コラム 2021.04.12. 21:09

侍ジャパン・稲葉篤紀監督の憂鬱【白球つれづれ】

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侍ジャパンを率いる稲葉監督

白球つれづれ2021~第15回・金メダルへの道程


 ゴルフの松山英樹選手がマスターズ大会で日本人として初の優勝を飾った。

 4大メジャーの中でも、唯一同一会場で行われるマスターズは、歴史と伝統に彩られた最も人気の高い大会だ。深夜3時過ぎからの最終ラウンドを見るために寝不足になったファンも多いことだろう。

 メジャーリーグではエンゼルスの大谷翔平選手の活躍が注目を集めている。投げては162キロの快速球に、打っては137メートルの大アーチ。こちらも日本国内だけでなく、米国でも「リアル二刀流」の怪物度に話題は持ちきりだ。

 世界に羽ばたくジャパンブランド。国内の球界に目を転じると、およそ3カ月半後に迫った東京五輪の侍ジャパンも金メダルと世界一を狙っている。


千賀滉大負傷離脱の報


 7月28日に開幕を迎え、8月7日に決勝が予定される五輪野球。すでに3月には第一次出場候補選手の登録を完了。この時点では代表に可能性を残す185人が登録されたが、5月下旬から6月上旬に提出される最終メンバーは24人に限定される。

 直近の五輪野球となる2008年の北京大会を参考にすると、ポジション別メンバー構成は投手10、捕手3、内野7、外野4の24選手。今回の東京大会でもその割合に大きな差はないだろう。そこで、最も“金獲り”で大きなウェートを占めるのが投手陣の編成である。だが、ここへきて侍ジャパン・稲葉篤紀監督が頭を抱える緊急事態が起こっている。先発4本柱の視界不良だ。

 衝撃は千賀滉大投手(ソフトバンク)のアクシデントだった。今月6日の日本ハム戦で今季初登板。貫禄の投球で初勝利を挙げたが、6回途中にライナー性の打球を処理する際に左足首をひねって転倒。担架で運ばれ緊急降板となった。その後、福岡市内の病院で受けた精密検査の結果は「左足首の靱帯損傷で全治2~3カ月」というもの。

 メジャーからも熱視線を送られる大黒柱が五輪出場を絶望視されるだけでもショッキングな出来事だが、この春の異変はそれだけにとどまらない。


先行き不透明な先発候補たち


 ヤンキースから国内復帰の田中将大投手(楽天)が開幕直前に右ふくらはぎの損傷で戦列を離脱。さらに今季のメジャー行きを断念した菅野智之投手(巨人)も開幕初戦のDeNA戦に先発した後、足裏の痛みで次回登板まで2週間の再調整を余儀なくされた。この3人に昨年の沢村賞男・大野雄大投手(中日)を加えた4投手で先発を任せられれば、手薄なストッパーに山本由伸投手(オリックス)を回すことも可能になる。

 例年、春先はピリッとしない大野の場合は昨年も夏前から調子を上げているので心配はいらないかも知れない。しかし、故障を抱える田中や菅野は再発の恐れもある。遅くとも5月中旬までに調子が上がってこないようだと、最終登録の関係から投手陣の構想は根底から見直しが必要になるかもしれない。 

 短期決戦の国際試合では投手陣の優劣で勝負が決する場合が多い。打者にすれば初めて対戦する投手は配球やクセも読みづらい。特に日本の場合は有力国よりパワーで劣るため、投手力とスモールベースボールに活路を見出してきた歴史がある。


投手陣以外にも憂鬱の種


 もうひとつの稲葉ジャパンの特徴は、スペシャリストとユーティリティープレーヤーの活用だ。周東佑京選手(ソフトバンク)の快速はここ一番の秘密兵器になり、内外野どこでも守れる外崎修汰選手(西武)らが重宝されてきた。しかし、ここでも外崎が死球を受けた際に「左腓骨骨折」で長期離脱(3カ月以内の復帰が目標)が確実視されている。

 得意の情報分析でも、コロナ禍にあってライバルチームへの視察も一苦労、指揮官にとっては課題が山積となっている。

 今春のキャンプには精力的に足を伸ばして各選手のチェックに余念がなかった。こういう時代だからこそ、幅広い選手の適性を見ながら、もしもの場合に備えている。

 「野球をやれる感謝、応援してもらえる感謝。いろんな感謝の思いを持ちながらやるオリンピックになる。その感謝を伝えるためにも金メダルを獲る」。

 松山プロも、大谷も幾多の困難を乗り越えた先にスポットライトが当たっている。侍ジャパンが世界にどんな衝撃を与えることが出来るか。憂鬱と困難の先に歓喜が来ることを願うばかりだ。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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