コラム 2022.05.10. 06:44

BsGirlsのリーダーから球団職員への転身 松元唯香さん「オリックスの魅力をもっと知ってもらいたい」

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BsGirlsの元リーダー・CHALで、現在は球団職員を務める松元唯香さん [写真=北野正樹]

猛牛ストーリー 【第16回:松元唯香さん】


 連覇と、昨年果たせなかった日本一を目指す今季のオリックス。監督・コーチ、選手、スタッフらの思いを「猛牛ストーリー」として随時紹介していきます。

 第16回は、バファローズ球団公式ダンス&ヴォーカルユニット「BsGirls」の元リーダー・CHALで、今年2月から球団職員に転身した松元唯香さん(28)。「私だからできる何かをつかみ、ファンの方の期待の声を超えていけるよう、イベントの企画をやっていきたい」と、意気込みを語ってくださいました。




スポットライトを浴びる人を支える裏方へ


 「CHALです」。小柄な若い女性に声を掛けられ、松元さんだと理解できるまで、少し時間が必要だった。

 オリックスの本拠地開幕戦が行われた3月29日。開幕イベントを取材していたグラウンド近くにいたのが、CHALこと松元唯香さん。マスク姿で、長い金髪は黒髪に変わっており、これまでの取材で知るCHALとは別人だった。



 2月1日付で球団職員として採用され、事業企画部イベント・運営グループに所属しているという。

 BsGirls(BsG)が発足した2014年、補欠から昇格して6年間リーダーを務めた後、今年1月16日の「BsGirls FINAL LIVE」を最後に“卒業”した。

 華やかなスポットライトを浴び、ファンに喜んでもらうヴォーカルから、ファンに喜んでもらうイベントを企画し、スポットライトを浴びる人を支える裏方へ。意外な転身にも思えるが、松元さんにとっては自然な流れだったようだ。


 「これからのBsG」を考え始めた2018年のシーズン終了後から卒業を心に秘め、自らの経験を伝えるなどしてBsGのスケールアップを図って来た。

 卒業を公表して臨んだ2021年シーズン。「それまでは、その後の自分の人生は考えていなかったが、(卒業を)公言するからには自分の人生も考えていかなくてはと、自分を考えるきっかけになった」という。

 また、「私自身、本当に心からオリックス・バファローズが好き。でも、まだまだ知らないことが多い。もっともっと魅力を知りたい、もっともっと魅力を知ってもらいたい」との思いから、「違った形でチームに恩返しをしたい。微力かもしれないが携わっていきたいという思いが芽生えた」とも。球団職員への道を選ぶのに、時間はかからなかった。

 面接を重ね、活動を終えた直後に球団幹部による最終面接で合格した。「社会人になるため、FINAL LIVEが終わってすぐに金髪を黒髪に染めました」と松元さん。球団関係者によると、通常の中途採用時と同様の手続きに則ったもので、BsGの元リーダーだからという特別扱いは一切なかったそうだ。


“BsGの元リーダー”という意識との決別


 新たな挑戦から3カ月。「会社に入って、初めてのことだらけで、覚えることがたくさんある。BsGになった時の気持ちをもう一度掘り起こさなければいけない。変に慣れた状態ではいけないと思った」と、入社時の思いを振り返る。

 BsGのメンバーになった時の初心に戻る一方で、“BsGの元リーダー”という意識との決別が社会人の原点になっているようだ。

 仕事は、イベントの企画や運営などが中心。イベントは関係する部署が多岐にわたり、会議が4度の日もある。出勤はナイター時などを除き、午前9時。「これまで、毎日同じ電車で出勤して、前日に遅くなっても翌日は変わらず、規則正しく出社する会社員はすごいと思っていた」そうだが、松元さんは「小中高、専門学校、BsGを通じて無遅刻・無欠席なんです」と、初めての社会人生活を楽しんでいる。


 普段は球団のジャンパーにマスク姿の松元さん。一見するとCHALとは分からないが、ドーム2階の通路などを歩いていると、気付くファンもいるという。

 「分かるんだと驚くが、声を掛けて下さるのはありがたい。それには応えたいと思っている」という。「2年目あたりからCHALの活動は素の姿だった」というだけに、ファンへの対応は変わらない。

 初めてスタッフとして経験するシーズン。「今まで見えていなかった裏側の動きを体感していく中で、新しい発見がものすごく多く、新鮮な日々を送っている。これまでいろんな人を通して、裏側の人がイベントを作り上げていくという認識はあったが、一つのことにこれだけの人がかかわっているんだと再認識した」という。


「スタッフとしての喜びを感じた瞬間」


 8年間を過ごしたBsGは、どう見えるのだろう。

 「初めて外から見ることになったが、不思議な感覚はなく『これがBsGか』という感じ。やり切ったので、より客観的に見えているというか、新しいものを見るような気持ちでいる」そうだ。

 「昔の映像を見たりすると、幻だったのではと思うくらい。金髪時代を逆に不思議に思う」とも。


 「やっと落ち着いて試合の流れが分かるようになって、試合終了にスタンドを見ていると、今までの視点とは違い、ファンの方々がこんなに喜んでくださる姿に、涙が出そうになった。スタッフとしての喜びを感じた瞬間だった」と松元さん。

 湊通夫球団社長は「BsGのリーダーとしての実績はあるが、これまでと全く違う形でイベントなどに携わるので、これからが第一歩。分からないことだらけの裏方の仕事で苦労もあると思うが、BsGを下(補欠)から這い上がった方なので、精神力の強さ、ハートの強さに期待している」と言い、「BsGの延長線上の仕事をしてほしいわけではない。新しく入って来た人材と見ており、特別扱いはしない。経験を積んだうえで出来ることをやってもらいたい。彼女のチャレンジを応援したいし、可能性はあると思っている」と期待を寄せる。


 「なんの予告もしなかったので、ファンの方の反応が少し不安だったが、応援して下さる方が多くすごくうれしかった。その期待の声を超えていけるようなイベントや企画をしていきたい」

 「CHAL」から「松元」に名前が変わっても、ファンに喜んでもらいたいというオリックス愛は変わることはない。


取材・文=北野正樹(きたの・まさき)
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