日本での通算打率.292の好打者が陥ったスランプ
来日3年目の昨季、12球団でただひとり4番として全試合に出場し、ソフトバンクのリーグ優勝、日本一に大きく貢献した李大浩。19本塁打、68打点という数字だけでは物足りなく感じるかもしれないが、4番としての存在感で十分にチームをけん引した。
オリックス時代も含めて、日本での3年間で打率.292、68本塁打と安定した成績を残してきた男も、今季はかなり苦しんでいる。
昨季までの4番ではなく、5番として全試合に出場しているものの打率.191、1本塁打(20日現在)。規定打席に達している選手のなかでパ・リーグ34位。これは、下から4番目の低打率だ。
主砲の不調もあってか、チーム全体の打率もリーグ2位ながら.252と低く、王者は10勝8敗1分と波に乗れていない。
今季の李大浩を見ていると、打球がまるで上がっていない。
李大浩のようなスラッガータイプの特徴は、フライやライナーが多いことにある。パ・リーグ本塁打王を獲得した中村剛也(西武)は昨季、フライアウトが93、ゴロアウトが51。中村とタイトルを分け合ったメヒアもフライアウトが83、ゴロアウトが37とフライアウトが多かった。
当然のことだが、フライの打球しか外野のフェンスを越えることはない。ライナーやフライの強い当たりをいかに打てるかがスラッガーの証なのだ。
ゴロの山を築く今季の李大浩…フライが増えれば調子も上向く?
昨季の李大浩はフライアウトが149で、ゴロアウトは126とスラッガーらしく、フライアウトが多かった。
しかし、今季はフライアウトが15に対し、ゴロアウトが23。ゴロアウトのうちサードゴロとショートゴロが13。フライアウトのうちレフトフライはなんと1本だけである。
引っ張った打球で凡打になったほとんどがゴロアウトだということになる。つまり、“強い打球”を打てていないと数字から見ることができる。
昨季の7月は月間打率.223、1本塁打とスランプに陥ったが、その時もフライアウトが27に対し、ゴロアウトが32。月間打率.339と持ち直した8月はフライアウトが28に対し、ゴロアウトが23とフライアウトのほうが多くなっていることからも、李大浩の調子を計るバロメーターにひとつは、いかに打球を上げられるかと言っていいだろう。
17日のロッテ戦では、レフト線に痛烈なライナーのタイムリーを放つなど、少しずつ調子が上向きつつある鷹の主砲。強力打線のなかで、李が本来の力を取り戻すのはいつなのか――。日本一連覇に向けて、打球の上昇とともに成績も上げていきたい。
文=京都純典(みやこ・すみのり)