話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、プロ野球オールスターゲームに初出場を果たした北海道日本ハムファイターズ、田中正義投手にまつわるエピソードを紹介する。
オールスターでも笑顔が印象的だった、と言えば、北海道日本ハムファイターズの田中正義。くしくも登板を果たした第1戦、7月19日は29歳の誕生日。オールスターでバースデー登板を実現できる選手はなかなかいないだろう。
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結果的にはDeNA・宮崎敏郎に投じた150キロのストレートをライトスタンドに放り込まれてパ・リーグ唯一の失点を喫してしまった田中。ただ、宮崎との対戦はオールスター出場が決まった当初から熱望していただけに、満足のいく勝負だったのではないか。打たれた瞬間の苦笑いも含めて、「笑顔」をテーマにする田中正義らしいオールスターだったと言える。
ソフトバンクへFA移籍した近藤健介の人的補償として、今季から日本ハムでプレー。2016年ドラフト1位でソフトバンクに入団した“大器”でありながら、昨季までの6シーズンは未勝利&未セーブ。1軍通算登板も34試合しかなかった。
そんな“未完の大器”が新天地でついに開花。4月26日のオリックス戦でプロ初セーブを記録した際には、涙とともにこんなコメントを残している。
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その言葉通り、前半戦はクローザーとして「最高の景色」を積み重ね、過去6年の通算出場に迫る31試合登板で2勝2敗14セーブ、防御率2.40。オールスター選出も納得の成績を残した。
そんな田中正義のキーワードにもなっているのが「笑顔」だ。微笑みを浮かべながらの投球は「スマイル投法」「微笑み守護神」の異名がついたほど。味方からは頼もしく、敵チームからは不気味がられる、不思議な存在感を放っている。
田中が「笑顔」を重視するのにはいくつものきっかけがあった。1つは日本ハムの新庄監督からのアドバイスだ。オープン戦で150キロ中盤のストレートを連発して1軍入りをアピールした試合では、こんなコメントを残していた。
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そしてもう1つは、6年間、ケガに苦しみながらもがいていた時期に読んだ、アテネ五輪ハンマー投げ金メダリスト室伏広治氏の著書『ゾーンの入り方』がヒントになっていた。
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室伏広治『ゾーンの入り方』を読むと、実際に“楽しむ意義”についてこんな記述がある。
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この考え方はまさに「抑え」として必要な資質であり、集中するために「楽しむ」意識が田中の「スマイル投法」に結びついているのではないだろうか。
なかでも、前半戦ハイライトとも言える集中力を見せたのは、6月19日のDeNAとの交流戦、同点の9回に登板した場面だ。田中は先頭の4番・牧、5番・神里から連続三振。続く代打・森敬斗にヒットを打たれ、盗塁も許して一打サヨナラのピンチを迎えるも、続く大和を156キロのストレートで打ち取り、3アウト。延長での劇的勝利を呼び込むことに成功した。
この緊迫の場面で、田中は1イニング20球全球ストレート、という見事な集中力での真っ向勝負。大学時代から田中を知るアマチュアファンほど、「これこそ俺の知っている田中正義」と称賛するツイートを数多く見かけた。笑顔とともに、田中正義の待ち焦がれた姿を味わうことができた前半戦だったと言える。
もっとも、日本ハムは前半戦最後に泥沼の10連敗を喫し、4位から一気に最下位へ転落。連敗はまだ継続中だ。再びチームとともに笑うために、田中正義がマウンドで躍動する姿をぜひ見たい。
田中正義自身、後半戦に向けてこんな言葉を残している。
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オールスターでも笑顔が印象的だった、と言えば、北海道日本ハムファイターズの田中正義。くしくも登板を果たした第1戦、7月19日は29歳の誕生日。オールスターでバースデー登板を実現できる選手はなかなかいないだろう。
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『すごくラッキーというか、感謝の気持ちを持ってプレーしたいと思います。出場自体が僕にとってプレゼントなので、それをかみしめながら、野球をしたい』
~『日刊スポーツ』2023年7月5日配信記事 より
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結果的にはDeNA・宮崎敏郎に投じた150キロのストレートをライトスタンドに放り込まれてパ・リーグ唯一の失点を喫してしまった田中。ただ、宮崎との対戦はオールスター出場が決まった当初から熱望していただけに、満足のいく勝負だったのではないか。打たれた瞬間の苦笑いも含めて、「笑顔」をテーマにする田中正義らしいオールスターだったと言える。
