1年前とメンバーが一変
プロ野球も開幕から約半年が経過。長かったペナントレースもいよいよゴールが近づき、個人タイトル争いも徐々に見えてきた。
中でも気になるのがセ・リーグの投手部門。昨年とは顔ぶれが一変しており、新時代の到来を予感させる様相になっているのだ。
ここでは防御率と勝利数に絞り、昨年と今年を比較しながら見てみよう。まずは防御率から。
【セ防御率トップ5】
<2015年>
1位 1.85 ジョンソン(広島)
2位 1.91 菅野智之(巨人)
3位 1.92 マイコラス(巨人)
4位 2.09 前田健太(広島)
5位 2.40 藤浪晋太郎(阪神)
<2016年>
1位 1.97 菅野智之(巨人)
2位 2.15 ジョンソン(広島)
3位 2.67 田口麗斗(巨人)
4位 2.71 野村祐輔(広島)
5位 3.01 メッセンジャー(阪神)
昨年も激戦を繰り広げたジョンソンと菅野。今年は菅野が唯一の1点台を守り、2年ぶりとなる防御率のタイトルへ向けてリードしている。
また、ガラッと変わったのが3位以下。今シーズン大きな飛躍を果たした田口と野村が、終盤に来てもトップ5に名前を載せている。田口は自身初の2ケタ10勝も果たし、野村はメジャー挑戦のために退団したエース・前田健太の穴を埋める活躍を見せた。この2人の活躍を予想できた人は少なかったのではないか。
前田健太の穴を埋めた男
つづいて、勝利数も見ていこう。
【セ勝利数トップ5】
<2015年>
1位 15勝 前田健太(広島)
2位 14勝 ジョンソン(広島)
2位 14勝 藤浪晋太郎(阪神)
4位 13勝 マイコラス(巨人)
4位 13勝 石川雅規(ヤクルト)
<2016年>
1位 16勝 野村祐輔(広島)
2位 15勝 ジョンソン(広島)
3位 12勝 メッセンジャー(阪神)
4位 11勝 山口 俊(DeNA)
5位 10勝 田口麗斗(巨人)
勝利数では、前田に代わって野村がトップに。ジョンソンは今年も1勝差で追う2位につけるが、野村もジョンソンもポストシーズンへ向けて登録を抹消されたため、上位2人はこのままフィニッシュ。最後の最後で1勝を積み上げた野村が抜け出し、自身初タイトルとなる最多勝を確実なものとした。
ちなみに、同一球団から最多勝獲得となれば、88年の西崎幸広&松浦宏明(日本ハム)、93年の山本昌&今中慎二(中日)、96年の斎藤雅樹&ガルベス(巨人)以来で史上4例目の珍現象となっていた。
こうしてみると、見事に前田健太という大黒柱の穴を埋めた野村と、2年続けてハイレベルな投球を見せたジョンソンの活躍ぶりが一際輝きを放っている。
「野球は投手力」――。打線に注目が集まった今年の広島であるが、この2人をはじめとする投手陣の安定した働きなくして、25年ぶりの歓喜はあり得なかった。
来年の今頃、このタイトル争いはどうなっているのか...。今年がそうだったように、きっと誰も予想できないような並びとなっているに違いない。