20日に『2022年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD』が開催される。煙山光紀アナウンサーがニッポン放送のドラフト中継でもおなじみの野球ライターの菊地高弘さんに、今年のドラフトの目玉選手について伺った。今回は後編の大学生編。菊地さんは、今年のドラフト指名候補選手をどう見ているのだろうかーー
煙山アナ「前編ではこれからという選手が多いという話でしたが、即戦力が欲しい球団も多いと思います。大学生はいかがでしょうか?」
菊地さん「大学生投手に結構人気が集まるんじゃないかなとにらんでいるんですけど、特に注目されそうなのが白鴎大学の曽谷龍平投手ですね。この選手は左の投手なんですけど、非常にボールが強い、いかにも馬力がありそうなピッチャー。プロでいうアーム式の腕の振りに近いんですけど、肩肘の故障歴はないですし、中日で岩瀬さんがいらっしゃいましたが、腕の振りは岩瀬さんのイメージですね。腕を大きく回してきて、力感がないわりにボールがガツっと強くくるタイプ。このピッチャーはプロに入ってすぐ、キャンプとかでも強いボールを投げるねと言われるピッチャーですね」
煙山アナ「先発、リリーフ、どちらのタイプでしょうか?」
菊地さん「左の本格派ですし、先発でいって欲しいですね。ちなみにロッテの山口選手と同じ明桜高校出身で、本当だったら山口選手はピッチャーで注目されていたんですけど、彼が高校2年生のときに一塁帰塁したときに脱臼をして、それで投手生命が終わってしまった形なのですが、それがなかったら吉田輝星投手より彼は注目されていたんですよね。山口選手が投手として脱落した段階で曽谷投手が出てきた。左の即戦力型の先発としては、抜けているんじゃないですかね」
煙山アナ「曽谷投手に続いていかがでしょうか?」
菊地さん「矢澤宏太選手をどう見るかでドラフトがわかるというかですね、これは矢澤選手をどう見るかが問われるドラフトだと思います。間違いなく矢澤選手が目玉だと思っているんですけど、矢澤選手を二刀流としてみるか、ピッチャーだけで見るか、バッターだけでみるかだけで、だいぶ意味合いが変わってくるというか、本人はどっちもやりたいんですよね。プロ側からみたら、バッターとしての見方が主流だと思うんですよ。彼の肩、足の能力はプロに今すぐいれてもトップレベルですし、バッティングも体が小さいんですけど、吉田正尚選手みたいにしっかり振れたうえで大きなフォロースルーで飛ばす能力がある。イチロー選手みたいな拾うようなうまさもある。バッティングの伸びしろがすごくあるんですよね。大学でピッチャーの練習ばかりしているので、あまり振り込んでいないんですよね。プロで振り込んだらすごいバッターになるかもというのは、間違いなくあって、おそらくプロの野手で幸せになれる選手なんですけども、野手のグッドプレーで進めちゃうのか、二刀流という大谷選手に続く超人的な選手になれるかの境目にいます。ピッチャーとしてもこの4年間でめちゃくちゃよくなっているんですよ。高校時代は三振10個取れば、四球も10個出すようなタイプのピッチャーだったんですけど、日体大は辻コーチという元ドラゴンズの名コーチがいまして、辻コーチと二人三脚でボールを制御できるようになった。悪いなりに抑えられる術を覚えてきている。このままピッチャーとしても、良くなる、伸びるぞというのが見えているだけに、ひとつに絞るのは惜しいのかなと。僕は勝手なイチファンとしての願望ですけど、二刀流矢澤がほしいという球団が1位に入札してくれることを願いたいですね。問題は矢澤選手はリリーフタイプなんじゃないかと。松井裕樹投手とかぶるイメージをもっているんですけど、キレのあるストレートと縦に落ちるスライダーを武器にしているタイプ。瞬発的に力を発揮するタイプ。二刀流やるとなるとライトからピッチャーいくというのも肉体的にも準備的にも難しいと思うので、なるべく先発としてどれだけできるかが二刀流のカギになると思いますね」
煙山アナ「立教の荘司投手はいかがでしょうか?」
