いつでもみんなのプロ野球!実況アナルーム10月のテーマは“日本シリーズ中継の秘話”
「当時のことは全く覚えてないですね」。
ニッポン放送ショウアップナイターで実況を務める清水久嗣アナウンサーは、初めて日本シリーズの実況を務めた2021年・日本シリーズ第5戦ヤクルト-オリックス(東京ドーム)の記憶がほとんどないという。
初めての日本シリーズでの実況。担当者から初めて日本シリーズの実況を伝えられた時、「2007年からいたので、当時15年目、ついに来たかと。前の年とかにリポーターはついていましたが、それまでは出番すらなかった。ステップを踏んで5戦目とはいえ、ついに来たかという感じはありましたね。嬉しかったですよ」と振り返る。
日本シリーズを実況したいという思いは、「縁遠いものであんまり夢とかになかったかもしれないですね。名誉なことではあるんですけど、相手を選べるものではないし、たとえば甲子園の阪神対巨人を喋りたいと言ったら早いじゃないですか、日本シリーズはどこのチームが対戦するのかわからないし、どこの球場でやるのかもわからない。そういう意味ではイメージは湧かないので、ボーナストラックみたいな感じですね」と話した。
初めての日本シリーズでの実況、開始前から何を伝えようとか決めていたことはあったのだろうかーー。
「気を衒ったことはできないですけど、球場の雰囲気がヤクルトファンで埋まる東京ドームは異様じゃないですか、そこは球場の雰囲気が巨人戦とは趣が違うなという感じがしましたね。お客さんの存在が特別だったり、21年はコロナ禍でした。色々大変だった時期ですけど、久しぶりにこんなお客さんの前で喋るなというのがあった気がします。お客さんが騒げない感じもあったんですけど、ゲーム展開がそれをぶち壊す歓声になるシーンがこの試合ではありましたよね」。
“ゲーム展開をぶち壊す”というのが、ヤクルトが3点を追う8回に山田哲人の3ランで同点に追いついた場面だ。清水アナは「(解説を務めた)井端さんが1、2打席目の結果を見た時に、“今日の山田はバットの感じが悪くないので、これあるかもしれないですよ”、“内容は悪くないと思いますよ”みたいなことを言っていたんですよ。へ〜と思いながら話していて、同点のシーンで打った瞬間で、目の前のお客さんが総立ちにになって、ヤクルトファンはこんなにいたんだというくらい総立ちになった。アレを見てさすがだなと感じたし、球場の雰囲気を変えた一撃とお客さんの歓声、総立ちであれは忘れられない。重たい雰囲気、1振りで弾け飛んだ。終わってみればジョーンズのホームランで勝ち越してそうはならなかったんですけどね」と当時を懐かしむように話した。
試合はヤクルトが敗れたが、第6戦に延長戦の末に勝利し、4勝2敗でヤクルトが日本一に輝いた。
今年もニッポン放送で、日本シリーズが中継される。清水アナは「今だからこそのラジオナイターで、お出かけの時とか、パソコンの前でもスマホでも聴ける。日本シリーズの熱気が音で伝わるのはラジオだけだと思うので、展開面も含めて独特な雰囲気がある日本シリーズをラジオ、ラジコから感じていただきたいなと思います」とリスナーに向けてお願いした。
日本シリーズは来週の26日に始まる。
(ニッポン放送ショウアップナイター)