コラム 2021.09.17. 06:29

“審判は絶対”とはいえ…過去にもあったプロ野球の審判による「3つの珍ジャッジ」

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判定に混乱があり、試合終了後に審判団に確認を求めるヤクルト・高津監督 (C) Kyodo News

勝負の9月戦線、「審判の判定」が大きな話題に…


 9月も折り返し地点を過ぎ、プロ野球のペナントレースもいよいよ佳境。

 目の前の1試合の重要性も増してきた中、とある試合の“審判の判定”が大きな波紋を呼んだ。




 9月13日、バンテリンドームで開催された中日-ヤクルトの一戦。

 ここではプレーの詳細についての説明は省くが、1点を追うヤクルトの9回表の攻撃が思わぬ形で終わってゲームセット。

 大きな原因が審判のミスにあったことが明らかとなり、翌日に審判部がヤクルトのクラブハウスを訪れて謝罪をするという事態に発展したが、首位・阪神を追いかける中での手痛い一敗に変わりはなく、なんともモヤっとする幕切れとなってしまった。



 スポーツにおいて、審判の判定は絶対とされるのが基本だが、プロ野球の歴史を振り返ってみると、過去にも微妙なジャッジや勘違いが大きなトラブルにつながったことがあった。

 今回は、球史の中で特に大きな話題を集めた「あってはならない珍ジャッジ」の数々を振り返ってみたい。


塁審のタイムが勝敗を大きく左右


 まずは、塁審が走者に気を遣って自らタイムをかけたことが、勝敗に大きな影響を及ぼすことになってしまったという珍しいケースから。

 2006年7月9日に行われた広島-巨人の一戦。3-3の9回裏、広島は二死から代打・井生崇光が左前安打で出塁し、次打者・東出輝裕のとき、二盗を成功させる。

 ところが、井生はアウトになったと勘違い。ベースを離れて一塁コーチのもとにスタスタと歩み寄り、再確認した。巨人にとっては、まさに“鴨ネギ”。送球を受けた一塁手・李承燁が井生にタッチし、3アウトになったと思われた。

 だが、杉永政信二塁塁審は、タイムがかかっていたことを理由に、二死二塁からの試合再開を宣告するではないか。井生はタイムをかけていないのになぜなのか…?


 杉永塁審によれば、「走者が泥を払うため、タイムをかけると思った。気を遣ったつもり」というのが理由だった。同様のケースで審判がタイムをかけることはよくあるという話なのだが、あまりにも間が悪過ぎた。

 3アウトでチェンジと、一打サヨナラの二死二塁とでは大違い。当然、巨人・原辰徳監督は納得できない。

 「何でベースを離れたんだ。タイムをかけた?ランナーが要求したのか?あれはファウルかアウトだと勘違いしたとしか思えないのに、なぜ審判からタイムをかけるんだ」と激しく抗議したが、タイムは有効のまま。

 そして、皮肉にも試合再開直後、東出の中前タイムリーで井生がサヨナラのホームイン。試合は4-3、広島の勝利で幕を閉じた。

 悔しさ一杯の原監督とは対照的に、タイムに救われた井生は「タイミングがアウトだと思った。(一塁コーチから)状況を聞いて、ドキッとした。とにかくこういう結果になって良かった」と胸をなで下ろしていた。


スコアボードの表示が原因で大混乱


 つづいて、スコアボードのカウント表示の間違いが発端となり、大揉めに揉めたのが2009年5月9日の日本ハム-オリックスだ。

 0-1の3回、オリックスは一死から大村直之が右前安打。次打者・山崎浩司のカウント2ボール・1ストライクから、藤井秀悟の4球目にヒットエンドランを仕掛けた。

 だが、藤井がウエストしたため、山崎はハーフスイングでバットを止めて大村も慌てて帰塁。直後、山本隆造一塁塁審がスイングを取り、カウント2ボール・2ストライクになったのだが、スコアボードの表示は3ボール・1ストライクのまま。

 川口亘太球審が訂正するよう指示したが、4階の操作室からは下の様子が見えにくいうえに、電話連絡もなかったことから、表示はそのまま。オリックスベンチの大石大二郎監督は2ボール・2ストライクとわかっていたが、大村と松山秀明一塁コーチは3ボール・1ストライクと思い込んでいた。


 さらに、山崎が5球目をファウルした直後、2人が「3ボール・2ストライクですよね?」と山本塁審に再確認すると、スコアボードを見て「3ボール・2ストライク」と答えたことから、話はますますややこしくなる。

 フルカウントと信じて疑わない大村は、次の6球目でスタート。ボールになったと知ると、四球と思い込み、二塁ベース手前でスピードを緩めたのが命取り。タッチアウトになってしまった。


 大石監督はすぐに抗議したが、判定は覆らない。しかも、川口球審が「2ボール・2ストライクでしたが、スコアボードの表示を訂正せずに、3ボール・2ストライクでやってしまい、大村選手が勘違いしてスチールしましたが、2ボール・2ストライクからのボール球なので、盗塁をアウトにして、試合を再開します」と場内説明したため、「なぜ一塁塁審のミスを隠すんだ」と事態はますますこじれた。

 結局、この勘違い走塁が祟り、オリックスは2-3で惜敗。試合後、川口球審は「やはり一度プレーを止めて、ボードを訂正すべきだった」と反省しきりだった。


球審の紛らわしい動作に選手も呆れ顔


 球審の誤解を招くような動作が原因で、得点機が一転、3アウトチェンジになる珍事が起きたのが、2010年4月20日のソフトバンク-西武だ。

 2-0とリードの西武は6回二死一塁、打者・高山久の6球目に一塁走者のディー・ブラウンが二盗を試みたが、このボールを高山が見逃した直後、良川昌美球審が右手を挙げるような仕草をした。

 ストライクで高山が見逃し三振に倒れたと解釈しても、おかしくない場面。高山はベンチに引き揚げ、ブラウンも3アウトチェンジになったと思い込み、つられるようにベースを離れた。

 ところが、なんとも紛らわしいことに、良川球審の判定は「ボール」だった。この結果、ブラウンは走塁放棄(記録は盗塁死)と見なされ、アウトに…。「三振かどうかわからなかった。こんなの野球人生で初めてだよ」と嘆いたが、あとの祭りだった。

 試合は、西武が1点差に追い上げられた直後の8回に5点を追加するなど、8-2で大勝したので、勝敗には影響しなかったものの、良川球審は「中途半端なジャッジをしてしまい、申し訳ない。私の責任です」と平身低頭だった。


 リクエスト制導入後、誤審は訂正されるようになったとはいえ、リプレー検証だけでは対応しきれない微妙なシチュエーションも少なくない。ルールは変わっても、判定をめぐるトラブルの種は尽きないかもしれない。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)



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