いきなり三者連続三振と上々の立ち上がり
スプリング・トレーニングで左太ももを痛め、開幕からマイナーでの調整が続いていたシカゴ・カブスの和田毅が、21日のサンディエゴ・パドレス戦で今季メジャー初登板初先発した。
初回、いきなり三者連続三振を奪うと、3回にも三者連続三振。4回、アップトンに真ん中低めの速球をバックスクリーンに運ばれたが、その後カブスが逆転。勝利投手の権利を得るまであと1アウトの5回2アウトで交代となったが、被安打4、奪三振はメジャー自己最多の9、与四死球2、失点2とシーズン初登板としては上々の内容だった。
奪三振を振り返ると、9つのうち6つが見逃し三振。決め球は速球が6、スライダーが2、チェンジアップが1。速球は90マイル前後だったが、和田らしいスピンのきいたボールがいくつもあり、とくに低めへの制球は光るものがあった。
アップトンに打たれた本塁打も、アウトコース低めを狙った速球がわずかに真ん中寄りに入ったものだが、高さは間違っておらず、失投というよりアップトンの技術が上回ったと見てよいだろう。
球審のストライクゾーンが低めに広かったことも和田を助けたかもしれない。とはいえ、速球で6つの三振を奪うなど「和田本来のピッチング」が戻ってきた感があった。
本来は奪三振率が高かった和田
豪速球を投げるわけでも、驚くような変化球を投げるわけでもない和田だが、本来は三振を多く奪う投手だ。
早稲田大学時代には、通算476三振を奪い、あの江川卓の記録を更新する東京六大学の通算奪三振記録を樹立した。
日本のプロ野球通算でも9年で1444イニングあまりを投げ、奪った三振は1329個。奪三振率は8.28だ。昨季の成績だが、セ・リーグの平均奪三振率は6.93、パ・リーグは6.99という数字と比べても、和田はその平均よりも1個以上多く三振を奪っていたのである。
2012年、渡米直後のスプリング・トレーニングで左ヒジを痛め、5月にトミー・ジョン手術を受けた。長いリハビリの後、2013年に3Aで19試合に登板したものの、奪三振率は7.01と日本と比べて落ちた。昨季は3Aで奪三振率9.50と持ち直したが、メジャーでは13試合で奪三振率7.40。
今季の3Aでも6試合で奪三振率7.53と和田にしては多くなかったが、メジャー初登板でいきなり結果を残した。
アメリカ生活4年目、メジャーでの登板は今季が2年目となる和田。全盛期を思い出すような、低めから伸びてくる速球など、ようやく和田らしさを発揮しつつある。優勝候補にも挙げられているカブスの一員として、今後のピッチングにも期待がかかる。
文=京都純典(みやこ・すみのり)