コラム

601セーブ男が1年目での殿堂入りを逃したワケ

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現役時代のホフマン
hofuman

ホフマンは殿堂入りを逃す…


 今年の米・殿堂入りに元マリナーズのケン・グリフィー・ジュニアと元メッツのマイク・ピアザが選出された。そんな中、資格取得1年目での殿堂入りが期待されていた元パドレスのトレバー・ホフマンが落選。驚きの声も上がったが、現地では「1年目での落選は予想通り」とする意見が多いのも事実だ。

 メジャー史上2位の通算601セーブという偉大な記録を残したホフマンの名前を記した投票者は67.3%に上った。この数字から、1~2年以内での殿堂入り(75.0%以上)は間違いないところだが、近年「セーブ」の価値に疑問を投げかける専門家が少なくないことも、今回の結果に影響している可能性が高い。

 ここ数年の殿堂入り投手を見ると、グレグ・マダックス、トム・グラビン、ランディ・ジョンソンといった300勝投手だけでなく、ジョン・スモルツ、ペドロ・マルチネスといった200勝投手も資格取得1年目での殿堂入りを果たしている(スモルツは213勝、154セーブ)。ホフマンが記録した601セーブは200勝以下の価値ということなのだろうか。

 MLB.comのコラムニスト、フィル・ロジャース氏が先月、「セーブ」に関する興味深い記事を寄稿している。ざっくり言うと「セーブはもはや無意味だ。代わりにWPA(Win Probably Added)を使え」というものだ。

 WPAを日本語にすると、「勝利期待値」や「勝利貢献度」になるが、プレーごとにそれに関わった選手の貢献度を指標化する。例えば同じ本塁打でも大量リードの場面で打った一本と逆転サヨナラ本塁打とでは、試合の勝敗に関わるという意味ではその価値は大きく違う。当然サヨナラ弾を放った打者に大きいWPAが与えられることになり、それを打たれた投手は大きな減点となる。

 2015年のリリーフ投手のWPAランキングは以下の通りだ。

1. マーク・メランコン(パイレーツ)5.19
2. デリン・ベタンセス(ヤンキース)4.24
3. アンドリー・ミラー(ヤンキース)4.22
4. ウェイド・デービス(ロイヤルズ)4.22
5. トニー・ワトソン(パイレーツ) 4.13

面白いのはヤンキースのセットアッパーだったベタンセス(6勝、9セーブ、28ホールド)が、チームメートでクローザーのミラー(3勝、36セーブ)を上回っていたことだ。ベタンセスのほうが「イニングまたぎ」や「走者を背負った場面で登板」など、より厳しい状況で投げていたことが影響している。

 WPAはその試合でどのリリーフ投手が最も勝利に貢献したかを数値化してくれる。さらにWPAは投手、打者関係なく数値化されるため、生涯WPAの数値を殿堂入りの目安にすることもできるだろう。

 ホフマンと同じ時期に活躍した投手のWPAランキングを見ると10位ホフマンの前後にはカート・シリング(216勝)とケビン・ブラウン(211勝)がいる。シリングは資格取得4年目の今年、52.3%の得票率で殿堂入りが近づく一方、ブラウンは資格取得1年目となった2011年の殿堂入り投票で1.2%しか獲得できず資格を喪失している。WPAランキングから分かることは、600セーブはおおむね200勝に匹敵するということだろうか。そうなると、クローザーが一発殿堂入りするにはマリアノ・リベラ(652セーブ)に近い実績を残す必要がありそうだ。

WPAランキング(1984年~2015年の通算)
1. ロジャー・クレメンス 76.15
2. マリアノ・リベラ 57.17
3. ランディ・ジョンソン 53.85
4. グレグ・マダックス 53.69
5. ペドロ・マルチネス 51.84
6. マイク・ムシーナ 39.76
7. ジョン・スモルツ 37.82
8. ロイ・ハラデー 36.99
9. カート・シリング 36.54
10. トレバー・ホフマン 32.98
11. ケビン・ブラウン 30.55
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