菊地さん「僕はこのピッチャーは今年秋のドラフトにかけて実績を残して、一番ドラフトで重複するのは荘司投手かなと思ったんですけど、この秋の状態があまり上がってこなかった。ただ、素材は素晴らしい。190センチ近い長身で、リリースでボールに力を伝えられるピッチャーなので、キャッチボールを見るだけで圧倒されるようなボールを投げられる選手。かといって不器用なタイプではなくて、変化球もスプリットが速い球速で打たせて取ることができる。即戦力という意味では物足りなさがあるかもしれないんですけど、1年、2年ぐらいである程度、プロの体になったときに大化けする、プロでエース格になるだけのポテンシャルを持っているピッチャーじゃないかなと思いますね」
煙山アナ「野手はいかがでしょうか?」
菊地さん「早稲田の蛭間選手、中京大の澤井選手もいるんですけど、僕が一番好きな選手という意味では、亜細亜大の田中幹也選手ですね。」
煙山アナ「どういう選手ですか?」
菊地さん「一言でいえば怪物だと思っています。東海大菅生高校で活躍して忍者と言われていたんですけど、160センチちょっとくらいの身長で神出鬼没でパッとあらわれて颯爽とプレーする。広島の菊池涼介選手のようなイメージ。大学でスピードアップをしていて、単純にベースランニング見るだけでも風圧が飛んでくるような目にも止まらないスピードですよね。僕は忍者から次のフェーズに進んだなと思っていて、本当に怪物というと大谷選手、佐々木朗希投手とか大きくて出力のある選手をイメージしがちなんですけど、これだけ人間は速く走れるんだ、こんなに速く動けるんだという意味で田中選手もすごく怪物だなと思っているんですよね。今プロのパワーがある選手というよりは、体にキレのある選手の方がプロのスピード、変化球についていける状況を考えると、僕は田中幹也選手が入る球団によって隠れ新人王候補になるくらいの実力があると思います」
煙山アナ「バッティングはどうなんでしょうか?」
菊地さん「バッティングは小技がうまいタイプ。ガンガン長打を打てるタイプではないんですけど、しぶとく内野の間を抜いていくタイプですね。すごい打率を残すかといわれたら微妙ですが、それなりに繋げて、塁に出られて、バッテリーを揺さぶれるタイプですね」
今回は菊地さんに大学生のドラフト上位候補の選手について語ってもらったが、ドラフト会議当日となる20日は、菊地さんと煙山アナウンサーによるドラフト会議でのラジオ中継の楽しみ方について語ってもらう。
(ニッポン放送ショウアップナイター)
元中日・岩瀬のような腕の振りの曽谷
(取材日=2022年10月4日)煙山アナ「前編ではこれからという選手が多いという話でしたが、即戦力が欲しい球団も多いと思います。大学生はいかがでしょうか?」
菊地さん「大学生投手に結構人気が集まるんじゃないかなとにらんでいるんですけど、特に注目されそうなのが白鴎大学の曽谷龍平投手ですね。この選手は左の投手なんですけど、非常にボールが強い、いかにも馬力がありそうなピッチャー。プロでいうアーム式の腕の振りに近いんですけど、肩肘の故障歴はないですし、中日で岩瀬さんがいらっしゃいましたが、腕の振りは岩瀬さんのイメージですね。腕を大きく回してきて、力感がないわりにボールがガツっと強くくるタイプ。このピッチャーはプロに入ってすぐ、キャンプとかでも強いボールを投げるねと言われるピッチャーですね」
煙山アナ「先発、リリーフ、どちらのタイプでしょうか?」
菊地さん「左の本格派ですし、先発でいって欲しいですね。ちなみにロッテの山口選手と同じ明桜高校出身で、本当だったら山口選手はピッチャーで注目されていたんですけど、彼が高校2年生のときに一塁帰塁したときに脱臼をして、それで投手生命が終わってしまった形なのですが、それがなかったら吉田輝星投手より彼は注目されていたんですよね。山口選手が投手として脱落した段階で曽谷投手が出てきた。左の即戦力型の先発としては、抜けているんじゃないですかね」
二刀流・矢澤をどう評価する?
