日大三高時代に甲子園優勝投手
オリックスの近藤一樹投手が崖っぷちの中、戦っている。01年のドラフトで、近鉄に入団。オリックスに残っている元近鉄選手としては、ただ一人の選手。プロ入り15年目を迎える今季は、引退の2文字もちらつくほど勝負の年になる。背番号は65。
今季、一軍では4月2日のロッテ戦に先発したが、4回2/3を投げ、2失点。勝敗は付かず、翌3日に出場登録を抹消された。11年以降、右肘と右肩に故障をかかえ、手術も敢行。一度は育成選手にまで落ちたが、15年途中にふたたび支配下登録された。数々の試練を乗り越え、16年もオリックスのユニホームに身を包んだベテランが、復活をかけ一軍復帰を狙っている。ここで終わるほど、メンタルは弱くないはずだ。
近藤は、01年の夏甲子園で日大三高(西東京)が初優勝したときのエースピッチャーだった。そして、01年の優勝メンバーのうち、何と4選手がプロ入りした。
近藤一樹投手が近鉄、内田和也外野手がヤクルト、千葉英貴投手が横浜、そして都築克幸内野手が中日へ、それぞれ02年に入団した。千葉は控え投手、内田は3番、都築は 1
番打者として、日大三高の優勝に貢献。4 人とも、すばらしい素質の持ち主だったが、現在、現役で残っているのは近藤だけなのだ。
一つの高校の同学年の選手がプロ入りした最大人数は5人。PL学園のKK世代だ。86年、PL学園から即プロ入りしたのが、桑田真澄投手(巨人)、清原和博内野手(西武)。松山秀明内野手は青山学院大学に進学後、オリックスに入団。内匠政博外野手は近大、日本生命を経て、近鉄に入団した。そして今久留主成幸捕手は明大進学後に横浜に入団した。
なお、PL学園はKK世代の2学年下の後輩も、立浪和義(中日)、片岡篤史(日本ハム)、野村弘樹(横浜)、橋本清(巨人)と4人がプロ入りした。
2008年にブレイクも…
近藤は、08年、プロ入り7年目にブレイクした。6月に一度、ファーム落ちを経験したが、ほぼ1年間、ローテーション投手として活躍。プロ初完投勝利を挙げるなど、初めて規定投球回数をクリア。10勝7敗、防御率3.44を記録した。翌年も9勝12敗と、ローテーション投手としての役割を果たしたが、活躍もここまで。その後は、前述の通り、負傷に苦しみ、満足のいく成績を出せていない。
昨年7月12日。近藤は楽天戦(コボスタ宮城)に先発。6回3失点の好投で、実に1411日ぶりに勝利投手になった。けがで苦しみ、育成選手からはいあがって、つかんだ白星に「手術を何度もしましたが、それを受け入れてくれた球団に感謝です。腐らずに、今日までやれることができました」と、ヒーローインタビューでは涙を浮かべた。
そして、今季は4月15日の西武戦で、今季初勝利を挙げた。初回に、秋山、栗山に連打を浴びたが、後続を抑えると、波に乗った。粘り強い投球で、5回1/3を2失点に抑えた。見事な復活。地獄を見た男が、苦しい台所事情のオリックスの救世主となれるか注目だ。