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あの夏も“熱かった”――。ニッポン放送・松本アナ「4ヶ月の想いが凝縮した時間」大魔神のMLB球宴の登板

ニッポン放送ショウアップナイターで解説を務める佐々木主浩氏(左)と松本秀夫アナウンサー(右)[提供=松本秀夫アナ]

◆ いつでもみんなのプロ野球!実況アナルームのテーマは“今まで一番熱かった試合”

 ニッポン放送ショウアップナイターで実況を務める松本秀夫アナウンサーが、“今まで一番熱かった試合”について何個か挙げてもらった中で、今回は2001年のMLBオールスターゲームで登板した当時シアトル・マリナーズの守護神だった大魔神・佐々木主浩氏(現ニッポン放送ショウアップナイター解説者)のエピソードについて語ってくれた。

 7月に行われたオールスターゲームの4ヶ月前に遡る。

 「3月の中旬から丸4ヶ月シアトルのアパートに住んで、マリナーズの全試合に帯同。ビジターの土地ではレンタカーを借りて、球場に行ったりしていたんだよね。それで大魔神と“今日はいくか!”ってセーブを決めた試合でご機嫌だと、親しい新聞記者、通訳、大魔神と大体4人くらいでその土地の日本料理を中心にお酒を飲みましたね」。

 「アメリカに行っている間に体重が4、5キロ痩せたんだよ。深夜のニッポン放送の番組でのレポートもやって、睡眠時間もなかった。たとえば次の日デーゲームだというとほとんど寝る時間もなかった。向こうは6連戦どころじゃない、10連戦、15連戦とあるから、本当に休みなく、休みの日も移動。その合間に洗濯もしなきゃいけないとかさ」。

「向こうの料理はあまり合わなくて、どこの球場のメディア飯のところに行ってもグレイビーソース。癖があって匂いが強烈なんですよね。その臭いを嗅ぐと食欲がなくなるわけよ。肉類とか食べられなくなって、サラダとかフルーツばっかりしか食べられなくなっている状態。ヘロヘロで4ヶ月過ごして、最後、“オールスターゲーム1イニングだけ喋らせてやるよ”とスタッフに言われてさ」。

 慣れないアメリカでの生活も最終日を迎える。松本アナは、01年7月10日に行われたMLBオールスターゲームの最後の1イニングの実況を務め、大魔神がアメリカン・リーグ3点リードの4-1の9回にマウンドに上がった。

 「大魔神が実際に出てきて、滅多に投げないカーブを投げたんだよね。あの時ゲスト解説にテリー伊藤さんがいたんだけど、大魔神の投げたボールをカーブと言えるのは松本さんだけだよと言われた。ろくなレポートもしていなくて、今だから時効だから言えるけど、深酒の状態でレポート入れたり、そう言うことをやったりしてさ」

 「その最後の時間にしたら10分くらいだったのかな。大魔神と過ごした日々というかね、大魔神が苦労したところは自然に出てきて、セーフコ・フィールドで試合がある時には誰よりも早くグラウンドに来て、フェンス沿いを通訳と一緒にランニングをして下半身を鍛えていましたね。そうやってランニングを欠かさなかった」。

 「実はシーズンの途中に肘が上がらなくなって、それでも投げ続けなければいけない。それだけ肘が上がらなくなって、それを誤魔化しながら投げている時期もあった。一緒に飲んだ時に、一杯一杯だよとポロッと弱音を吐いた事もありましたみたいなことを言ったら、放送を聞いて泣いたというメールがいっぱい来たんだよね。そういうつもりじゃなかったんだけど、本当に自分にとっては4ヶ月の想いが凝縮した時間にしたら10分くらいのモンだと思うんだよ」。

 大魔神は、オールスターという夢舞台でナショナルリーグの打者を3人で片付け、セーブを挙げた。

 「オールスターが終わった日の晩に大魔神のお母さんも来ていて、テリー伊藤さん、実況担当の師岡さん、編成局長、魚料理の日本料理のお店でとことん飲んだ。大魔神に飲めよとか言われたんだよね」。

 「で俺が、“この晩が終わらないんだったら、いつまでも飲んでやるよ”と言ったのかな。最後に絶対優勝しろよと握手、ハグして、師岡さんに“マツ、今夜はお前の勝ちだよ”と言われたのを覚えているんだよ。それぐらい帰りたくないというかさ、最初はキツくてしょうがなかった。慣れないアメリカ暮らし、英語も通じなくてしんどかった。帰りたくてしょうがなかったんだけど、帰りの晩の時にこれで終わっちゃうと思うと無性に辛くて、浴びるほど飲んだけど、酔わなかったね。絶対に優勝しろよと握手して別れて、マリナーズが116勝した。濃厚な1日だったね。あとで、自費でもう1回行ったよ」。

 松本アナにとって、佐々木主浩氏とはどういう存在なのだろうかーー。

 「1995年ぐらいだから30年くらいの付き合いなんだけど、常にいじられっぱなし、つっこまれっぱなし。年齢で言うと6つ年下なんだけど、どちらかというと俺の方ができの悪い弟。向こうが兄貴で、しょうがないなと言いながら、俺の抜けているところがカバーしてもらっていると思います。口は悪いけど、きめ細やかなんだよね。気配り、細かいところを見ているからね。俺はガサツだから、俺を見ていると危なっかしくてしょうがないと思ってくれている。そういうところをギャーギャー言いながら、いつも助けていただいています」。

 佐々木氏は05年に現役を引退し、現在はショウアップナイターで解説を務め、これまで何度も松本アナ、佐々木氏のコンビで中継を盛り上げてきた。この先も、松本アナと佐々木氏の“阿吽の呼吸”で、熱い中継をしてくれるはずだ。

(ニッポン放送ショウアップナイター)

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