いつでもみんなのプロ野球!実況アナルーム3月のテーマは“開幕”
日本のプロ野球は3月29日に開幕したが、メジャーリーグはひと足さきに3月20日韓国でドジャースとパドレスの2チームの対戦で開幕した。
ニッポン放送ショウアップナイターで実況を務める師岡正雄アナウンサーは、今から21年前、当時ヤンキースに入団した03年の松井秀喜さんの開幕戦が今でも印象に残っていると言う。
「あの年(03年)は1月に松井選手の入団会見でニューヨークへ行き、1度帰ってきてから、キャンプから再びアメリカに行ってオープン戦のリポートがありましたね。とにかく開幕する前からリポートが山ほどあって、オープン戦も回線を繋いで松井選手の打席の実況を放送しましたね。1日何本も松井選手のメジャーコーナーがあって、オープン戦の頃からやっていた記憶がありますね」。
03年のヤンキースは敵地・トロントでブルージェイズとの開幕戦。「日本の報道陣が待ち構えているところに、ジーターが先にパッと出てきて、日本の報道陣の前で“ヒデキ・マツイ”と紹介してくれて、松井選手が照れながら出てくるというのがありましたね。それを見ていたスタンドもワ〜っとなるし、僕たちもそれをレポートしたりというのがすごく記憶にありますね」。
松井さんは『5番・レフト』で先発出場し、初回の第1打席にロイ・ハラデイからレフト前に適時打を放ち、メジャー初安打・初打点を記録。ヤンキースはトロントでのブルージェイズ戦を終えると、次カードも敵地でタンパベイ・レイズと3連戦を戦い、本拠地・ヤンキースタジアムに戻ってきた。
「その時の状況はヤンキースタジアムに早めにいって、球場周辺を歩くとものすごいファンでお祭り騒ぎ。日の丸の鉢巻きをしたり、ゴジラ、ゴジラ、叫んでいるわけ。日本の開幕戦も盛り上がるけど、それ以上にやっぱりヤンキースって違うんだなと。一味違う盛り上がり方、まさにお祭り騒ぎでしたね」。
ヤンキースタジアムでの中継は、レフトポール付近に中継ブースがあり、選手たちの表情や打球がよく見えなかったという。ツインズとの本拠地開幕戦に『5番・レフト』でスタメン出場した松井さんは、5回に満塁で打席が回ってくる。当時の球場の状況について師岡アナは「スタンドからはスタンディングオベーション。本拠地デビュー戦で、満塁で松井を迎えるというので、スタンディーグオベーションがすごかった。その中で出てきて、本当に夢中になってしゃべったよね」。
松井さんはフルカウントで迎えた6球目、ライトスタンドに放り込んだ。「打った瞬間、いいあたりなんだけど、放送ブースは球が上がると見えない。いいあたりというのは、感覚でわかるんだけど、野手が下がっていくのと歓声、ライト、レフトの下がり方、歓声を頼りに実況した。本当に鳥肌が立って実況しましたよね」。
松井さんはスタンドを一周してベンチに戻ってくると、ファンからのカーテンコールに応えた。「ゴジラニューヨーク上陸しました、ニューヨークで産声を上げましたとか実況して、ちょっと落ち着き、余韻を喋りながらやっているうちに一塁側のダッグアウトから松井選手が出てきて、ヘルメットをとってカーテンコール。そうすると歓声がウワー、ものすごい歓声だったね。鳥肌立ったね。最高の場面で最高の結果を残しているわけでしょう。とにかく打ってくれ、期待に応えてくれ、いいデビューをしてほしいと思っていた中で、最高のデビューでしたね。そういう開幕戦の実況でしたね」。
あれから21年が経ち、師岡アナは3月20日に放送された『ニッポン放送ショウアップナイタースペシャル MLBソウルシリーズ2024 ロサンゼルス・ドジャースvsサンディエゴ・パドレス』の実況を担当した。
実況の準備という部分では21年前は「開幕戦に向けて準備は、キャンプを通じて見てきた様子、松井くんとのコミュニケーションの様子というのをまず人柄を観察して、資料を作る一つの手段としましたね。あとは本当に基礎知識、あの当時20年前はネットがあったけど、情報がそんなに今ほど多くないでしょう。オープン戦での成績を全部自分で手書きでつけていました。毎日自分でつけて、それで日々準備していましたね。MLBのホームページは英語で書いてあってわからないけど、数字はわかるじゃない。それと照らし合わせながら準備したというのを覚えていますね」と自分がつけている資料をもとに選手のデータをまとめていた。
今回は21年前に比べてネットが普及。「同じように基礎知識、ベッツ、フリーマン、有名選手の基礎知識をネット見ながら資料作り。これまでのオープン戦も毎日成績、データを入れましたね」と、インターネットで選手の名前を検索するとすぐに情報が出てくる。インターネットで選手たちの情報をまとめ開幕に備えた。
メジャーリーグ、そして日本のプロ野球が幕を開けた。今季に向けて師岡アナは「今年のテーマは“熱ラジ!”。熱い気持ちを持って実況しようと思うし、日本のプロ野球でも同じように燃えるもの、熱い気持ちで接していく。“ここでどうなるかわからない”というところの熱い気持ちと、“ここぞ”というところの緊張感だよね。勝利に徹する緊張感を伝えていきたいなと思っている。野球は1球で流れが変わる。その流れを僕らなりによんで、“ここでこうなれば、こうなるだろうか”、先手を打ちながら見ていく。聞いている皆さんもよりリアルに聞いていただけるんじゃないかなと思っています」と、熱くリスナーに伝えていくことを誓った。
(ニッポン放送ショウアップナイター)