煙山アナ「曽谷投手に続いていかがでしょうか?」
菊地さん「矢澤宏太選手をどう見るかでドラフトがわかるというかですね、これは矢澤選手をどう見るかが問われるドラフトだと思います。間違いなく矢澤選手が目玉だと思っているんですけど、矢澤選手を二刀流としてみるか、ピッチャーだけで見るか、バッターだけでみるかだけで、だいぶ意味合いが変わってくるというか、本人はどっちもやりたいんですよね。プロ側からみたら、バッターとしての見方が主流だと思うんですよ。彼の肩、足の能力はプロに今すぐいれてもトップレベルですし、バッティングも体が小さいんですけど、吉田正尚選手みたいにしっかり振れたうえで大きなフォロースルーで飛ばす能力がある。イチロー選手みたいな拾うようなうまさもある。バッティングの伸びしろがすごくあるんですよね。大学でピッチャーの練習ばかりしているので、あまり振り込んでいないんですよね。プロで振り込んだらすごいバッターになるかもというのは、間違いなくあって、おそらくプロの野手で幸せになれる選手なんですけども、野手のグッドプレーで進めちゃうのか、二刀流という大谷選手に続く超人的な選手になれるかの境目にいます。ピッチャーとしてもこの4年間でめちゃくちゃよくなっているんですよ。高校時代は三振10個取れば、四球も10個出すようなタイプのピッチャーだったんですけど、日体大は辻コーチという元ドラゴンズの名コーチがいまして、辻コーチと二人三脚でボールを制御できるようになった。悪いなりに抑えられる術を覚えてきている。このままピッチャーとしても、良くなる、伸びるぞというのが見えているだけに、ひとつに絞るのは惜しいのかなと。僕は勝手なイチファンとしての願望ですけど、二刀流矢澤がほしいという球団が1位に入札してくれることを願いたいですね。問題は矢澤選手はリリーフタイプなんじゃないかと。松井裕樹投手とかぶるイメージをもっているんですけど、キレのあるストレートと縦に落ちるスライダーを武器にしているタイプ。瞬発的に力を発揮するタイプ。二刀流やるとなるとライトからピッチャーいくというのも肉体的にも準備的にも難しいと思うので、なるべく先発としてどれだけできるかが二刀流のカギになると思いますね」
「プロでエース格になるだけのポテンシャル」
煙山アナ「立教の荘司投手はいかがでしょうか?」
菊地さん「僕はこのピッチャーは今年秋のドラフトにかけて実績を残して、一番ドラフトで重複するのは荘司投手かなと思ったんですけど、この秋の状態があまり上がってこなかった。ただ、素材は素晴らしい。190センチ近い長身で、リリースでボールに力を伝えられるピッチャーなので、キャッチボールを見るだけで圧倒されるようなボールを投げられる選手。かといって不器用なタイプではなくて、変化球もスプリットが速い球速で打たせて取ることができる。即戦力という意味では物足りなさがあるかもしれないんですけど、1年、2年ぐらいである程度、プロの体になったときに大化けする、プロでエース格になるだけのポテンシャルを持っているピッチャーじゃないかなと思いますね」
菊地さんが「一言で言えば怪物」と評価した田中幹
煙山アナ「野手はいかがでしょうか?」
菊地さん「早稲田の蛭間選手、中京大の澤井選手もいるんですけど、僕が一番好きな選手という意味では、亜細亜大の田中幹也選手ですね。」
煙山アナ「どういう選手ですか?」
菊地さん「一言でいえば怪物だと思っています。東海大菅生高校で活躍して忍者と言われていたんですけど、160センチちょっとくらいの身長で神出鬼没でパッとあらわれて颯爽とプレーする。広島の菊池涼介選手のようなイメージ。大学でスピードアップをしていて、単純にベースランニング見るだけでも風圧が飛んでくるような目にも止まらないスピードですよね。僕は忍者から次のフェーズに進んだなと思っていて、本当に怪物というと大谷選手、佐々木朗希投手とか大きくて出力のある選手をイメージしがちなんですけど、これだけ人間は速く走れるんだ、こんなに速く動けるんだという意味で田中選手もすごく怪物だなと思っているんですよね。今プロのパワーがある選手というよりは、体にキレのある選手の方がプロのスピード、変化球についていける状況を考えると、僕は田中幹也選手が入る球団によって隠れ新人王候補になるくらいの実力があると思います」
煙山アナ「バッティングはどうなんでしょうか?」
菊地さん「バッティングは小技がうまいタイプ。ガンガン長打を打てるタイプではないんですけど、しぶとく内野の間を抜いていくタイプですね。すごい打率を残すかといわれたら微妙ですが、それなりに繋げて、塁に出られて、バッテリーを揺さぶれるタイプですね」
今回は菊地さんに大学生のドラフト上位候補の選手について語ってもらったが、ドラフト会議当日となる20日は、菊地さんと煙山アナウンサーによるドラフト会議でのラジオ中継の楽しみ方について語ってもらう。
(ニッポン放送ショウアップナイター)