話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、プロ野球パ・リーグを制したオリックス・バファローズから次々台頭する高卒ピッチャーにまつわるエピソードを紹介する。
独走でパ・リーグを制したオリックス・バファローズ。その要因の1つは防御率2点台を誇る投手陣だ。そんな投手王国オリックスに、また1人、若い力が登場した。ドラフト3位ルーキーの齋藤響介投手が9月26日の西武戦でプロ初登板初先発。4回を無失点に抑える好投を見せた。
この日の最速は150キロだったが、盛岡中央高校時代に最速152キロを記録したパワーピッチャーはその期待値のまま成長を遂げたと言える。齋藤響介を担当した内匠スカウトは、指名の挨拶でこんな言葉を残していた。
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まさに、来季から先発の一角に食い込んできそうな堂々たるデビューを飾った。
それにしても、3年連続投手4冠を狙う山本由伸、2年連続2桁勝利の宮城大弥、今年(2023年)ブレイクして9勝&防御率1点台の山下舜平大、球団新記録7連勝の東晃平。そして齋藤響介……オリックスからはどうして「高卒投手」が次々と飛躍できるのだろうか。
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以前、雑誌インタビューでこう答えていたのは、オリックス・バファローズの福良淳一GM。この『別冊野球太郎 2022春』では「オリックス流スカウティング革命」と題し、近年のオリックスが高卒選手を上手に獲得し、育成できる背景を解説。高校生に求める“資質”について「強さ」という基準を明かしていた。
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その本来持つ「強さ」をいかにグラウンドで発揮できるか。それができなければ宝の持ち腐れであり、球団としての「育成力」が問われていると言っても過言ではない。オリックスは中嶋監督の肝入りで、日本ハム時代のダルビッシュや大谷翔平にトレーニング法を指導し、メジャー球団でも指導実績を持つ中垣征一郎トレーナーを巡回ヘッドコーチに招聘。徹底した基礎トレーニングを選手たちに課していた。
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象徴的な事例が今季ブレイクした東晃平だ。いまや最速155キロを誇る剛腕は、6勝目を挙げた9月19日のロッテ戦で、球数が100球を超えた段階でも150キロを連発するスタミナも見せた。
もっとも、高校を卒業した直後の東晃平は体重73キロの細身。肉が好きではなく、当初は食トレもままならなかったと言う。それでも、栄養士の助言をもとに体をつくり、地道なウエートトレーニングに取り組むことで、今季の体重は入寮時に比べて20キロアップ。150キロも連発できるピッチャーとなったのだ。
東晃平はインタビューで「下半身」の使い方についてよくコメントしているのが印象的だ。
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東に対してトレーニングを立案し、日々見守っている中垣コーチは東晃平の成長ぶりについて、こんなコメントを残している。
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オフには山本由伸のポスティングシステムによるメジャー移籍が噂されるオリックス。それでも、この「ドラフトと育成」の好循環がある限り、投手王国はしばらく続くのかも知れない。
独走でパ・リーグを制したオリックス・バファローズ。その要因の1つは防御率2点台を誇る投手陣だ。そんな投手王国オリックスに、また1人、若い力が登場した。ドラフト3位ルーキーの齋藤響介投手が9月26日の西武戦でプロ初登板初先発。4回を無失点に抑える好投を見せた。
この日の最速は150キロだったが、盛岡中央高校時代に最速152キロを記録したパワーピッチャーはその期待値のまま成長を遂げたと言える。齋藤響介を担当した内匠スカウトは、指名の挨拶でこんな言葉を残していた。
『うちは若い投手が活躍している。そこに引けを取らない存在になれる素材があるので、先発の一角としてチームを引っ張ってほしい』
~『スポーツ報知』2022年10月26日配信記事 より
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まさに、来季から先発の一角に食い込んできそうな堂々たるデビューを飾った。
それにしても、3年連続投手4冠を狙う山本由伸、2年連続2桁勝利の宮城大弥、今年(2023年)ブレイクして9勝&防御率1点台の山下舜平大、球団新記録7連勝の東晃平。そして齋藤響介……オリックスからはどうして「高卒投手」が次々と飛躍できるのだろうか。
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『「ドラフトと育成」が一番大事かな。今までは間に合わせというか、「ここが弱い」と言ったら即戦力で補っていたけど、長い目で見たらどうかなと思って。高校生の場合は時間がかかると思ったんですけど、レギュラーを獲ったら働く期間が長い。どちらが早く強くなるかと考えた時に、高校生を育成した方が、チームとしても楽しみがありますね』
~『別冊野球太郎 2022春』(竹書房)より
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以前、雑誌インタビューでこう答えていたのは、オリックス・バファローズの福良淳一GM。この『別冊野球太郎 2022春』では「オリックス流スカウティング革命」と題し、近年のオリックスが高卒選手を上手に獲得し、育成できる背景を解説。高校生に求める“資質”について「強さ」という基準を明かしていた。
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『スカウトに頼んでいるのは「強い選手を獲ってほしい」ということ。体であったり気持ちであったり、強い選手がほしい。ウチのスカウトは優秀ですから、そういう選手を獲ってくれます』
~『別冊野球太郎 2022春』(竹書房)より
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その本来持つ「強さ」をいかにグラウンドで発揮できるか。それができなければ宝の持ち腐れであり、球団としての「育成力」が問われていると言っても過言ではない。オリックスは中嶋監督の肝入りで、日本ハム時代のダルビッシュや大谷翔平にトレーニング法を指導し、メジャー球団でも指導実績を持つ中垣征一郎トレーナーを巡回ヘッドコーチに招聘。徹底した基礎トレーニングを選手たちに課していた。
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『打つにしても投げるにしても、下半身からの力をどのように伝えるかが大事。うまく力を出せない、力を伝えられないのを改善すれば、パフォーマンスは上がるんじゃないか。高卒の選手なら、体の使い方、力の伝え方を3年かけて徹底しています』
~『別冊野球太郎 2022春』(竹書房)より
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象徴的な事例が今季ブレイクした東晃平だ。いまや最速155キロを誇る剛腕は、6勝目を挙げた9月19日のロッテ戦で、球数が100球を超えた段階でも150キロを連発するスタミナも見せた。
もっとも、高校を卒業した直後の東晃平は体重73キロの細身。肉が好きではなく、当初は食トレもままならなかったと言う。それでも、栄養士の助言をもとに体をつくり、地道なウエートトレーニングに取り組むことで、今季の体重は入寮時に比べて20キロアップ。150キロも連発できるピッチャーとなったのだ。
東晃平はインタビューで「下半身」の使い方についてよくコメントしているのが印象的だ。
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『体力がなく下半身があまり使えなくなってくると、ばらつきが出て修正が出来なかった』
~『BASEBALL KING』2023年8月27日配信記事 より
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『入団時はこんなに出ると思わなかった。体重が増えて、筋トレをして、下半身の力が落ちなくなったのが大きい』
~『日刊スポーツ』2023年9月19日配信記事 より
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東に対してトレーニングを立案し、日々見守っている中垣コーチは東晃平の成長ぶりについて、こんなコメントを残している。
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『どこまで伸びるか“天井”が予測できなかったし、あそこまでいくとは思っていなかった。クセのない分、これだけはやると方針を決めてトレーニングを重ねたので、総合的なパフォーマンスが上がったと感じる』
~『東スポWEB』2023年9月21日配信記事 より
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オフには山本由伸のポスティングシステムによるメジャー移籍が噂されるオリックス。それでも、この「ドラフトと育成」の好循環がある限り、投手王国はしばらく続くのかも知れない。