コラム

脇谷亮太「育成から這い上がり、移籍により生き返った男」

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西武で活躍する脇谷亮太©BASEBALLKING
脇谷亮太,


 躍動する背番号7。
 
 西武ライオンズ脇谷亮太、33歳。8月は14試合中13試合でスタメン出場。内外野を守り、16日のソフトバンク戦(ヤフオクD)では3番ライトとして2号2ランを含む3安打の活躍。試合途中にファースト守備に就く等、打撃だけでなく守備面でも貴重なユーティリティープレーヤーとして存在感を示している。

 今季はここまで93試合に出場すると、打率.306、2本塁打17打点、OPS.772の好成績。得点圏打率.432と持ち前の勝負強さも健在で、巨人時代の2010年以来の年間100試合以上の出場も目前だ。片岡治大のFA人的補償として西武に移籍して2年目。そのキャリアのほとんどをチームを助ける便利屋として過ごしてきた脇谷のプロ生活は、ここまで波瀾万丈だった。

 NTT西日本から2005年大学生・社会人ドラフト5巡目で巨人入団。09年中日とのCS第3戦では浅尾拓也から決勝2点タイムリーをかっ飛ばし、シリーズMVPを獲得。翌10年には自己最高となる132試合に出場すると、打率.273、7本塁打、43打点、28盗塁の好成績。15試合連続得点のセ・リーグ記録に加え、リーグ最多の8本の三塁打を放った。

 原監督好みの小力があって走れる二塁手の誕生。ついにレギュラー定着かと思ったら、翌11年7月に右手有鉤骨を骨折。11月には右肘の靭帯再建手術を受け、育成選手として再契約し長期リハビリ生活に突入。13年シーズンは支配下再登録されるも出場機会に恵まれず、オフに人的補償で西武へと移籍する。

 移籍初年度の昨年は内野各ポジションをこなし、サヨナラ打を2本放つ勝負強さでアピール。出場数を前年の49試合から96試合へと大きく増やした。さらに今季はAクラス入りを狙うチームで、時にクリーンナップを任せられる存在へ。

 10年前、ドラフト直前まで「自分の指名はない」とプロ入りをほとんど諦めていた選手が、3年前には育成契約にまで落ちた33歳が、今もしぶとくプロの世界でサバイバルし続けている。ど真ん中のエリート街道を突っ走るだけが野球人生じゃない。

 育成から這い上がり、移籍により生き返った男、脇谷亮太。今月5日には国内FA権を取得。推定年俸2,400万円の内外野守れる勝負強い3割打者。

 もしかしたら、今オフには日本球界で「脇谷争奪戦」が起きるかもしれない。

文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)
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