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勝利だけを意識せず、無欲で挑む…オリックスの“都立の星”・鈴木優の現在地

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オリックス・鈴木優 [写真=北野正樹]

「内容にこだわる」


 オリックスの鈴木優投手(24)が順調な調整を続けている。

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 昨季プロ初勝利を挙げた、かつての“都立の星”。オフには新球開発のための科学的な解析の途中で、直球のリリース時の致命的な欠陥を発見して修正するなど、充実した時間を過ごした。




 「これまでで一番、仕上がりが良い。勝利だけにフォーカスせず、内容にこだわる」。プロ7年目の右腕は、さらなる飛躍を誓う。


自主トレで得た思わぬ“気付き”


 オフの自主トレは、5年連続で日本生命の施設を借りて行った。メンバーは日生OBの井上晴哉(ロッテ)に小林誠司(巨人)、小林慶祐(阪神)のほか、根尾昂(中日)に藤原恭大(ロッテ)と、中堅から若手までバラエティーに富んだ顔ぶれ。

 同じ施設で、同じトレーナーの下でのトレーニングとなるだけに、同じ内容でも年ごとに負荷を増やしていくなど、継続性のある身体づくりを行えるのが最大のメリット。鈴木は「過去一番の仕上がりが出来た」と振り返る。


 科学を使った解析による、大きな収穫もあった。新球種・カットボールの開発のため、スーパースロービデオを用いてボールの回転軸などをチェックする中で、ストレートのリリースで指がきちんとボールに掛かっていないことが判明したのだ。

 「人差し指と中指の2本が掛からないといけないのに、中指1本になっていた。投げていて全く気付かなかった」


 だが、思い当たる節もあった。

 「シーズン中盤からツーシームをたくさん投げるようになって、ストレートの指の掛かりが悪いとは思っていた」と鈴木。それでも、原因はスーパースローの映像を見るまでは思い至らなかった。

 「映像で確認することが出来てよかった」と語ったように、自主トレからキャンプと時間をかけて修正を重ね、球威も増した。


意識を変えた“2つの経験”


 東京都の出身。都立雪谷高では3年夏の東東京大会準々決勝で関東一高に敗れるも、「都立の星」と一気に注目を集め、2015年にドラフト9位でオリックス入り。2019年のオフには、T-岡田や漆原大晟とともに派遣されたプエルトリコのウインターリーグで高めの直球の使い方などを教わり、投球の意識が変わるキッカケになった。

 昨年6月26日のロッテ戦。先発のエース・山岡泰輔がわき腹痛のため1回途中・3球で降板。直後に緊急登板したのが鈴木だった。力投を見せてプロ初ホールドをマークすると、続いて先発した7月1日の西武戦ではプロ初勝利も掴む。

 しかし、終わってみれば13試合の登板で1勝3敗。防御率は6.52。次の目標とした“2勝目”が掴めないまま、シーズンを終えた。


 それでも、高卒1年目に一軍デビューを果たしながら、2019年までの5年間で一軍登板は3試合だけ。昨季の13試合は大きな前進と言えるだろう。その13試合の中で、学んだことが2つあるという。

 ひとつは、良い内容の投球が必ずしも勝利に結びつくものではないということ。「“勝ち”というものは、自分だけで出来るものではない。勝利だけにフォーカスすると難しい。調子が良くても勝てないし、それほど内容が良くなくても、不思議と抑えることが出来たり、またバックの援護があったりもする」という経験から、「勝ち星を目標にするよりも、自分の出来る範囲のことに集中することが大事だと気付いた」と語った。

 ふたつめが、緊張する場面を経験できたこと。11月6日の日本ハム戦は、1点差の9回という場面での出番だった。それも、本拠地での最終戦で、高卒ルーキー・宮城大弥のプロ初勝利がかかった状況。「セーブシチュエーションで、ホームで迎えた最終戦。しかも、ルーキーのプロ初勝利をふいにするわけにはいかないので、これまでの人生で一番緊張した」とドキドキのマウンドを振り返り、「あれを経験すれば、もうキャンプ中に緊張することはない」と言い切る。


 今季から、右腕はグローブをローリングスのものに替えた。

 「野球を始めて、最初に持ったのがローリングス。すごく縁を感じる」

 昨季の貴重な経験を経て、プロ7年目の右腕は初心に帰り、そして無欲で新たな戦いに挑む。


取材・文=北野正樹(きたの・まさき)


鈴木優・プロフィール


ポジション:投手
投打:右投右打
生年月日:1997年2月5日(24歳)
身長・体重:181センチ・83キロ
出身地:東京都
球歴:雪谷高-オリックス(14年・9位)
[昨季成績] 13試(38.2回) 1勝3敗1セーブ・2ホールド 防6.52
[通算成績] 16試(42.1回) 1勝3敗1セーブ・2ホールド 防7.65
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