コラム 2020.09.22. 07:09

球史に残る、驚きの快進撃も!「監督交代」で起こったさまざまなミラクル

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8月から監督代行として指揮を執っていた中嶋聡監督代行 (C) Kyodo News

今季も1件、あれから1カ月…


 いつもより3カ月遅れで始まり、120試合制に短縮されて行われている2020年シーズンもいよいよ佳境。すでに80試合を消化したチームも出てきており、残るは「3分の1」というところまで来た。


 “いつもと違う”戦いのなか、今季は特に思うようにいかない部分もあったことだろう。シーズン途中での大きな改革、方向転換も珍しくなく、たとえばオリックスは8月20日に西村徳文監督を解任。当時は二軍のチームを率いていた中嶋聡氏を、8月21日から監督代行に据えた

 早いものであれから1カ月…。その間の成績は27試合で11勝15敗1分。リーグ5位の成績と“V字回復”とはならず、順位も6位で変わらず。それでも、二軍監督時代に見てきた若手を積極的に起用しながら、チームに新たな風を吹き込ませようとしている。


 監督代行と言うと、次期監督候補が指名されるケースだけでなく、次期監督が決まるまでのつなぎ役だったり、また監督の病欠や試合中の退場、出場停止などに伴う一時的なものまで、様々なケースがある。

 今回は、過去の監督代行にまつわる成功エピソードや、まさかの珍事件をまとめて紹介していきたい。


ヤクルトは小川体制で驚異のV字回復


 かつてめざましい実績を挙げた監督代行と言えば、最近では小川淳司氏(現・ヤクルト球団GM)のことを思い出す人も多いだろう。


 2010年5月27日、成績不振による高田繁監督の辞任を受けて、ヘッドコーチから監督代行に就任。当初はいわゆる「敗戦処理」的なつなぎ役という見方が多く、翌年は荒木大輔コーチの監督昇格が有力視されていた。

 というのも、当時はドラフトの目玉に早稲田大・斎藤佑樹(現・日本ハム)がおり、もし獲得が叶えば、荒木新監督との“早実コンビ”という大きなウリができる。そんな未来が語られたりもしていた。


 しかし、小川代行は就任時に13勝32敗1分というどん底状態にあったチームを見事に立て直す。

 当時二軍でくすぶっていた畠山和洋の抜擢や、6月に緊急補強したジョシュ・ホワイトセルの活躍など、打つ手が次々に当たり、借金19を完済したばかりでなく、横浜と広島を抜いて貯金4の4位まで急浮上。就任後の59勝36敗3分、勝率.621は12球団の指揮官でもトップという好成績だった。


 この快進撃が「優勝に匹敵する」(堀澄也オーナー)と評価された小川代行は、全日程終了後の10月12日に“代行”が取れ、晴れて正式な監督に就任。こんな逆転人事もあるのだから、つなぎ役といえども結果次第なのである。


監督の電撃辞任も初優勝を掴んだ広島


 シーズン途中で監督が辞任をし、監督代行が誕生するというのはさほど珍しくはない話。ところが、過去にはさらに“代行の代行”、1シーズンに3人が指揮をとったという珍事もあった。

 1984年のヤクルト(武上四郎→中西太→土橋正幸)や、1995年の中日(高木守道→徳武定祐→島野育夫)のように、成績不振による場合がほとんどだが、1シーズン3人体制で優勝してしまったのが、1975年の広島だ。


 最初に指揮をとっていたジョー・ルーツ監督は、4月27日の阪神戦で起こった判定トラブルをキッカケに、まさかの電撃辞任。野崎泰一コーチが4試合の代行を務めたあと、5月3日に古葉竹識コーチが新監督に就任した。

 それでも、そんなドタバタ劇に負けず、チームは72勝47敗11分と絶好調。球団創設26年目にして、悲願の初優勝をはたした。


 ちなみに、野崎代行が指揮した4試合の成績は3勝1敗。ゲーム差は4.5ながら、2位の中日は69勝だったので、この3勝は大きかったのだが、在任期間が短かったため、現在はルーツ・古葉両監督の二人三脚で優勝したという話が広く流布されている。

 この場を借りて、初Vのもう一人の立役者「野崎代行」にもスポットを当てておきたい。


「代行の代行」が指揮を執る“非常事態”


 監督代行が試合中に退場処分…。急遽“代行の代行”が指揮をとるという珍事が起きたのが、2008年の広島だ。

 マーティ・ブラウン監督が母親の葬儀参列のため一時帰国。8月19日の阪神戦からジェフ・リブジーヘッドコーチが3試合代行を務めたのだが、8月21日に行われた阪神戦の8回、本塁クロスプレーのアウト判定に抗議した際に、球審に暴言を吐いて退場を宣告されてしまった。


 監督不在の中、監督代行が退場。さて、どうしたものか……というところで、小早川毅彦打撃コーチが“代行の代行”として指揮。しかし、4-7で敗れ、このカード3連敗となった。

 ブラウン監督の退場時の代行としてお馴染み、楽天時代も含めて9勝3敗という高勝率を誇った“代行名人”のリブジー氏。ただし、ご本尊が初めから不在のときは、神通力もなくなってしまうようだ。


監督代行の辞任でオールスターまで大混乱


 監督代行が1カ月ちょっとでまさかの辞任。代行の代行に替わったことから、オールスターにも影響が出たのが、2014年の楽天だ。


 前年、球団初の日本一を達成した星野仙一監督が、腰の手術で離脱。代わって佐藤義則コーチが5月26日のヤクルト戦で指揮をとり、翌27日から正式に監督代行に就任したのだが、23試合で9勝14敗という成績不振だったため、7月2日からは大久保博元二軍監督が“代行の代行”に就任した。

 だが、佐藤代行は7月18~19日のオールスターで、全パを率いる星野監督の代役に決まっていたことから、話がややこしくなる。

 大久保代行がここでも“代役の代役”を務める案もあったが、本人が「オレは代行だから、監督の上に行くようなことは違うと思う」と辞退。その後、パ・リーグ側の強い要望により、一度は辞退した星野監督がオールスターから復帰を目指すことになったが、これも体調の回復が間に合わず…。7月12日に再度の辞退が発表され、結局、他球団から監督を選ぶことになった。


 ところが、前年2位の西武はというと、伊原春樹監督が成績不振の責任をとって6月27日に辞任。こちらも田辺徳雄代行が指揮をとっていたので、これまたすんなりとはいかない。

 結局、前年3位のロッテ・伊東勤監督が全パの指揮をとり、大久保代行はコーチとしてベンチ入りする形に落ち着いたが、田辺代行も含め、全パのコーチが2人とも代行というまさかの珍事に。

 一方、全セは巨人・原辰徳監督が指揮をとり、阪神・和田豊と広島・野村謙二郎の両監督がコーチ。さらに、中日の谷繫元信兼任監督も捕手として出場していたため、現職監督が4人という好対照な顔ぶれになった。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

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