コラム 2021.11.01. 07:08

数年後のプロ入りに期待…今秋のドラフトで名前が呼ばれなかった選手たち【高校生編】

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報徳学園の久野悠斗 [写真提供=プロアマ野球研究所]

“今年じゃなかった”高校生の有望株


 今年は10月11日に開催されたプロ野球のドラフト会議。

 支配下77人・育成51人の選手たちが指名を受けたが、実力はありながらもめぐり合わせによって指名が見送られた選手や、事前に高い評価を受けながらもプロ志望届を提出しなかった選手というのも少なくない。




 ということで、今回からは来年のドラフト候補紹介と並行して、“今年は縁がなかった”有望選手たちをカテゴリー毎に紹介していきたい。第1回は高校生編だ。

 まずはプロ志望届の提出を見送った選手の中で、指名の可能性が高かったと思われるのが、沢山優介(掛川西)と久野悠斗(報徳学園)のサウスポー2人である。

 沢山は好投手がひしめく東海地区の中でも、「左投手ではNo.1」の呼び声も高かった投手。春の東海大会では、3試合連続無失点の好投でチームの優勝に大きく貢献。夏の静岡大会も、チームは準決勝で敗れたものの、自身は5試合連続無失点と圧巻の投球を見せた。身長は185センチと大型だが、スムーズに腕が振れており、高い制球力を誇る。勝負所で三振を奪えるのも長所だ。



 一方の久野は、近畿を代表する大型左腕。体の近くで縦に腕が振れ、コーナーに投げ分けるコントロールも併せ持つハイレベルな投手だった。

 2人ともストレートは140キロ台の前半が多く、その点が上位候補になるには不足していた部分と思われるが、上背に見合う筋力がつけばまだまだ速くなりそうな雰囲気がある。3年後、4年後には目玉となれる可能性も十分にあるだろう。


 右投手でこの夏に見事な投球を見せたのが、大川慈英(常総学院)だ。

 茨城大会の準決勝では、自己最速を更新する148キロをマーク。チームは決勝で敗れたものの、大川は5試合・23回を投げて自責点0と見事な投球を見せた。

 スライダーやチェンジアップなどの変化球も質が高く、フォームにも悪い癖がないだけに大学では1年からいきなり主戦として期待できそうだ。


▼ プロ志望届を提出しなかった注目投手
・菱川一輝(花巻東)
・伊藤樹(仙台育英)
・秋本璃空(常総学院)
・細谷怜央(中央学院)
・中嶋太一(桐光学園)
・高須大雅(静岡)
・岩佐直哉(近江)
・関戸康介(大阪桐蔭)
・阪上翔也(神戸国際大付)
・中西聖輝(智弁和歌山)
・篠原颯斗(池田)
・毛利海大(福岡大大濠)
・山城京平(興南)


 また、プロ志望届を提出しながらも指名のなかった投手としては、5人の名前が挙がる。

 滝口琉偉(日大山形)は、リリーフながら夏の甲子園で150キロをマーク。市川祐(関東一)も東東京大会の準決勝では最速152キロをマークしており、ほかにも寺嶋大希(愛工大名電)や山本大揮(九州国際大付)、黒木優(九州文化学園)も、素質の高さが目立った本格派右腕だ。

 真相は不明だが、これらの選手は低い順位ではプロ入りしないという条件を出していたことも考えられる。とはいえ、いずれの選手も指名がなかったのが驚くレベルの投手であることは間違いない。


野手の注目選手は…?


 つづいては野手。こちらも志望届を提出しなかった有力選手から。特にこの夏のバッティングに驚かされたのが、金子京介(盛岡大付/一塁手)だ。

 岩手大会では大会記録となる5試合連続本塁打を放ち、甲子園では一発こそ出なかったものの、度々鋭い当たりを放った。

 一塁を守る選手で打つ以外に特徴がないというのは弱点だが、それを上回るだけの打撃の魅力があったことは確かである。大学進学とのことだが、4年間でさらなるスケールアップを期待したい。


 ほかにも、総合力の高い外野手として皆川岳飛(前橋育英)や花田旭(大阪桐蔭)、福本綺羅(明石商)も、志望届を出していれば指名された可能性は高い。

 また、今年は遊撃手の人材が少なかっただけに、抜群の守備力が光る浜岡陸(花咲徳栄)や大塚瑠晏(東海大相模)の未提出を悔やんでいた球団も多かったはずだ。


▼ プロ志望届を提出しなかった注目野手
・川上陸斗(福岡大大濠/捕手)
・小沢周平(健大高崎/二塁手)
・小田康一郎(中京/三塁手)
・山下陽輔(智弁学園/三塁手)
・立石正広(高川学園/三塁手)
・大塚瑠晏(東海大相模/遊撃手)
・坂本寅泰(聖光学院/外野手)
・徳丸天晴(智弁和歌山/外野手)


 そして、志望届を提出していた選手では、渡辺大和(高野山/三塁手)や清水武蔵(国士館/遊撃手)、川口翔大(聖カタリナ/遊撃手)、米山航平(市立尼崎/外野手)らが残念ながら指名を逃した。

 指名の可能性が高いと思われていた選手は投手に比べると少ないが、渡辺や米山などは最近のトレンドで評価されやすい大型のスラッガータイプだけに、プロで鍛えてももらいたかった素材である。

 しかし、彼らのチャンスはきっと今年だけではない。それぞれの舞台で長所を伸ばし、数年後にさらなる注目を浴びる選手として帰ってきてくれることに期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所



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