好調をキープしているイチロー
アメリカ・メジャーリーグの歴史においても、30人しか達成していない大記録「3000本安打」――。日本が世界に誇る安打製造機・イチローが、この偉業にあと「2」と迫っている。
ここに来て9打席連続無安打と足踏みがつづいているが、もとはと言えば「今季中の達成は厳しい」という見方のほうが多かった。打率.321、60安打。今のこの活躍を予想できた人はほとんどいなかっただろう。
42歳という年齢を感じさせないスピードと、卓越したバットコントロールでダイヤモンドを駆け巡っているイチロー。その活躍ぶりは、メジャー屈指の布陣と言われる若き外野陣に入っても引けをとらない。
「せめてア・リーグのチームだったら...」?
所属するマーリンズでは、“4番目の外野手”として先発出場の機会は限られている。
マーリンズの外野を形成するイエリッチ、オズーナ、スタントンの3人は、全員20代と若い。しかも、この3人がそのままクリーンナップを務めるなど、チームの中心的存在として君臨している。
そのため、いくらイチローが好調であっても、なかなかこの枠に割って入っていくのは難しい。厳しい戦いであることは承知済みだったとはいえ、「イチローが今季フル出場できるチームだったら……」「せめて指名打者制度のあるア・リーグのチームだったら……」と嘆きたくなるのも分かる。
“限界”への挑戦
事実、トレード期限が迫ってきた7月末には、各地で「イチローの獲得に乗り出したらどうだ」などと煽る声も挙がったほど。“4番手外野手”を受け入れてマイアミにやってきた男は、1年目で限界説まで囁かれた中、それをはね退けて42歳のシーズンに躍動している。
現在は目の前に迫った「3000」の大台が目標となっているイチローであるが、3000本を達成したら終わりではない。「50歳までプレーできる!」と太鼓判を押されるくらいの身体を持っており、打撃技術の方もまったく錆びついてはいない。
50歳まで現役。そして4000本安打、さらには“真のローズ超え”となるメジャー通算4257安打へ……。イチローのあゆみから目が離せない。