ニュース 2021.07.13. 08:15

オリックス・宮城の丸刈りムーブメントと中川拓真の悲喜こもごも?

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丸刈りにしたオリックス・宮城大弥投手の髪の毛を触る山岡泰輔投手〈写真=北野正樹〉

ケガの功名?


 いくつもの偶然が生んだオリックスの『丸刈リータ』。5ミリの坊主頭で実力ともに人気も急上昇し、全国区になったオリックスの高卒2年目左腕・宮城大弥。当初は丸刈りでなかったが、一度切った髪型が気に入らず、丸坊主を決断。ところが、いつも髪の毛を揃えてくれる同期が不在で、代わりに頼んだ後輩がバリカンのアタッチメントの付け替えをミスするという“ケガの功名”でもあった。

 東京オリンピックの日本代表に内定しているチームメイトの山本由伸に並ぶ、リーグ最多の9勝を挙げ、オールスターのファン投票では、先発投手部門の1位で球宴初出場を決めたオリックスの宮城大弥投手。19歳の左腕は、高卒2年目ながら開幕2戦目(西武戦)の先発を任され、チームの今季初勝利に貢献。髪の毛を開幕前から伸ばし始めて開幕から5連勝し、同じようにゲン担ぎで髪の毛を伸ばし始めた西武の高橋光成投手とともに話題になった。

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 宮城が一躍注目を浴びたのは、6勝目を挙げた2日後の6月11日。6月2日の阪神戦で連勝が止まった後も、「髪の毛に相談して次の髪型を決めます」と、帽子の後ろからはみ出す長髪に手は入れなかったが、いきなり5ミリの丸坊主姿で本拠地・京セラドーム大阪に現れた。

 意表を突く髪型は、チームメイトに大ウケ。剃髪した僧侶のようにも見えることから、練習前のチームメイトが髪の毛に触った後、手を合わせる姿も見られた。

 チームは得意とするセ・パ交流戦で勝ち星を重ね、前日の10日に勝率5割に戻し、3連勝中。数日間は練習前のグラウンドで先輩たちが宮城の頭を話題にしていじるなど、チーム内にリラックスムードが漂った。宮城がチームに癒しの効果をもたらせたかのように、11日はエース・山本由伸が広島戦で7回まで完全試合の好投を見せるなどして快勝。12日には11年ぶり2度目の交流戦優勝を決め、20日には首位に立ち、連勝を11まで伸ばした。


丸刈り事件簿


 球団関係者らの説明では、宮城が散髪を頼んだ後輩の選手がバリカンのアタッチメントの付け替えに失敗し、9ミリで刈り込むはずが、より短い5ミリで刈り込んでしまった、というものだった。

 宮城は後輩の名前は明かさなかったが、ドラフト5位の新人捕手・中川拓真(豊橋中央高)が「すいません。宮城さん。。」と自身のツイッターに書き込んだため、“犯人”が判明。中川によると、風呂場で会った宮城から「拓真、丸刈りにして」と頼まれたのがキッカケだった。ロングヘアを調髪してきた宮城が髪型を気に入らず、丸刈りにすることになったという。

 普段は同期の右腕・前佑囲斗に調髪をしてもらっていた宮城だったが、「丸刈りにするなら、誰がしても同じだったので拓真に頼んだ」(宮城)、「前さんが居なかったので、僕が頼まれた」(中川)と微妙に説明は異なるが、風呂場で偶然、出会った中川が“代打”でバリカンを握ったことが、その後、大きな話題を呼ぶことにつながる。

 ミスは、アタッチメントをつけた9ミリの丸刈りが順調に進み、5ミリで産毛などの処理をした直後に起きた。「全体を整えようと、9ミリを髪に当てていたらアタッチメントが外れて、頭の真ん中の一部が5ミリになってしまった」と中川。

 「え、えっ」と驚きの声を挙げた宮城だったが、「こうなったら、5ミリじゃないとおかしいね」と、5ミリを続行。全てを受け入れた先輩の神対応に中川は、「5ミリ刈りにしてしまったことを反省した」一方で、「これでツキが落ちて宮城さんの成績が悪くなってしまったらどうしようかと悩んだ」という。

 しかし、中川の心配が杞憂に終わったのは周知の通り。宮城は白星を重ね、オールスターにもファン投票で出場を決め、実力と人気を兼ね備えた選手に成長。チームも首位を走っている。


宮城様様


 丸刈り人気にあやかった球団は「神様、仏様、宮城様」と印刷されたTシャツやタオルなどを販売。タオルは球場内のショップに並べた約2時間後には完売し、さらには「宮城大弥の丸刈リータ」と名付けたピザまで販売するまでに。
 
 「丸刈りにしたことで、プロデュースメニューが生まれるとは思っていなかったので、うれしい」と宮城。チームに癒し効果を生んでいることには「みなさんに喜んでもらえてうれしい」という。

 一大ブームの火付け役とも言える中川だが、「僕には、誰も何も言ってくれません」とのこと。ツイッターでは「(丸刈リータピザの)売上の一部は中川拓真選手にいくようにすべきやわ」などの書き込みもあったが、当然のことながら中川にギャランティーは発生しない。
 
  中川は、高校時代、無名ながら高校通算44本の強打の捕手。中学時代は陸上部に所属し、ジュニアオリンピックの砲丸投げで6位入賞を果たしたこともある。6月下旬からは先発マスクを被る機会もあり、7月11日現在、9試合、22打数6安打、打率2割7分3厘。5月中旬ごろからは、宮城の指名で、登板2日前の宮城のボールを受けキャッチングも磨いている。

 「宮城さんは、オン・オフの切り替えが素晴らしい。野球に取り組む姿勢は勉強になる」と中川。宮城は、けがの功名?とも言える中川のバリカンの失敗について「感謝はしませんよ。ミスはミスですから」と手厳しい。常に妥協せず、ストイックに高みを目指す宮城らしいコメント。

 入団発表時に「3割、30本塁打が目標。肩に自信はある。若月さん(健矢=オリックス)を超え、周東さん(佑京=ソフトバンク)を刺したい」と、打てて守れる捕手を目標にした中川。次は、グラウンドで注目を浴びたいところだ。


取材・文=北野正樹(きたの・まさき)
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