ソフトバンクへFA移籍した近藤健介の人的補償として、今季から日本ハムでプレー。2016年ドラフト1位でソフトバンクに入団した“大器”でありながら、昨季までの6シーズンは未勝利&未セーブ。1軍通算登板も34試合しかなかった。
そんな“未完の大器”が新天地でついに開花。4月26日のオリックス戦でプロ初セーブを記録した際には、涙とともにこんなコメントを残している。
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『(プロ)7年目。すごくうれしい。本当に最高の景色。これからこの景色を何十回、何百回とみられるように。初セーブのボールは実家に送りたい』
~『日刊スポーツ』2023年4月26日配信記事 より
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その言葉通り、前半戦はクローザーとして「最高の景色」を積み重ね、過去6年の通算出場に迫る31試合登板で2勝2敗14セーブ、防御率2.40。オールスター選出も納得の成績を残した。
そんな田中正義のキーワードにもなっているのが「笑顔」だ。微笑みを浮かべながらの投球は「スマイル投法」「微笑み守護神」の異名がついたほど。味方からは頼もしく、敵チームからは不気味がられる、不思議な存在感を放っている。
田中が「笑顔」を重視するのにはいくつものきっかけがあった。1つは日本ハムの新庄監督からのアドバイスだ。オープン戦で150キロ中盤のストレートを連発して1軍入りをアピールした試合では、こんなコメントを残していた。
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「ビシビシきてたね。田中君には『笑顔で投げなさい』と言ってある。その方が力が抜けるでしょ」
~『中日スポーツ』2023年3月21日配信記事 より(新庄監督の言葉)
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そしてもう1つは、6年間、ケガに苦しみながらもがいていた時期に読んだ、アテネ五輪ハンマー投げ金メダリスト室伏広治氏の著書『ゾーンの入り方』がヒントになっていた。
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『世界記録を目指してやってた方が、記録を目指すのも大事ですが、しっかり大地を踏んで空に天高く投げるっていうことを、楽しみなさいっていうの言われていて』
~『日刊スポーツ』2023年6月17日配信記事 より
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室伏広治『ゾーンの入り方』を読むと、実際に“楽しむ意義”についてこんな記述がある。
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『「どうすれば集中できるか」という方法論の一つは、その楽しさを見つけること。集中してやることの楽しさを知ることなのです。どんなにプレッシャーがかかる試合でも、どんなに大変な仕事でも、必ずその中に楽しみを見出すことはできます』
~室伏広治『ゾーンの入り方』(集英社新書)より
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この考え方はまさに「抑え」として必要な資質であり、集中するために「楽しむ」意識が田中の「スマイル投法」に結びついているのではないだろうか。
なかでも、前半戦ハイライトとも言える集中力を見せたのは、6月19日のDeNAとの交流戦、同点の9回に登板した場面だ。田中は先頭の4番・牧、5番・神里から連続三振。続く代打・森敬斗にヒットを打たれ、盗塁も許して一打サヨナラのピンチを迎えるも、続く大和を156キロのストレートで打ち取り、3アウト。延長での劇的勝利を呼び込むことに成功した。
この緊迫の場面で、田中は1イニング20球全球ストレート、という見事な集中力での真っ向勝負。大学時代から田中を知るアマチュアファンほど、「これこそ俺の知っている田中正義」と称賛するツイートを数多く見かけた。笑顔とともに、田中正義の待ち焦がれた姿を味わうことができた前半戦だったと言える。
もっとも、日本ハムは前半戦最後に泥沼の10連敗を喫し、4位から一気に最下位へ転落。連敗はまだ継続中だ。再びチームとともに笑うために、田中正義がマウンドで躍動する姿をぜひ見たい。
田中正義自身、後半戦に向けてこんな言葉を残している。
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『なるべく笑顔でいられるように。笑顔が多い1年にしたい』
~『西スポWEB otto!』2023年7月19日配信記事 より
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