化栄養素はビタミンCやビタミンE、ベータカロテン、ミネラル、亜鉛、セレンといった栄養素です。これらは野菜に多く含まれています。
野菜が光合成でエネルギーを作るのはご存知だと思います。光合成のもとになるのは太陽の光です。太陽光線には紫外線が含まれているので、活性酸素を発生させるリスクがあります。

そのため野菜は、自分の中で大量の抗酸化物質を作り、紫外線による活性酸素から守っているんです。リコピンやアントシアニン、ポリフェノール、カテキンなど、名前を聞いたことがあると思いますが、これらはすべて植物の栄養素で、強力な抗酸化栄養素です。野菜はビタミンに加えて、そのような抗酸化物を体内でせっせと生産しています。それが免疫力を高めるために、野菜を積極的に食べた方が良い理由です。

免疫力を高めるために、ビタミンが必要な理由がわかってもらえたと思います。なかでも、ビタミンCの働きは特筆すべきものです。ビタミンCは免疫の中心となる、白血球を元気づける働きをします。

白血球はたくさんのビタミンCを細胞に抱え込んでいるのですが、なぜ大量に持っているかと言うと、白血球は病原菌と戦う際に活性酸素を自分の中で製造し、吐き出して攻撃するからです。その際、白血球が頑張りすぎて活性酸素を体内に大量にばらまくと、周囲の細胞にダメージを与えてしまいます。それが「自己免疫疾患」と言って、アレルギーやアトピーを引き起こす要因のひとつです。活性酸素は危険なので、自分もダメージを受けやすいのです。

食事などでビタミンCを摂取できていないと、白血球にビタミンCを十分にストックすることができなくなり、活性酸素が発生する際に白血球がダメージを受け、免疫が弱まってしまいます。

栄養素が不足した状態でハードな運動をする弊害


また、激しい運動をした後は、白血球の中のビタミンCの数が少なくなり、運動後数日間はその状態が続いていることが、データで明らかになっています。その状態になっているにも関わらず、食事やサプリメントで補給せずに、激しい練習を繰り返していると、何日も免疫力が低い状態が続くことになります。
日頃から栄養が不足している人は、トレーニング後に免疫が低下しやすく、運動によって生じたストレスや活性酸素によって、さらに栄養素が消耗します。つまり運動量の多い激しいスポーツは、様々な側面から栄養素の消耗を招きやすく、免疫を弱くしてしまうのです。

この連載で繰り返しお伝えしてきましたが、全般的に栄養素の摂取が不足している場合には、消化器と免疫は栄養が送られる順番が後回しになり、食事の消化能力が落ちるとともに、免疫力も低下してしまいます。その結果、抵抗力が落ち、風邪をひきやすくなります。

食事から摂る栄養素が不足している状態で、ハードな練習をすることの弊害がお分かりいただけたでしょうか? とくに冬場は体温が下がりやすく、抵抗力も落ちやすいです。さらに空気が乾燥しているので、ウイルスが体内に侵入しやすくなります。

食事やサプリメント、休息などのケアに、とくに目を向けてみてください。それが、お子さんの健康と成長に結びつくとともに、保護者ができる最大のサポートだと思います。

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丸元康生
1958年生まれ。青山学院大学文学部日本文学科卒業。米国ワシントン州、イースタン・ワシントン大学卒業。栄養学、生化学を専攻。ホリスティックカレッジ・オブ・ジャパン講師。平田ホリスティック教育財団理事。著書に『スンナリ分かる栄養学ベーシック』、『ビタミンがスンナリわかる本』、『スンナリわかる脂肪の本』(主婦と生活社)、『豊かさの栄養学』シリーズ、訳書に『ジョナサン・ライト博士の新・栄養療法』(廣済堂出版)など。栄養学ジャーナリストとして世界最先端の米国栄養学を日本に伝えてきた先駆的存在。
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