「プロ5年以内のキング」は狭き門
西武の新4番候補・山川穂高が順調な仕上がりを見せている。
2月25日、キャンプ最終日に行われたロッテとの練習試合に「4番・一塁」で出場。初回に中前打を放つと、3回には左翼フェンス直撃の2点適時二塁打をマーク。7回にはチームの対外試合第1号となる本塁打を左翼へ放った。
昨季終盤に4番の座を射止めた26歳の大砲が放った貫禄の一発。バットの先でとらえたように見えたが、ライナー性の打球はあっという間にフェンスオーバー。さすがとしか言いようがないパワーを見せつけた。
シーズン後半戦で大爆発した山川にとって、今季は年間を通して活躍できるかが試される年となる。西武ファンからすれば、後半戦だけで19本塁打をマークした山川には30本塁打以上、あわよくば40本塁打も期待したいところ。となれば当然、本塁打王というところも視野に入ってくる。
山川が尊敬する中村剛也も初の本塁打王は7年目
ロッテの井上晴哉とともに1年目の開幕前から注目を集めたこともあって、ブレイクまで時間がかかった印象もある山川だが、今季がまだプロ5年目。大卒ではあるものの、成長曲線としては悪くない。
実際、プロ入り5年以内に本塁打王のタイトルを獲得した選手はごくわずかだ。もし山川が本塁打王に輝けば、過去の偉大な先輩たちとともに球史に名を刻むこととなる。
【プロ入り5年目以内の本塁打王】※過去50年
1969年 長池 徳(阪急/41本/大卒4年目)
1982年 落合博満(ロッテ/32本/社会人出4年目)
1993年 江藤 智(広島/34本/高卒5年目)
1995年 小久保裕紀(ダイエー/28本/大卒2年目)
2007年 村田修一(横浜/36本/大卒5年目)
2010年 T-岡田(オリックス/33本/高卒5年目)
2015年 山田哲人(ヤクルト/38本/高卒5年目)
過去50年にわたって振り返ってみても、達成者はわずかに7人だけ。脂が乗ってきた先輩スラッガーやパワーがウリの助っ人外国人らがライバルになるわけで、そのハードルの高さは容易に想像できる。高卒と大卒の違いはあるが、山川が敬愛する中村剛也が初めて本塁打王のタイトルを獲得したのもプロ7年目の2008年であった。
“先輩・中村超え”を果たし、4番の座を揺るぎないものとできるか。山川の勝負の5年目が幕を開ける。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)